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本能

#ポエム #詩

花は静謐さを周囲にたずさえたまま
微かなまどろみを見せた

蜂は放たれる甘美な芳香に怯んだ
私は迎えられている?
それとも捉えられる運命にある?

ひとすじの風によりわずかにずらされるふたつの重心
煌めきをまといながら舞う金色の微粒子
白日の下に展開する宇宙

その刹那
DNAの塩基配列が記憶する
抗えない高揚が彼の脳幹に何かを囁いた

そもそも一介の虫に理性など無かったのだ
羽音は花弁の奥へと消えていった

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