見出し画像

80歳の父が水道工事の悪徳業者にはめられた話

タイトル通りの事件が起こりました。あまりにも手口が巧妙で、見抜くことはほぼ不可能だと思ったので、経緯を説明します。誰にでも起こりうるので、参考にしていただけたら幸いです。


父が水漏れ工事を依頼した経緯

ある日、キッチンが水漏れのため、床が濡れていたとのことで、父がインターネットで業者を調べて修理を依頼しました。サイトはこちらです。

https://www.seibusuidou.net/

ここを選んだ理由は、「なんかちゃんとしていそうだった」とのことです。うん・・・、確かに。この時点で、80歳が「怪しい」と見抜くのは相当難しいと思います。独自ドメインも取ってるし。

そうして、工事をしてもらったそうです。

怪しいと気づいた経緯

両親はまったく疑っておらず、日常の報告のようにこの話を聞いて、おかしいと気づきました。

・水漏れ工事のために9:00-17:00、ずっと一人の業者がいた(その間、キッチン使えず)
・請求が105万円だった
・手付金として10万円を現金で渡した

時間の長さと金額の高さがおかしいので、知り合いの工務店さんに聞きました。すると、以下の点でやはり怪しいとのことでした。

・契約書を交わしている点(コンクリなどを剥がすような大工事になるとしたら、開けてみないと分からない点が多すぎて、金額は普通出せない。なるべく安くするために、全体が分かってから見積もりを出すはず)

・現在、水漏れが止まっているとしたらパッキンなので、せいぜい5,000円〜30,000円。よほど特殊な工事でなければ考えられない金額。

全国の個人で活動している水道工事業者を相手に、大手が契約を結び、車などで借金1,000万円させ、結局、月に1件くらいしか仕事が入らないから、年寄りを騙して、やる必要もない工事契約を結び、高額請求をせざるを得ない人が増えているそうです。本人も苦しんでいるとのことです。業者さんは、このケースではないか、とおっしゃっていました。大手でも安心できないため、冷蔵庫に貼るマグネットなどには要注意だそうです。

こちらが実際の見積書です。複写で請求書、契約書が付いています。

金額の割にざっくりした見積書

クーリングオフを依頼

その日のうちに、わたしが電話をし、「両親が分からないままにサインしてしまったのでクーリングオフをしてください。この会話は録音していますが、クーリングオフが確実にされたという文書を用意してください。実際の工事について、わたしに説明の上、既に施工した部分の請求書を新たに起こしてください。その分のみお支払いします」と伝え、日時を決定しました。

実態のない会社

会社について調べたところ、おかしなところがいっぱい出てきました。会社の情報は以下の通りです。

会社が実在しない

運営管理と書いてある、名古屋の住所と会社名を検索するとこれが出てきます。

「閉業」と出てきて、この電話番号は使われていない

「登録番号」が何を示すのか分かりませんが、法人番号はでたらめでした。

その他、記載されている住所はアパートなどで、どこにも「アドバンスホーム」という会社はありませんでした。

唯一、名刺の住所を検索すると、こちらが出てきました。

おそらく個人宅です。

会社の電話番号がない

サイトや請求書など、どこを見ても 0120-433-399 以外の電話番号がなく、この番号は家に来た個人の携帯につながるものです。

サイトがいんちき

改めて見ると、変なところばかり・・・。写真はフリー素材で、全国っぽく地名が書いてありますが、「愛知」と「静岡」以外はクリックできません。どちらも同じページに飛びます。

ブログ、Twitterなど、SEO対策用にのみ、更新しているようです。ものすごく手が込んでる・・・。

https://twitter.com/seibusuidou
https://blog.goo.ne.jp/seibusuidounet

いずれにしても、会社は実態がありません。おそらく、会社に見せかけた個人事業かと思われます。

激昂して逃げられた

知り合いの工務店さんに同席してもらい、再度、来てもらいました。

が、依頼したクーリングオフの書類も実際の請求書も持たず、経緯を一方的に説明されました。(その説明もおかしなことばかりだった)

工務店さんが突っ込むと、徐々に激昂し、「本来は50万円かかる工事を既にやったので払え」「訴えてもいい」「警察を呼べ」と言われました。

そこで、わたしが「会社について教えてほしい。会社の実際の住所と電話番号を教えてほしい」と言ったところ、「話をはぐらかさないでください。払うんですか、払わないんですか!もう工事はやってあるのに!!」と怒鳴られたので、「今の状態では払えません。正確な工事内容が分からないし、正しい請求書もないので。また、会社のことも不明だし」と言いました。

すると、105万円の請求書を握りつぶして奪おうとしたので、わたしが奪い返しました。大事な証拠だから。そうしたら、ぐしゃぐしゃにした請求書を投げつけて逃げました。そこで、追いかけてナンバープレートの写真を撮りました。

結果、内金として払った10万円は取り返すことができませんでした。つまり、この10万円は何としても死守するために、逃げたのだと思います。

警察に通報した

以上の経緯を警察に通報しました。が、「こちらから依頼した」ために、詐欺として刑事事件に立件することは難しいと言われました。

やるとしたら、消費者センター・・・。何かやってくれるとは思えないけど・・・、年明けに連絡してみます。あと、税務署にも通報しようかな。

手口のまとめ

・とにかくインターネット上の情報に手が込んでいる
・請求書、印鑑、名刺、電話番号なども取得してある
・一応、工事はやってくれる
・長時間滞在し、家を褒めたりするらしい(手口?)
・「ちゃんと直せば200万、応急処置50万、ある程度しっかりやると100万、どうしますか?」と不安を煽って、「200万よりマシ」みたいな判断をさせる

なんでこんなにネット情報の手が込んでいるのか、ブレインがいるのか、組織があるのか、逆に興味があります。結局、内金の10万円は戻ってこないと思います。そもそも、内金として50万円、現金で請求されたそうなので、もし、家にそのくらいの現金があったら、取られていたと思います。

もう10万円は返ってこないでしょうが、このまま実態のない会社をのさばらせ、被害者がどんどん生まれるのが悔しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?