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ミューレ住宅フェスティバル

10年以上前、急に思いついて、ダンボールで家を作る遊びをしました。そのときの計画から実行までの様子です。こんな風に、突発的に遊ぶ文化があり、保護者様が全力で協力してくれていました。今も、ノリは近いです。


2010/10/01 イベントの持ち物

小学生の生徒を対象にした「おたのしみ会」を開いた。

元々は、研究科が「みんなでキャンプしたい」と言い出して、なんとか実現できないか、いろいろ話し合って、「おたのしみ会」ってことに落ち着いたのだ。いわば、子どもから自然発生したイベント。

とりあえず、「火を使わないものをみんなで作って食べよう」ってことと、「近所の公民館を先生が借りとくよ」ってことだけ決まり、その後、放置。

「やりますよ」という告知と、出欠を取り、あと、「保護者のお手伝い募集。ただし、子どもと遊びたい方に限ります。」とお知らせしといた。各講師陣には、「おたのしみ会やるんだけど、来る?」ってお誘い。そのまま、3日前。

S先生と全く別件で打ち合わせしていたとき、「あさって、おたのしみ会だねー。何やろっかなー。楽しいのは分かってるんだけど、何してあそぼうかなー。そうだ!!家作ろう!家!!!」と、急に思い立った。そのまま、S先生に特に具体的な相談をするでもなく、「よし、家だ、家。」というほくそ笑みだけで帰宅。

何も決まらないまま、前日の昼過ぎ(夕方かな?)。保護者から、「せかしてすみません・・・、明日の持ち物は・・・?」と、メールが来た。

この文面をそのまま読んで聞かせたら、「あり得ない!!!ナンにもせかしてないよ!前日でしょっ?!!!」とビックリされた。

「ごく一般的な」「ちゃんとした」大人が企画したおたのしみ会とは、一体、どういうものか、懇々と説明される。とりあえず、内容については以下のようなメールを送った。

内容:『ミューレ住宅フェスティバル』
    ↑講師も今初めて知ったと思います。(^^;;

K藤組、Sハウジング、佳織建設(常務:s先生)の3社が、それぞれの会社のプレゼンをします。
どこの会社に魅力を感じたか、子どもたちは決めて、入社します。
そして、制限時間内に、それぞれで家を建てます。
建てた家の内覧会にご招待し合います。それで終わり。

それから・・・、必要事項は・・・、そうだ、持ち物、持ち物。

持ち物:水筒、タオル、着替えなど・・・、お母さんの目で必要そうだなーと思うもの。

一部の恐い保護者から、「何、この「必要そうだなーと思うもの」って!!あり得ん!!!しかも必須って!!」と、早速クレーム。こわっ!

あと、以下は任意。

<建築資材>
段ボール、トイレットペーパーの芯やら、ティッシュの空き箱やらの廃材。捨てることを考え、金属やプラスチックはナシ。
要らない折り紙やら色画用紙やら。

<工具>
絵の具、段ボールカッター、はさみ、などなど。
楽しめる範囲で持ってきてもらえるとありがたいです。

この一文も加え、完璧。そうそう、最後に例によって、抜けがいっぱいあるかもしれないので、何か気づいたらお気軽に聞いてください!というのも加えておいた。

これで、結局、すべてつつがなく終わったのだから、「ミューレの保護者って、本当に偉い!!幼稚園とか子供会とかの行事だったらあり得ない!」と言われた。ほんとにそう。ミューレの保護者って、すごい。あと、すごいのは講師陣。誰も文句言わないどころか、段ボール集めに前日を費やしてくれたり、「明日さ、仕事着(建築ウェア)で来て。」と頼んだら、「そのつもりだったよ。」って言ってくれたり。そんなこんなで、ミューレの変なおたのしみ会のはじまり、はじまり!

2010/10/02 イベント当日

10時にワラワラと人が集まり、持ち寄りの材料を運ぶ。

お手伝いのお母さんたちに、会計と昼食の計画をお願いし、子どもたちは材料の仕分け作業。案の定、予想通りのメンツが働きもせずに追いかけっこ&チャンバラ。(含・大人ひとり)

絵の具やペン、空き箱、段ボールが種類別に積まれて行く。

この様子を見て、「誰のでもグチャグチャになってるけど大丈夫かな?」と大人たちは思ったみたい。私は、起きたことを起きたなりに処理するタチなので、観察してる。

結局、材料を誰かが仕切って平等にしなくても、誰の絵の具でも糊でも、自由に借りて自由に使う。特に問題はなかった。「ズルい!」とか「貸さない!」とか、「使わないで!」とか。

