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たまこまーけっとという作品と京都アニメーションと自分

11月20日・21日に京都、ロームシアター京都で開催された
京都アニメーション主催のイベント『KYOANI MUSIC FESTIVAL』に現地参加してきた。
初日の土曜だけチケットが当たったので、金曜日に休みを取って奥さんと2人旅行。
この日には、「たまこまーけっと」北白川たまこ役の洲崎綾さんが出るので
チケットが当たってからずっと夢見心地だった。なんでかっていう昔話をします。

東京の人間である自分が、住んだことのない京都に並々ならぬ思い入れを持つようになったのは、
2013年に放送されたTVアニメ「たまこまーけっと」を見てから。
当時21歳?浪人したから2年生だと思う、ちょうどアニソンも流れる秋葉原のMOGRAという
クラブに行くようになり、中学生の頃に熱心に見ていたアニメを再び見るようになって1年くらい経ったころかと思う。

現役高校生の頃に「けいおん!」が社会現象化して、今では当たり前になった
アニソンがオリコン週間チャートに入る大事件が起こり話題になってた。
登場人物が使う楽器のレプリカモデルが楽器屋に売ってたような気がする。
自分はその時アニメから何となく離れていて、また今更アニメ見始めるのもなんだかな~という
謎に意固地な気持ちを持っていて、(だけど何故か「WHITE ALBUM」はリアタイで見ていた。深愛。)
更にクソ下手とはいえ軽音楽部に入っていて、いっぱい練習して上手くなって先輩に認められたい!っていう何となくの向上心みたいなのを持っていたがゆえの、「けいおん!」で描かれている
「ゆるふわカワイイ何となく~なスクールライフ描写で、俺らが大好きな音楽のこと描かないで欲しい!」という作品もまともに見ていないのにマジの偏見で穿った見方をしていたので、正直いうと大嫌いな作品だった。

「けいおん!」をちゃんと見たのは社会人になってから。当時見なかったことをすごく後悔した。
平沢唯ちゃんがレスポールのギー太をゲットして、嬉しくて一緒に肌身離さずずっと一緒に居るシーンを見て
「音楽の初期衝動ってこういうことなんだよな!相棒(楽器)といるとどこまででも行けそうな気持ちになるんだよな!!」
という気持ちになって落涙。それは高校生の時に思っていた気持ちと一緒だ。本当に好きな作品になった。

長くなったけど「たまこまーけっと」は、前述した「けいおん!」の監督である山田尚子監督の
久々の新作アニメーションで、当時まだ「けいおん!」は見てなかったんだけど何となく彼女の新作であれば抑えておかないといけないんじゃないかという気持ちで毎週水曜日深夜の放送をリアタイしてた。

「たまこまーけっと」の作品については公式ホームページをチェックしてください。


「たまこ」視聴時、山田尚子監督らしさ溢れる愛らしい人物描写や、写実的・映画的な演出の仕方と
京都アニメーション製の驚異的なアニメーションが自分の想像を超えるクオリティで、
アニメって今こんなすごいことになってんの!?って衝撃的だった。
作品の舞台、「うさぎ山商店街」の実在感ある描写が美しいなあと思っていたら、どうやら京都にモデルになった商店街(出町桝形商店街)が本当にあるらしい、ということを知る。
そんな場所があるのか。行ってみよう。
何のきっかけかは覚えてないけど、2013年の2月末には京都旅行に行っていたみたい。
学生だったので平日旅行。まだテレビ放送していた「たまこ」の本放送をKBS京都で見たんだよな。
京都が舞台のアニメを、京都で見るっていうだけでとてつもない徳の高さを感じた。
出町桝形商店街も旅行中数回行って、アニメの中に出てきた風景と全く一緒で、これ昨日アニメで出てた場所じゃん!再現度たっか!
まるでアニメの中のキャラクターがすぐそこに居るんじゃないか、と感動していたことを思い出す。
京都民・京アニファンにはおなじみの鴨川デルタとか、なんて素敵な場所が京都にはあるんだろうって発見ばかり。
そこから学校の同級生とか一人旅とか何らかの形で学生時代に数回京都に行った。
きっかけが「たまこ」だったので寺院とか神社とかにはそんなに興味がなくて、(カトリック教徒だっていうのも大きいけど)その代わりに商店街や川沿いの公園とか、喫茶店とかに好んで行く感じ。今も変わってない。

