速度変化ギミックの作り方

0. はじめに

ここではTiming Listを使った速度変化ギミックの作り方を解説します。
追い越しやその応用ギミックなど、2つ以上のノーツに別の動きをさせるギミックの解説はここではしていません。

timinggroupが使えればギミックの幅は劇的に広がりますが、逆に言えばここで解説していることが理解できていないと使えませんので、作り方を知らない方は是非1. 基本的な速度変化3-1.小節線の調整だけでも読んでいってください。
基本的な作り方が理解できれば、後は発想や組み合わせ次第でどうにでもなります。

他にはよく使われるギミックの作り方の例を挙げて解説しています。
ただし、その中で紹介しているテクニックやコツが必ずしもあなたの譜面に適しているとは限らないということには注意してください。

1.  基本的な速度変化

まずは基本的な速度変化です。
ArcaeaのハイスピードはBPMと連動しているので、Timing Listで新しいBPMを設定することで速度を変化させることができます。
新しいBPMを設定するときにはTiming Listのプラスボタン、消すときにはバツボタンをクリックしましょう。

ここでは例としてAxium Crisisの冒頭部分取り上げます。
画像の赤枠で囲ったところがAxium Crisis冒頭の速度変化に当たります。
Timing Listの数字はそれぞれタイミング、BPM、拍子ですので、この場合、
 1411のタイミングでBPM 42.50の4分の4拍子
 2823のタイミングでBPM 85.00の2分の4拍子
 4234のタイミングでBPM 21.25の4分の4拍子......
といった具合になります。
フロアノートと同じタイミングですね。
このように、タイミングと変更後のBPMを設定することで基本的な速度変化を行うことができます(拍子の説明は後半でしています)。

画像1

2-1. 滑らかな速度変化

Galaxy FriendsやGrievous Ladyの逆走等で用いられている滑らかな速度変化は、仕組み自体は簡単なのですがめんどくさいです。
というのも、Arcaeaの速度変化には関数が存在しません。
例えばタイミング1000~2000の間にBPMを100から200まで上げたい場合、
 1000,100.00,4.00
 1250,125.00,4.00
 1500,150.00,4.00
 1750,175.00,4.00
 2000,200.00,4.00
のように細かく区切って少しずつ加速させる必要があるということです。
当然細かくすればするほど滑らかな動きになりますから、ある程度完成度を上げようと思えばそれだけめんどうになります。

2-2. 停止

次にSheriruthやDantalion等で用いられている一瞬停止するギミックを紹介します。
SheriruthのTiming Listを見てみると、
 84324,0.00,4.00
 84648,370.00,4.00
 84810,0.00,4.00
 85135,370.00,4.00…...
となっていいますね。
タイミング84324は手前の同時押しと同じタイミングです。ノーツを叩くと同時に停止しますよね。タイミング84810も同様に、奥の同時押しです。
そしてタイミング84648は2つ目の同時押しの8分(青のラインから緑のラインまでの間隔)手前になっています。
ここで一番大事なのは、叩くタイミングより手前で加速しているということです。
初めて作るときなんかは直感的に叩くタイミングと加速するタイミングを同じにしてしまいがちなのですが、それだと叩くタイミングがくるまでBPMが0なので、ノーツが判定ラインに貼り付いて叩くタイミングを視認できません。
ノーツのタイミングでBPMが0.00のままの場合処理すらも上手くいかないので注意しましょう。
基本的には8分手前や4分手前など(3連符主体の曲の場合は6分手前や3分手前など)、リズム的に安定したタイミングで加速させると不快感を与えにくいと思います。
Arcahvのように停止ギミックが詰まっている場合には16分手前での加速もありますが、公式譜面ではかなり珍しいです。
また、ここでBPMを倍速にしているのも大事なテクニックです。
加速した直後にノーツがある場合にここのBPMを基本BPMと同じにしてしまうと、ノーツまで距離が実際のリズムと比べてかなり狭くなってしまうことに加え、なんとなくもっさりした動きに感じられてしまいます。

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2-3. ほぼ停止

このギミックが分かりやすいのは竹の最後です。
譜面がほとんど進んでいないのにトレースは大きく動いていますよね。
これは、アークやトレースの縦横の動きはBPM変化に依存しないことを利用したギミックになります。
このギミックを使うと、例えば竹のように遅いノーツのタイミングを可視化したり、トレースで描いた文字や絵を徐々に消したりと、意外と面白いことができます。
作り方も、
 遅くしたいタイミング,0.01,4.00
 早くしたいタイミング,100.00,4.00
のようにするだけです。
竹の場合はBPMは5なのでゆっくりと動いているのが見えますが、更に遅くすれば、アークやトレース以外は止まって見えます。

画像3

画像4

2-4. 逆走

逆走ギミックには大きくわけて2種類あります。
1つはNhelvのように判定ラインの奥へ戻る逆走、もう1つはArcahvのように手前から出てくる逆走です。

まずは判定ラインの奥へ戻る逆走を解説します。
画像の赤枠で囲ったところがNhelvの2回目の逆走です。
 138838,-32.74,3.00
 141072,174.59,3.00
となっているように、簡単なものであれば2行で完成します。
ただしこのNhelvのように、マイナスのBPMとプラスのBPMを揃えたくない場合や、継続時間を揃えたくない場合には少しコツが要ります。
ノーツのタイミングは絶対なので、ノーツの位置から逆算して考えるということです。
例えば、
 0,100.00,4.00
 1000,-100.00,4.00
 1750,100.00,4.00
 2000,100.00,4.00(ノーツのタイミング)
とした場合、ノーツは必ず2000のタイミングで判定ラインと重なって処理されるのですが、そこから逆算して考えると、ノーツは1500のタイミングで判定ラインと重なり、500~1500の間は判定ラインより手前にあることが分かるでしょうか。
逆走する距離が前進する距離の3倍ありますから、ノーツを判定ラインの位置から逆走させたいなら、1750,300.00,4.00とすればいいわけです。