そういうことがミューレで起こるということを、あんまり考えたことがない。

社長たちのプレゼンを聞く。何の打ち合わせもしてないけど、大人たち、それぞれ、すっごくプレゼンが面白かった。

好きな会社に入社する。うちの常務が前で手を組んでて、本当に常務みたい。アハハ。

一番人気のSハウジングにピンクな女子が集まり、様子を見ながら、他の子たちも分かれていく。企画段階では、学年や人数をそれぞれ、同じくらいに割り振ろうと思っていたのだが、前日、この計画を話したSちゃん(中1)に、「どの会社に入る?」って聞いたら、「少ないところ。」と言った。それを聞いて、あぁ、そうか、別に人数を一定にする必要はないな、一人なら一人でもいいか、と思った。子どもって、元来、そういうものなのかも。

KN藤組。まず、とにかく作る。とにかく動く。そんな集まり。
「皆様のニーズに全てお応えして」がモットー、博愛主義のSハウジング。まず、みんなで社員証作り。お城を造ると決まったので、みんなでデザイン画を書いて、それを社長がひとつにまとめる。なんだ、この団結。まず資材が集まってるところもSハウジングっぽい。
佳織建設。まずはコンセプト。「合掌つくり」「妖怪の家」「ものがたり」っていうのがキーワードになった。社員が少ない上に、戦力にならなさそうなのが集まってるけど、大丈夫かな?

ランチは、お手伝いのお母さんたちに、「予算はコレ。で、子どもを各社から派遣するなり、なんなり、お任せするので、計画立ててください。子どもの選出とかは私がやりますから。」とお伝えした。これ以上のことは言わなくても、なんか、自分たちで考えてやってくれる。すごーーーーく、ありがたい。こういうこと、聞いてばかりでちっとも動けない人が多いので。まるで、ミューレっていう、本当の会社の社員のようだ。

そしたら、結局、「仕事に専念してください。」ってことで、買い出しから調理、配膳まで、全部、やってくれた。バイキング形式のサンドイッチ。おいしそう!具とデザート、すごく、このイベントの範囲内で、いろんなことがちゃんと考えられてる。お金のこと、年齢のこと、栄養のこと、楽しさのこと。

どうして私がこういうことを丸投げするかっていうと、こんな具合に、私が考えて全て指示するよりも、ずーーーーっと「こっちの方がいい!」っていう結果になるから。みんな、並んで具を挟む。飢えた男子たちを先にしてあげた。高学年はまだだよ!学年が上の子が、飲みものや席のお世話をしてあげ、おしゃべりしながら食べる。こういうのも楽しいんだよね!!

建築の様子。彩色。すっごいアートなチビちゃんたち。カウチソファかな。「Sせんせぇ~~~」って、女子に大人気のS先生。KN藤組の親方が、KN藤組が「職人系」なのに対し、Sハウジングは「キャバクラ系」というカテゴライズをしてた。すっげー笑った。合掌作りの屋根を製作中。段ボールの表一枚をはがし、はがした紙を糊で貼る。屋根と壁を彩色中。カーペンターYKちゃん。私が見たとき、いつも彼女はこの姿勢だった。外壁作り。スタッフの誰かが、「結局、参考にはしなかったみたいだけど、最初にデザイン画を書いてたみたいよ。」って言ってた。S先生はみんなの持ってるイメージをまとめてこうしたそうだ。この認識の違い、クリエイティブな活動ってこうだよな、と、面白かった。天蓋つきのベッド。2階建て建築中。

完成。お城お城内部伝統的日本家屋妖怪の住む合掌作りプレゼンテーションを寸劇でやった。SHMが、「劇やりたいんだけど!」と提案したことに対し、常務が「うちの社長、そういうの好きだから、たぶん、通ると思うよ。」って言ってた。

イベントの終わりは、もったいないけど、みんなでつぶして、分別してゴミになった。Gradeちゃんたちに遊ばせてあげたかった。でも、この、「無くなってしまう」っていうのがいいのかも、と思った。つぶすの、すっごく楽しそうで盛り上がった。


まだまだ教室が小さかった頃のイベントはこんな感じでした(笑)。今は生徒数も増えたので、ここまでいい加減というわけにはいきませんが、ノリは同じです。計画的にやらなくても、元々計画なんかないんだから、何がどうなったって「失敗」ということはなく、ギスギスすることがありません。

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