TVアニメ放送終了後の2014年に上映された映画「たまこラブストーリー」は、TVアニメのドタバタ感から一転して、今までこっそりと描かれていた主人公達の恋愛模様と成長し大人になっていくことで生まれる不安や焦燥感を描いた作品で、本当に素晴らしかった。
公開日の舞台挨拶もチケット当たって嬉しかったな。映画見るまではつまらなかったらどうしよう…と楽しみ 5:5 不安くらいの気持ちだったんだけど、映画見て開始5分で泣いた。
当時何回も作品を見に行って、ブルーレイも買って、TVアニメも映画も自分の中でとっっっても大切な作品になった。

学生の頃は京都って、自分や友達と行って遊ぶ・感傷に浸るって感じの場所だったんだけど、それが大きく変わったのが社会人になる前最後の土日だった。
当時、バンダイの女児向けキャラクターコンテンツ『アイカツ!』という作品にあり得ないレベルでハマっていた。
『アイカツ!』は作品のクオリティも素晴らしいけど、オープニング・エンディングや劇中歌のクオリティがいわゆる「女児向け」作品で作られそうな範ちゅうを超えていた作品で、とにかく楽曲が良く新曲リリースを毎シーズン楽しみにしていたし、女の子に混じってゲーセンやショッピングセンターでゲームをプレーしていた。

そんな中、色々あり『アイカツ!』を知るきっかけをくれたThe LASTTRAKというリミキサー兄弟が、「Good Coordinate!」(以下、グッドコーデ)というクラブイベントにゲストで出演という情報をキャッチ。
しかも場所は京都。学生もあと数日で終わるし、ちょっと無理してでも遊びに行っちゃえ多分後悔するぞ!と思い参加を決意。
イベントは昼だったんだけど、前日の夜にリアニメーションというDJイベントが羽田の国際線ターミナル内ホール(!)で開催されていて、そこにMOGRAで知り合った友達のOblongarが出演していたので深夜に遊ぶ。
彼と仲良くなったきっかけも「たまこ」なんだよな。その時に、「たまこまーけっと」主人公の北白川たまこのコスプレをしていた女の子が居てびっくり!もしかして…と思いTwitter検索するとやっぱりそうだ。
以前より「たまこ」好きで舞台になった喫茶店で働いている方がいる、という話を聞いていてなんやかんやでTwitter上ではつながりがあったけど喋ったことがなかったレイヤーさん(あまがみ めろこ)だ!
多分その時がはじめましてだったと思うんだけど、なんやかんやで仲良くなり、(タイミング違ってたらごめん)一緒に酒を飲んだり、たまこ(めろこ)が吉野家で牛丼を食べてるのを写真撮ったりした。(羽田の国際線ターミナルは深夜も空いている吉野家がある)
まあまあ酔っ払っており、さっきのたまこ吉野家写真もツイートして国際線ターミナルの床でツマミ食いながら酒を飲む行儀の悪いことをしていたらあっという間に朝。

マジで人生変わったツイート。

で、朝イチで高速バスに乗り(金がないので新幹線は乗れなかった)京都に向かっていると
たまたまTwitterで繋がってたけど話をしたことがなかったbassmicrobeさんが同じバスに乗っていることが判明。京都についてご挨拶し、一緒に祇園にあったスワロウテイルという箱に向かった。
この出会いが、この後のcommune310って音楽サークルの手伝いや、DJやトラックメイカーの方々との関係性を深めてくれたんだけどこの話は別件なので省略。

何やかんやあってグッドコーデ会場に到着。その日は近畿以外の地域から来た人は遠方割があって、遠方からきた証拠を見せないといけなかったので、腕に巻いてある前日深夜のリアニメーションのリストバンドを見せて一発合格。
と思ったらお客さんに話しかけられて「昨日のたまこが牛丼食べてる写真撮った人ですか!?」と聞かれる。さっきのやつ。まあ意味分からんツイートだよな。数年ぶりに見たけどやっぱり面白い写真。そのタイミングから関西の方々とのつながりがTwitterで出来ていった。

修学旅行でしか行ったことがないし周りにほとんど関西圏の方が居ない環境だったから普通は京都に友達ができる訳ないと思うんだけど、クラブと「たまこまーけっと」(あとグッドコーデと『アイカツ!』)のおかげで突然10人以上の知り合いが関西に出来たのだった。不思議な体験だった。