画像5

次に、手前から出てくる逆走です。
普通にBPMをマイナスにすればいいじゃんと思う方が多いと思いますが、実は少し違います。
Arcahvの最初の逆走を見てみると、逆走の前に、
 1251,57300.00,4.00
という謎の超加速が存在します。
なぜこんなものがあるのかと言うと、Arcaeaのノーツは必ず奥から流れてくるからです。
つまり、判定ラインの手前からノーツを出現させるためには、一度判定ラインを通り過ぎる必要があるということです。
また、アークノーツやロングノーツには継続時間があるので、しっかり処理させるために、ノーツのタイミングでBPMをプラスにしましょう。

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※ 必要があると書きましたが、overdead.という例外が存在します。
以前は必ず上記のような構成で手前から出てくる逆走ギミックが作られていたのですが、overdead.で初めて、最初からBPMがマイナスのノーツが使用されました。
それに伴い、2021/4/1以降に更新されたArcadeではマイナスのBPMで始まる動きに対応しています。
そのため、こだわりが無いのであれば、フロアノーツやスカイノーツはマイナスBPMで処理するのもアリかもしれません。

2-5. 急出現

最後にAxium Crisisや業等で用いられている急出現ギミックを紹介します。
画像の赤枠で囲ったところがAxium Crisisの急出現です。
見た目の割りに仕組みは簡単で、一瞬超加速させてからBPMを戻すだけです。
Axium CrisisではBPM99999.00を10ms継続させることで急出現ギミックを作っていますが、更に高いBPMにすることで1msの継続でも作ることができます。
このギミックでの注意点は、BPMが高いところにアークノーツやロングノーツを配置しないということです。
アークノーツとロングノーツのコンボ間隔はBPMに依存しているため、BPMが高いところに配置してしまうと急激にコンボが加算されてしまいます。
必ず低いBPMに戻してから配置するようにしましょう。
また、Axium Crisisで99999.00拍子になっているのも地味に大切です。
これはBPMを上げることで小節線が大量に出現することを防いでいます。
詳しくは3-2.小節線ギミックで解説しています。

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3-1. 小節線の調整

速度変化ギミックを使った後に忘れてはいけないのが小節線の調整です。
もし最後のBPM指定が表拍ではなかった場合、そのままにしておくとそれ以降の小節線がずれて表示されてしまいます。
ギミック後は必ず確認して表拍のタイミングで小節線を設定しなおしましょう。
 表拍のタイミング,直前と同じBPM,拍子
とするだけです。
ちなみに、timinggroupでは小節線が出現しません。
何重にも小節線が表示されたら大変ですからね。
そのため、timinggroupではこの小節線の調整は不要になります。
3-2で紹介する演出としての小節線も同様に使用できません。

3-2. 小節線ギミック

これはギミックと呼ぶほどの演出か微妙ですが、一時的に小節線を多く表示したり、逆に減らしたりすると見栄えが良くなることがあります。
例えばFracture RayやDantalion等で用いられています。

作り方はTiming Listの拍子を変えるだけです。
4.00は4分の4拍子の小節線なので、Fracture Rayの0.10なら1/40拍子(この言い方であってるか分からないですが...)、分かりやすく言えば40分間隔で小節線が出現するようになります。

簡単に言えば、数字を小さくすればいっぱい小節線が出て、数字を大きくすればなかなか出ないということです。
また、ここで大事なのは、小節線の頻度はBPMにも依存するということです。
同じ4拍子でも、BPM100とBPM200では2倍の速度で曲が流れているので、当然BPM200の方が2倍の小節線が出現します。
例えば本来BPM100のところを小節線の頻度はそのまま速くしたり遅くしたりすると、
 0,100.00,4.00
 1000,50.00,2.00
 2000,1000.00,40.00
 3000,320.00,12.80
 4000,100.00,4.00
といった具合です。

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4. 最後に

長々と速度変化ギミックについて解説してきましたが、理解できたでしょうか。
ギミックの作成は正直どれだけ理解していても失敗は付き物です。
timinggroupを使い始めればなおさらです。
なのでこの記事だけで完全に理解できなくても、試行錯誤してしていく中で理解を深めて良いギミックを完成させてください。
また、上手くいかないときはDiscordコミュニティにて質問してもらえれば力になれると思います。
そしてこの記事の内容が理解出来たら、次はtiminggroupを使ってArcaeaの速度変化ギミックの幅を広げていきましょう!

timinggroupを解説した記事は後日公開します!

記: なーど

Arcaea FanmadeのDiscordコミュニティ(日本向け)
Arcaea Fanmade
https://bit.ly/3cq7vwe

記事一覧↓
Arcaea Fanmade(創作譜面)の作り方一覧
https://note.com/nesiddo/n/nd54c0c766c8a

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