生活に欠かせないことを趣味にする

 これを告白すると嫌われる可能性が高いが、私はヤニカスである。計算すると、確実に1日に420円が飛ぶのだから大きい。代わりに、昼食代を節約したり趣味に金を掛けないようにしているものの、何だか損をした気分になるからタチが悪い。確かに、煙草を吸っている時は至福の一時とは言える。しかし、別に吸わなくても世の中を生きている人は沢山いるし、ニコチンパッチで胡麻化す方が僅かながらも経済的でもある。
 そんな中、非常に納得させられる趣味を持っている人がいる。大学時代の知り合いの森山君は食事に金と時間を注いでおり、これを書いている現在も色々な美味しい物を味わっているのである。
 例えば、昼にパンを食べるとする。私の場合はスーパーでコッペパンを買って済ますけれど、森山君はきちんとしたベーカリーで珍しい物を幾つか購入する。そして、奥様や子供達と「美味いなあ」と語り合いながら幸せな時間を過ごすのだ。
 これは、趣味としては非常に素晴らしいことだろう。何故なら、我々は食事を採らなければ命を落としてしまうし、その営みをそのまま愉しみにすることは本当に合理的である。まあ、衣食住という表現通りにお洒落や家の内観を変えるという選択肢もあるが、少しお金に糸目が付いていないとキリがない。そういった意味では、程々に食に対して贅沢をすることは現実的だと言えるだろう。喫煙に金を掛けている私よりは遥かにマシなことだけは確かである。
 そんなことを考えながら、少しだけ禁煙しようという気になった私はネットでニコチンガムをチェックした。どうやら、鬱病の人間はそれを使えないとのことで、理由は煙草を絶つことによって精神状態の悪化を招くかららしい。そうか、ギリギリの現状から逃れる為に私は煙草を吸っているのだ、と言いたい気分にさせられたけれども、ちっとも誇れることではないので、取り敢えずは本数を減らすことから始めようと思っている。

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