そこから社会人になり、もう今までみたいな遊びとか出来ないんかなと思っていたら、逆に思っていたよりも行動範囲が広がって、時間の代わりにお金を得たことで新幹線とか使えるようになってより気軽な感じで京都に行くことが増えた。
営業職をやっていた時期は京都の店舗がメイン担当だったこともあり、毎月京都に泊まりで行くようになった。
仕事が終わって食事した後は大体四条に出て、商店街を歩いて鴨川まで向かい、京阪で出町柳に行き、シャッターが閉まった夜の出町桝形商店街を歩いて「たまこ」に思いを馳せ、
暗い鴨川デルタの階段に座り、京都大学生と思われる集団が花火をしている様子だったり、カップルが2人手をつないでベンチに座っていたり、目の前に立っている鳥をずっと見ていたり…
ここまで頻繁にここにきていると、観光ではなく生活をしているんだ、という気持ちで深夜の鴨川デルタを毎月眺めていたことを思い出す(怖いな)
色々あって店舗勤務してた時も、11月の紅葉タイミングの京都が見てみたくて、深夜バス使って平日に京都行ったこともある。その日のうちに深夜バスでとんぼ帰り。

そんなこんなで京都に遊びに行き続けていたとある日、「おもちナイト」なる「たまこ」ファンDJイベントが開催予定で、ネルくんにも関東からDJをしに来て欲しいと初めての地方ブッキングが。2016年。
しかも「たまこ」作品内の主人公、大路もち蔵の誕生日。一夜限りの星とピエロ。
作品内に出てくる楽曲はもちろんのこと、DJ陣が物語の中の彼・彼女を思い出させる、もしくは聞いていて欲しい楽曲を流すというめちゃハードルが高いイベントだったんだけど、45分×2セット(だったかな?)のDJはとても好評で嬉しかった。

当時のツイートまとめ。
その時は繋がりがなかったけど、今は友達っていう方々のツイートがどんどんと表示されて面白い。たどっていくと当時の再現ミックスも聞ける…はず。


このイベントの出演でより地方やDJとかそういうのを問わず友達が増えた。本当に嬉しい経験だったな。
『おもちナイト』の2回目はmini版として開催。その会場は、作品内に出てくる喫茶店(の跡地に入った別の喫茶店)だった。
「たまこ」内では喫茶店のマスターが登場人物の気持ちに合わせた楽曲を流す、という
キャラクター達と音楽が繋がるとても大事な場所だったので、まさかモデルになった場所で
自分がキャラクター達を想って曲を流すことが出来るなんて!こんな幸せなことないよなあ。

当時のかけた曲リストが出てきた。いい曲流してるなあ。解釈一致。


この日はOblongarと2人でMOVIX京都で「響け!ユーフォニアム」の劇場版を見に行って、
見終わった後居ても立っても居られなくなって京阪に乗って、作品の舞台である宇治に駆け込んだんだっけ。
京都が舞台の作品を京都で見ると、舞台にすぐ行けるのに感動した。夕日が映画に出てきたように美しかった日。


その後、しばらく経ってから同一イベントで共演していた百合蔵主催による「Layered」というパーティーの初回に呼ばれたり。
コンセプチュアルなDJイベントとして京都メトロで開催中のLayeredも、初回はどちらかというと
『おもちナイト』、また同じ京都アニメーション製作の吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム」が
好きな方々が集う要素のあるイベントだったように思う。SPゲストが「たまこ」楽曲制作をされた山口さん。
京都メトロなんて歴史あるライブハウスでDJが出来るなんて!と嬉しながらも緊張状態でDJをしたのだけど、共演者の山田ワープさんがガッツリ踊ってくれてDJ後めちゃ褒めてくれたのを覚えてる。オンラインでは書けないけど出演者のみが知ってるサプライズもあった。あれは驚いたし、頂点の体験だった。
こういう環境の積み重ねがあってこそなんだな。

おもちナイト、またLayeredの1回目で必ずかけてるのが『Happy Birthday / GOING UNDER GROUND』。
最強のもちたまソングだと未だに思う。爽やかで疾走感ある青春ロック。ギターリフが美しくて泣いちゃう。


