FIREの精神的な壁：自由の先にある現実

FIRE（Financial Independence, Retire Early）は、経済的自由と時間の余裕を手に入れるという理想を掲げている。しかし、実際にその生活を始めると、多くの人が想像していなかった「精神的な難しさ」に直面する。今回は、FIREを達成したYouTuberたちの現実と、私自身の考える解決策について述べる。

YouTubeで見つけたFIREの現実

私は現在、FIREに関連するYouTubeチャンネルを2つほど視聴している。どちらのチャンネルも、FIRE生活を送る50代の方が日常を共有しているが、そこで描かれているのはキラキラした理想的な生活ではなく、現実的な資産管理や生活の様子だ。最近、両方のチャンネルで、彼らが「張り合いがない」という悩みを共有していた。FIREを達成して自由な時間ができたにもかかわらず、徐々に日々の生活に刺激や意義を感じられなくなっている様子だ。

張り合いのなさとFIREの孤独感

FIREを実現した最初の1年ほどは、彼らも趣味に没頭したり、旅行に行ったりと自由な時間を楽しんでいたようだ。しかし、時間が経つにつれて、その新鮮さや興奮が薄れ、単調な日々に飽きが来るようになったという。一方で、人とのつながりが減ることも、精神的に辛くなる要因だ。FIREを目指す多くの人は、そもそも他者とのコミュニケーションを最小限にしたいという人が多いかもしれない。それでも、完全に人間関係がなくなると、孤独感が深まることは避けられないようだ。

私も同じ道をたどるかもしれない

このような彼らの経験を見ていると、私も同じ道をたどる可能性が高いと感じている。FIREを実現することで、確かに自由な時間は手に入るが、何の目的も張り合いもなく、ただ日々が過ぎていく人生になるかもしれない。何か新しいことを始めるにも、自由がありすぎるがゆえに、目的を見失うこともあるだろう。そうした空虚感が続くと、精神的に辛くなることが想像できる。

コーストFIREやバリスタFIREが現実的な選択肢

こうした問題を避けるためには、完全なFIREよりも、コーストFIREやバリスタFIREが現実的な選択肢だと考える。コーストFIREとは、ある程度の資産を築いた後、生活費を稼ぐために軽い仕事を続けながら、投資の運用益で資産を成長させる方法だ。バリスタFIREは、パートタイムや楽な仕事をしながら、同様に資産を増やす戦略だ。この2つの方法なら、生活費を気にせずにゆるやかに働きつつ、自由な時間も手に入れることができる。

資産があれば、年収に縛られないメリット

FIREを目指す人たちにとっての大きな利点は、資産があるため年収に縛られないという点だ。これは精神的に非常に大きなメリットであり、働くにしても年収や昇進を気にせず、自分にとって楽な仕事を選ぶことができる。YouTubeなどでチャンネルを持ち、趣味や興味を仕事にして収入を得ることができれば、それが理想的な形だ。FIREとYouTubeのようなコンテンツクリエイションの相性は良いと言える。

多くの人は組織下の労働に戻るだろう

しかし、現実には、多くの人がコンテンツクリエイションだけで十分な収入を得ることは難しい。多くのFIRE達成者が、結局のところ再び組織下で働く形に戻ることになるのではないかと考える。コーストFIREやバリスタFIREであれば、完全に自由を捨てることなく、適度な労働と自由のバランスを取ることができる。最終的には、自分にとって最適なバランスを見つけることが、FIRE生活を成功させるカギとなるだろう。

結論

FIREは、経済的な自由を手に入れるための手段であるが、それだけでは精神的な充足感を得ることは難しい。張り合いのない日々や孤独感に悩まされる人が多い中で、現実的な選択肢としてコーストFIREやバリスタFIREを考えることが重要だ。自由であることと同時に、適度な社会とのつながりを保ちながら、自分なりの張り合いを見つけることが、精神的な満足感を保つ秘訣である。