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プラスティック・アニメ

2018年11月、教室にプロの鍵盤ハーモニカ奏者、南川朱生(みなみかわあけお)さんをお招きして、素晴らしい演奏を聴かせていただきました。

鍵盤ハーモニカは、ほとんどの子どもが園や学校で演奏します。でも、「何か楽器弾けますか?」と言われて「鍵盤ハーモニカ」って答える子はめったにいません。楽器って思っていないからなのか、「演奏できる」と思っていないからなのか・・・。

皆さんは、鍵盤ハーモニカを素敵な楽器だと思って演奏していましたか?

わたしは、あんまり好きではありませんでした。みんなで一斉に大きな音でブーブカ吹いて、音楽的ではなかったから。今の方がずっと、鍵盤ハーモニカって面白い!と思い、子どもたちにもよく演奏させます。

せっかく触れる楽器ですから、子どもたちには「素敵!」「かっこよく弾きたい!!」って出会って欲しいなぁと思い、企画しました。

朱生さんは、速弾きがとてもお得意なんです。子どもって、とりあえず速いのが好きですから、まずはそれでガツンと刺激を受けて、さまざまな音色に興味を持ってくれたらと思いました。

ライブは大成功で、ミューレの生徒だけであっという間にチケットが売り切れたので、急遽、2ステージめもやっていただくことになりました。

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ライブのときに、オリジナルCDをサイン入りで購入しました。

3枚あったのですが、中でも「プライマリ・キー」が、物語や絵画のように全体が構成された現代音楽で、とっても面白い作品だったので、朱生さんにご快諾いただき、子どもたちと分析して動きを付けることにしました。

リトミックでは、音楽の構成や要素を理解して、それを目に見えるように動きに表す課題をプラスティック・アニメといいます。

まずは何も伝えずに(鍵盤ハーモニカであることも、タイトルも何も)、何を表した音楽か、意見を出し合いました。小学生たちは、その中から「森のおまつり」と「あやつり人形」というイメージを膨らませることにしました。

次に、音楽的な分析をしました。たとえば、同じフレーズが繰り返されているとか、強弱とか、見つけたものを発表します。

まだ複雑な五線は読めないので、わたしがちぎり絵でスコアを作りました。このスコアを指でなぞり、どんな音がどんな風に重なっているか、何度も何度も聴きました。

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理解した音楽を動きとして表してみて、そのように見えるかどうか検証を重ねました。

この子たちは、いつもは4クラスに分かれています。それぞれの色を衣装にして、実際の創作はバラバラに行いました。最終的な全体構成はわたしがやりました。初めて全員で合わせたのは、本番前日でした。せっかく集まるから、保護者さまたちがカレーを作ってくれて、みーんなで食べました。一緒にご飯食べると、なんだか、一体感が生まれるんですよね。

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中高生のクラスは、分析から創作、練習までを全て自分たちで行い、衣装も自分たちで考えました。

そうして仕上がったのが、こちらの作品です。

これ、実は、いちばん難しいのは「待っている時間」です。特に、小学校低学年の子たちが、自分の音が鳴ったときだけ動くというのはなかなかできません。

朱生さんのサイトでもご紹介くださり、とっても褒めていただけました。

こんな風にして、おひとりのミュージシャンとの出会いがどんどん膨らんで、豊かな体験に繋がっていきました。まさに音楽体験!って感じ。いいなぁ・・・。わたしもうらやましいです。


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