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顔パスは 顔パンツでは 通じない

藤と老人

 地下鉄に乗って吊り革に手を掛け、ふと隣の人を見たらマスクをしていない。先日から政府の方針が「マスクの着用は個人の判断を基本とする」に改まったことを思い出した。どのくらいの人がマスクを着けていないのだろうかと周りに目を配ると、着けていない人はチラホラで、率にすると10%以下と思われた。10%が低いか高いか、判断が分かれるところだろう。

 自分はマスクを外したいと思っているのだが、花粉症を抱える身としてこの時期はマスクが欠かせない。電車の乗客の中には、私と同じ理由でマスクを着けている人もいるだろう。また、他の人たちの動向を見てから判断したいと着け続けている人もかなりいるだろうから、花粉が飛ばなくなる頃にはマスクを着けない人の割合がグンと高まるのではないだろうか。そんなことを考えながら吊るし広告を眺めていたら、時節にピッタリの面白い広告が目に止った。

 「『脱マスクをきっかけに/脱ぐ自信のない/ジブン』○○矯正歯科」謎解きのような広告だが、分かる人に分かってもらえば良いのだろう。歯並びが悪かったりして口元に自信のない人にとっては、マスクは福音だった。そんな人の悩みと困惑につけ込む広告である。この広告からマスクが「顔パンツ」と揶揄されていることを思い出した。3年間着け続けている内にマスクで口元を覆うのが当たり前になり、パンツと同様に外すことに抵抗を感じる様になってしまった状況を指すのだろう。

 続いて、日経のニュースサイトに上がっていた現代版「顔パス」の動画が頭に浮かんだ。その「顔パス」とは、鉄道の駅の改札口に顔認証システムを設置して、顔が定期券の役割を果たすことを意味している。しかし、「顔パンツ」姿では、「顔パス」システムは機能しないのではなかろうか。

 コロナは収まったのに、今週もまたコロナネタになってしまった。これでコロナをネタにしたのは何回目だろう。「仏の顔も3度まで」って言葉があるが、仏様が呆れる回数になっていることは確かだ。

                               (2023.04.13)

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