障害者枠でも圧迫面接

 先日、とあるアニメ会社の面接に行った。いつも書類選考で落とされてしまうので、久々の対面でPRできる機会を貰えた。しかし、状況はそんなに甘くはない。障害者枠のパートの事務職の選考にも関わらず、それはかなりの圧迫面接だったのである。
 先ず、玄関扉が閉じているので事務所に電話を掛けて対応して貰ったことを指摘された。「ドアの前にインターホンがあるのに気付かなかったの?」と言われた時は本当に驚いた。普通、そんな方法で会社に出入りするなんて思わないだろう。残念ながら、その時点で面接官の思惑通りになって行ったのである。
 次に、「好きなアニメは?」と訊かれて『ドラえもん』を挙げたところ、これまた「それだったらシンエイ動画を受けたら良いじゃないか」と一蹴されてしまった。勿論、「いや、別にそんなにあんたの会社に興味はないよ。単純に通勤範囲内で会社を選んだだけだから」とは返せず、あれこれと相手を傷付けない受け答えをした。
 更に、私がフォトショップを使えないということを言うと、「いや、君、ネットゲームの品質管理とかで経験してるでしょ?」と突き放されたのには参った。確かに、私はそういった職に就いていたことはあるものの、フォトショップを使用する機会はなかった。それに加え、私が選んでいる職種は事務と軽作業である。どうしたらフォトショップの出番がくるのだろうか。因みに、昔、他のゲーム会社で総務をしていたこともあったけれども、その際にもそういった類のソフトウェアは駆使していない。これは、逆に「どうして私が行う業務でフォトショップが必要なのですか?」と質問するべきだっただろう。
 以上、このようなやり取りが1時間も続き、精神的にヘトヘトの状態で圧迫面接は終わった。障害者枠でもこのようなことがあるのにもびっくりするが、深く考えずに選んだ企業で色々と言われるのは完全に参ってしまう。こっちは最低時給のパートタイムで、自分でもできそうだから志望しただけのことである。それなのに、こんなに敷居が高いのでは誰も受からないか辞退するに違いない。このように、世間には妙にプライドだけで存在している企業が存在しているのである。
 けれども、何となく圧迫面接でも構わない理由は分かる。アニメ制作会社であることを頭に入れると、別に志望者に媚びを売る必要はない。小売店やイメージを損ねるとダメージを受けるような企業だったら話は別になるが、そこら辺は気にしなくても大丈夫というスタンスなのだろう。以上を踏まえると、別に体裁を気にしなくても構わない会社を志望した私が失敗しただけのことなのである。
 会社を選ぶ権利のない我が身を省みると、この程度の圧迫面接にも耐えないといけないのだろうか・・・・・・そんなことが頭を過りながら家に帰ったら、母が私の昼食の用意をして待っていてくれていた。「疲れたでしょ」との優しい一言に対し、感動で泣きそうになってしまった。心の中では号泣していたものの・・・・・・

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