事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学
1.この本で得たかった情報
1 | 説得をさまたげる要因は何か?
2 |説得にはどんな心理的な要因が関わるか?
3 | 説得をうながす要因は何か?
4 | 説得に関して、新しい発見はないか?
2.興味をひかれた4つの内容
■説得を妨げるのは・・・・
・「情報や論理を優先したアプローチは、意欲、恐怖、希望、意欲など、私たちの中核にあるものを蔑ろにしている」(p21)
・「自分の意見を否定するような情報を提供されると、私達はまったく新しい反論を思いつき、更に頑なになることもある。これをブーメラン効果と呼ぶ」(p24)
■説得を促すのは・・・・
・「感情は、無意識のうちに全員の注意を同じ方向に向けさせ、似たような心理状態をもたらしながら、脳の同期を助長する」(p52)
・「グループが協力して課題をこなすよう求められた。(中略)上機嫌な生徒を紛れ込ませたグループは、協力し合うことは多いが衝突は少なく、優れたパフォーマンスを見せた。不機嫌な生徒を投入したグループは、課題の出来もずっと悪かった」(p62)
■説得と関連する心理的な要因は・・・
・「他のすべての条件が同じならば、人は希望をもたらす情報を求め、失意を招く情報を回避する傾向をもつ」(p155)
■説得に関して新しい発見は・・・
・p202。要約すると、他人の成功ではドーパミンがあまり出ず、他人が失敗したらドーパミンが出る。「それゆえ、他人の失敗は自分の報酬、他人の成功は自分の損失」(p203)
3.技能の指導や継承、心理学とのつながり
■データや理論だけじゃなく、感情を刺激するようなストーリーも大事。これはID第一原理でも言われている
■「これが大事だよ」と言って、相手が腑に落ちないとき、理詰めすると逆効果な場合もある
■相手の感情をわかってあげる、共有してあげるってことが、説得の大事な要因
この本の著者
ターリ・シャーロット。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン教授。専門は認知神経科学。夫と子どもとともにロンドンとボストンを往復する生活を送っているとのこと。