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Stumbling on Happiness:幸せはいつもちょっと先にある 期待と妄想の心理学

この本の著者

ダニエル・ギルバート。ハーバード大学の心理学者(出版時)。ざっくり言うと「宝くじが当たったらバラ色の人生だ!と思っていたのに実際に当たった人はそうなっていない。じゃあなんでバラ色だって思うのか?」のようなテーマを研究している。専門的にいうと「感情予測(Affective forecasting)」。未来の感情を予測する人間の心理に関する研究者。著者のTEDトークも面白い。本書は米で2006年に初版の古い本だけど、面白さは変わらない。

1.この本で得たかった情報

1 | 感情予測とは「   」である
2 | 人が未来の感情の予測に失敗するのは「    」からである

2.興味をひかれた5つの内容

■クイズの答えを知っている人はそのクイズが簡単だと思い、知らない人にとってどのくらい難しいかを判断できなくなる(p74-75)

■起こったことには簡単に気づくが、起こらなかったことには全く気づけない(p36)。2つのものの「似ている点はなんですか?」と類似点をきかれると相違点を無視し、「違う点はなんですか?」ときかれると類似点を無視する(p40)。

■未来にどう感じるかを予測する場合、「いま、ここ」にあるものを基準に比べてはいけない。例えば、家電量販店でスピーカーを買うとき、目の前にあるスピーカー同士を比べるのではなく、家の部屋にスピーカーを置いた時(未来)と比べなくてはいけない(p196)。

■珍しいできごとは記憶に残りやすい。そのため、「よく起きている」と思い込む。反対に、平凡なできごとは記憶に残りにくいのでよく起きていると思わない(p267)。

■経験を変えることができなくなってはじめて、経験の見方を変える方法を探す。例えば、買ったものが気に入らなくても返品できない場合、そのもののいいところを探す。経験の良い面を見つけるのは、必要にせまられたときのみ(p246)

3.技能の指導や継承、心理学とのつながり

■感情予測:Affective forecastingのforecastingは、予報という訳もある。天気予報のように感情の変化を予報し、行動に役立てるという見方もできる。これはコンダクト・スキルの考え方のベースになった。最初に接した技能五輪の選手の中に、実際に「感情の天気予報」をしている人がいた。

■「答えを知っているクイズは簡単だと思っちゃう」。自分が出来る技能は他の人も出来ると思っちゃってるとか(無意識に)。

■「起こっていないことは無視する」。「何がダメだった?」ときけば良かった点は無視され、「何がよかった?」ときけば悪かった点は無視される?そんな単純でもないが、聞き方によって引き出される記憶と引き出されない記憶はあると思う。作業を見る場合も注意が必要。ミスには気づくのにミスせずちゃんとやれている場面は目に入らないとか。

■バッシュが好きで新しいのを見ると欲しくなるが、「この先1ヶ月これだけしか履かないくらい好きか?」と問いかけることにしている。これは、この本の知見とかがもとに。「いま、ここ」を比べる代わりに未来を比較する方法。



↑新品の値段です。日本での出版は2007年なので絶版かも。中古だと500円台からあります。


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