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セージの耳打ち#204 おでんの「汁」はもらわない
東京に来て一番おどろいたのは、店でおでんをテイクアウトする際に「汁」を持ち帰る人のいることでした。
いや、私の故郷(静岡市)におけるおでんとは「串をつまんで汁から出して食べるもの」だったのでね。
おでんの主要販売店は「駄菓子屋」で、子どもたちは一本10円で買ったそれを握りしめ、路上で立ち食いするのが日課でした。
「おそ松くん」のちび太の日常を思い浮かべていただくと分かりやすいかと思います。
そして、おでん屋における汁は「財産」なんです。
老舗うなぎ屋のタレと同様、何十年も継ぎ足しながら守っているものなんでね。
だから味にとてつもない深みがあって、材料をただ煮込むだけでも絶品おでんになるわけです。
そんな貴重品を要求するなんて、私には信じられなかった。
だって、老舗うなぎ屋の店先で「伝統のタレをください」と言ってるようなものなんですから。
でもまぁ東京のおでんは根本からして違ってるので、「汁をちょうだい」と言っても別にいいんでしょうけどね。
しかし静岡では禁句です。
というか汁そのものに異様な迫力があるんで「飲みたい」なんてことはたぶん思わないと思いますけど。
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