パラサイトの憂鬱

 先日、マンションの隣の部屋の富田さんという人が引っ越すことになり、色々と荷物になる物を貰えることとなった。絨毯、椅子、布団等を頂いた。そして、そこから出て行く理由を訊いて、かなり驚かされた。どうやら、富田さんの息子は海外で仕事をしており、そこの家に親を住まわせる決意をしたらしい。
 これに対して、私は素直には祝えなかった。本来ならば親を養わなければいけない自分という存在が、完全にパラサイトの邪魔者と成り果てているからである。
 基本的に、我が家の生活は父の少ない財力と母のやり繰り能力で成り立っている。父は年金を貰いながら登録制のシルバーさんとして今でも働いているし、母は決して頑丈とは言えない身体で家事やその他をこなしている。それに対し、私は障害者年金は自分のことだけに遣っている上に家の手伝いはまともにできず、本当に要らない存在と言えるだろう。
 数年前、親に「一人暮らしをする」と言って「お前には無理だ」と一蹴されたことがある。この件があってから、私は自分がパラサイトでも良いのではないかと思うようになったのだが、現実は大きく異なる。絶対に私がいない方が両親も楽に生きられるはずだし、余計な心配をする必要もない。そんなことが頭を巡り、希死念慮が強くなっているのが現在の我が身である。
 この負の感情から抜け出す方法は一つ。私がきちんと働いて家に金を入れることだけである。しかし、仕事が長続きしたことはなく、今ではどこを受けても書類選考で落とされてる。別に高望みをしている訳でもないものの、どんなに頑張っても上手く行かないのが現実だ。要するに、私はまともな生き方が全くできていないのである。
 そんなことを書いている今日、ハローワークに行って自分にもできそうなパートに応募しようとしたけれど、制服を実費購入しなければならないことを知って辞退した。こういったことの繰り返しなのだから、私がパラサイトから卒業できる日はまだまだ先になりそうである。

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