先述したグッドコーデも京都や大阪で開催されるたびに遠征して遊びに行ったし、
グッドコーデの会場で東京から来ていた友達に『巡』という遠征DJイベントに誘われたり。

そんなタイミングと合わせたり合わせなかったりで彼女とも京都に旅行して色んな場所(主に川沿い)に行ったんだけど、たかが川沿いでしょ~?みたいなことはなく、鴨川デルタの不思議な魅力を理解してくれたみたいで旅行に行く度に一緒に行く場所になった。
結婚したときも、なんだかんだで色々あって結婚準備を進めてたんだけど、改めて結婚してくださいって言ったのは実は「たまこラブストーリー」で印象的な鴨川デルタの飛び石のシーンと同じ場所だったりする。同じ石。落ちてはない。いい話じゃない?
好きな作品の好きなシーンと同じ場所で、大切なことを相手に言えるのは嬉しいよなあ。
長い期間お付き合いしていたとはいえ、ちゃんと伝えた後はなんだか宇宙の入り口に立ったみたいで。人生が動いていく音がした。こういうことが出来る場所があるのも嬉しいよね、実在の場所を忠実に再現して描いてくれた京アニに感謝よ。

京都アニメーションといえば、忘れたいけど忘れちゃいけない例の事件があって
大変な状況になったところから立ち上がって「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」や「メイドラゴンS」が生まれて、いよいよ完全復活というタイミングで今回の京アニフェスが開催決定。
初日が「たまこ」「ユーフォ」と夫婦が狂うくらい好きな作品が両方集っておりこれは絶対に当てなければいけない、当てないと一生後悔するし配信でみるのはマスト、でも絶対に勝ち取りたい、現場にいないといけない、こんな機会次にいつあるか分からん、絶対にその目と耳と身体で感じたいと血眼でチケットの抽選に応募。
なんでここまで血眼になるかというとこんなに人生を変えてくれた作品だから。

そしたらなんと当選。2枚。夢かな。
「たまこ」が出るようなイベントが開催されるのは次が何時になるか分からないのでとにかく喜んだ。
久々の京都だしコロナ禍で旅も出来なかったので、エースホテル京都なんて高級なホテルに(格安で)泊まるなど。

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かっこいいホテル(のロビー)だ。

京アニフェス当日、心臓バクバクで入場したらまさかの最前列。最前列!!!最前列!!!!!!!!!!!!
端っこだったので地味に距離はあったんだけど、他のお客さんに遮られない最前列、
視線も合いそうな距離で演者が歌っていること、目の前で「たまこ」が歌っている事実、
「ドラマチックマーケットライド」「ねぐせ」「プリンシプル」と関連楽曲を3曲歌ってくれている時に、学生時代からの色んな思い出、色んな経験、最近会えた人、もう会えない人、酸いも甘いも色んなことが起こったよなあ、
でそんな思い出の中心には「たまこまーけっと」があったな、ということが頭を駆け巡り、
イベント序盤にも関わらず大号泣してしまった。
みんなアニメに救われてると思うんだけど、京アニ、特に「たまこ」が好きでよかったな、好きで居続けた数年間に向けて、京アニがくれたご褒美みたいな3時間半だった。
イベント中、SCREEN Modeのボーカルと目があったのでリアクションしたら返してくれた(気がする)。イベントはしばらくアーカイブ配信あるよ!みんな見るんだ!

1日目はフォトセッション有り。「Free!」関連イベントでは恒例らしい。
マウント取りたいので写真をアップします。

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「たまこ」に出会ってからもうちょっとで9年。大台までもう少し。
特定のものを好きで居続けるっていうのは大変だけど、好きだったからこそ色んな経験が出来た。
「たまこまーけっと/たまこラブストーリー」は死ぬまで自分の心にあり続ける作品だと思う。
出町桝形商店街は行く度に何かが変わっているし、その変化によって最新の文化が生まれている雰囲気がある。
そんな変化していく街の中で「たまこ」が変わらず商店街の中で親しまれていることが嬉しい。
昔からの文化と新しい文化が上手く共存して、常に進化している京都はいつまででも憧れの街であり続けるんだろうな。

「たまこ」はいつまでも、初めて出町柳に行った時のあの時の空気を映してくれる。
あの時の景色はもう現実にはないんだけど、アニメを見ればあの街に戻ることが出来るっていうのも嬉しい。
できれば何十年後も愛される作品であって欲しいな。じゃなくても少なくとも自分は愛していると思う。
京都から東京は遠いし、まあもしかしたらもっと遠くの場所に行くこともあるかもしれんけど、それでもアニメが好きで、京都が好きなんだろう。


ありがとうたまこまーけっと、ありがとうたまこラブストーリー

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