花に水をやる

家の鉢植えを眺めながら花に水をやる
植物の成長を感じながら花に水をやる
奇麗に咲いている花びらに心をときめかせ
枯れている葉っぱを見て気分が落ち込む

僕にできることはこれだけだから
家族に貢献できるのはこれだけだから
他にできることは何もないから
僕にとって唯一の仕事だから

完全に花が干からびてしまって
もうこれ以上は水をやっても無駄で
それをゴミ箱に捨てたら
僕の仕事は遂になくなった

僕にできることはこれだけだったから
家族に貢献できるのはこれだけだったから
他にできることは何もなかったから
僕にとって唯一の仕事が失われた

花に水をやるというそれだけの行為で
何だか救われた感じがして
それを失っただけの僕は
本当に存在する意味がなくなった

僕にできることは他にもあるだろうか
家族に貢献できることがあるだろうか
少しでも動き出す希望が出るだろうか
僕の仕事はとにかく失われた

僕はこれからどうやって生きるのだろう
僕はこれからどうやって死ぬのだろう
枯れて捨てられた花のように
散って用なしになってしまうのかな

母が新しい花を買ってきた
「今度は長持ちするらしい」と言って
僕の唯一の仕事がまたできた
僕の唯一の救いがまた生まれた

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