私の価値は398円。

8月。お盆に親戚一同が集まった。普段会わないような親戚。大学生のおにいちゃんや結婚して嫁いだお姉ちゃん達も集まり普段関わらない年上に囲まれ少し気持ちが高ぶっていた。自分の見た目はやっぱり子どもだけど、心は大人のつもりだったから色気も使って当時大学4年生、親戚のMくんに近づいた。「好きな人いるの?」とか「学校はどう?」とかちょっと会話を少し話したあとMくんは言った、「えっちはしたことある?」。中学1年生の私はもちろん処女。「ない」と答える私に「してみる?」と聞いてくる彼。思春期だったし興味もあった、なんなら早く卒業したいとかも思っていて、ただただ考えが浅はかだった。うん、と頷き一言聞いた。【えっちしたらハムスター買ってくれる??】一瞬何を言ってるの?という顔をした彼はいいよ、と返事をした所で親戚がぼちぼち帰り始めた。

中学1年生。ませてたとはいえみんなが持ってるものが欲しくなる。周囲はペットを飼っていて、よく飼われていたのがハムスターだった。私もほしい。そう思っていたけどバイトも無ければ我が家はお小遣いも無かった。買いに行く以前にお金もなかった。中学生1人が買いに行った所で売ってもらえるはずもない。

「今日は無理だからまた今度だね。」そう言って連絡先を交換し帰ってくMくん。私の頭はえっちよりもハムスターでいっぱいだった。

2週間後の金曜日の放課後16時半にウチの近くのコンビニで待ち合わせする約束を取り付け、約束通りそこに向かう。白のボロボロの軽に乗った彼がそこですでに待っていた。「ほんとに来てくれたんだ」そういう彼は私を助手席に座らせる。
「これからどうする、どこにいく?」と聞かれ答えられない私を乗せ車は山の方向へ向かった。
滝がある公園のような場所で駐車場は広めの人気のない場所だった。駐車場に車を停める。沈黙で数分経ち彼が口を開いた「後ろ行って」。後部座席に移動した私を押し倒し身体を重ねる。血は出なかったものの"痛い"しか無かった気持ちだったからか時間が長く感じた。
こうして私は無事、親戚の大学生Mくんとバージンを卒業した。
「明日休みでしょ?ハムスター買いに行く?」明日の予定を取り付けその日は解散。

次の日、昼からペットショップに行きハムスターを買ってもらった。1番小さなジャンガリアン。398円だった。私の価値はハムスター1匹分に等しい。今思えば安すぎだが、当時の私の心は満たされ幸せでいっぱいだった。なんせ欲しいものが手に入ったのだから。

それから8年の月日が経って知った。
あの処女膜を破った公園の駐車場は焼身自殺で有名な心霊スポットらしかった。
私はそんな場所で親戚の大学生とたった398円の為に大事なバージンを失ったのだった。

(もちろん、実話。)

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