クローズでの就労に拘る発達障害者

 ブログをやっていた時代にも書いたが、私は働くことの目的は金を得ることだけだと考えている。それ以外にない。サラリーマンであることに誇りを持っていることは本当に見苦しいし、労働に余りにも向いていない人が多々いるのは仕方がない話である。それに、『氷河期世代発達障害適応障害鬱ひきこもりニート』である自分自身にとって、その位の気持ちでいないとやって行けないということも加えて置きたい。
 しかし、中には『人間は働くべき』ということをモットーにしている人もいて、そういった方々には肯定も否定もできない。単純に仕事に対する意気込みが違う面々として捉えないと、最終的には言い争いや殴り合いにまで発展しそうな気がする。残念な話ではあるものの、誰しも分かり合えない存在というのは少なからずウロチョロしているのである。
 そんな中、その『働くべき』を実践しながらも、失敗を繰り返して情けない姿を晒している人がいる。あるSNSの発達障害のグループにいる岡山さんというのがその男である。
 先ず、私が岡山さんを知ったきっかけは、彼がグループの投稿で何度も自動車の単独事故を起こしているということを発信した点からだった。それに対し、数々の登録メンバーが「車を手放すべき」と言っているのにも関わらず、岡山さんは「田舎なので足が必要だ」と返信していた。まあ、発達障害であってもなくても、運転には向き不向きがあるので仕方がないけれども、彼の妙な拘りからは自閉症の恐ろしさが感じ取れた。
 それから、岡山さんは仕事を転々としていることをアップしていた。どれも障害を隠すクローズ採用で入ったもので、会社に酷い扱いを受けた上に使用期間でクビになるケースばかりであった。自動車も満足に運転できないレベルの重度の発達障害者であるのに、何故か障害者枠で働くという選択肢を持たないのである。また、生活保護に頼ることも念頭に入れなければならないのだが、彼の『働くべき』という精神が空回りし、投稿の度に炎上してしまうのであった。勿論、登録フレンドのアドバイスの数々を聞く耳は持ってはいない。こうなると、非常に情けない境遇にある私は何も言えなくなってしまう。
 このように、世の中には労働に向いていない人間が『働くべき』というプライドを持っているが故に失敗を繰り返すケースが沢山ある。障害者だから仕方がないと言えばそれまでなものの、ここまでクローズに拘られるのは、会社からしたら地雷を踏んだとしか言えないレベルである。本来なら、岡山さんのような人間は福祉に頼るしかない存在なのである。
 ただ、私から岡山さんにアドバイスを送るのは火に油を注ぐのと同様だと思っているので、モヤモヤしながらもスルーを決め込んでいる。完全に『働くべき』という言葉に支配されている彼に対して、違った意見を述べるのは些細な喧嘩の原因にも成り得るのだ。岡山さんにはなるべく無理をしないで働かない生活を送って貰いたいけれども、発達障害者特有の『自分ルール』を否定することはできないのである。
 重度の発達障害を持っていても、いや、だからこそ、自分で自分の生き辛さをヒートアップさせている人達が世の中には多く存在するのだ。

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