悪魔か天使か?⑤
ある朝、会社の最寄り駅の改札を出る時、
前からA子さんが歩いてきた。
「おはよう」と僕が言ったが、
A子さんは苦笑い的な感じで通り過ぎて、
駅に入っていった。
朝で寝ぼけていたので瞬間的に分からなかったが、
少し考えてから思った。
「ん、なんで?」
9時になってもA子さん会社に来ない。
A子さんから休みの連絡もないということで、
先輩がざわついた瞬間に課長が一言。
「今日は午後から来ると連絡があった」
僕は新人だから、誰よりも早く会社にいた。
電話なんか無かったけどね。
おそらく、A子さんは課長と一緒に居たのだろう。
朝まで一緒だったのか?
そーゆう感じ?
彼女はアツシなんかよりも、完全に上手な人だ。
僕はその一部始終をアツシに話した。
アツシは僕よりもA子さんと話しているので、
もっと色々なことを知っていた。
A子さんは23歳でバツイチだということ。
その時の結婚相手は会社の上司だったらしい。
が、離婚することになって、会社も辞めることになって、
派遣社員というカタチになっているということ。
この話を聞くとさ、色々と考えるよね。
A子さんは八方美人で誰にでも優しいから、
優しくされたおっさんが好かれていると思う。
嫌がらないわけだからね。
それでグイグイ来られるのではないかと。
という見方と、
それも含めて全てが計算で行われていて、
それで自分のポジションを作っているのかもしれない。
笑顔で対応している人なので、
表情からは全く分からないような人。
僕があまり深入りしなかったのは、
この不気味な感じが好きなタイプじゃないから。
アツシは基本は単純でバカである。
なので、バカなりに考えた作戦を実行し始めた。
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