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#63 昭和の声優とファンの距離

最近は「声優さん」と呼ばれる人のスター化が著しく、小中高生の憧れの職業ランキングでも上位に位置しています。

私がその年代だった頃、ざっと40年くらい前もアニメブーム期で、「人気声優」と呼ばれる人達が何人もいました。
今で言う「声優ラジオ」のはしりみたいな番組も色々あって、私も追いかけてました。

そのうちの一本にラジオたんぱ(現ラジオNIKKEI)の「ヤロメロジュニア出発進行」というのがありました。
パーソナリティは「裕クン」の愛称で当時大人気だった「水島裕」(ちょうど「六神合体ゴッドマーズ」に主演してた頃かなぁ)。
この番組は平日の午後、東京千代田区・虎ノ門にあるオープンスタジオにリスナーを招き入れ、「同じ室内にDJとファンが混在する」という今ではあり得ない無防備状態で、なんと「生放送」されてたんですよ(オンエア中に卑猥なこととか口走られたらどうするつもりだったんだろうか?)。

実は私も高校時代に何度も参加してました。
静岡市の高校生がなんで平日の千代田区にいられるんだよ!? というのは当然の疑問でしょうが・・・あーそうだよ「学校サボってしょっちゅう日帰りで東京に通ってた」んだよアタシは!

さほど広いわけでもないスタジオ内に人気芸能人と、氏素性も知れないシロート連中が同居してたんですから、昭和というのはなんと大らかな時代だったんでしょうか。
事前予約を取るわけでもなく、身分チェックもしてなかったんで、テロリストが入り込んできてても全然不思議じゃなかったんですよ。
完全に「性善説」に立脚した番組でしたが、まさに日本が「水と安全はタダ」だったことの証と言えるでしょう。
「昭和の声優とファンの距離」ってこんなに近かったんですよ。

ちなみにこの番組には、かのスタジオジブリのプロデューサー、鈴木敏夫氏もレギュラーとして電話出演をしてました。
当時の鈴木氏はまだ徳間書店の雑誌「アニメージュ」の社員編集者だったんですが、番組内でのニックネームは「アニメージュ編集部のトシちゃん」。

・・・ホントに昭和って「ユルくてステキな時代」なのでありました。

ヤロメロ


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