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インフラは 山坂越えて 次世代へ

地下鉄新駅の予定地

 散歩コースの内に地下鉄大江戸線と東京外環自動車道、2つの延伸工事の工事現場がある。両プロジェクトとも工事が始まって既に10年が経過している。今日は家から約1キロ北にある地下鉄大江戸線の用地買収地の辺りを歩いた。閑静な住宅地の中を通る道の両側に金網で囲った土地が増えていた。いつのまにか用地買収が進んでいるのに驚いた。しかし、現在の終着駅である光が丘駅から延伸計画の到達点である大泉学園駅までの工事の完了時期は未定のままである。

 外環道の方は延伸工事の起点が、我が家の南東方向4、500メートルの所にあり、ここも散歩でしばしば通る。2012年に工事が始まって以来、起点の付近はダンプの出入りが頻繁であったが、この2、3年はダンプの姿は見えず静まりかえっている。というのも、住宅地の下40メートルを掘り進んでいたトンネルの上の地盤が陥没する事故が2年半前に発生て工事が中断しているからだ。従って、こちらの方も大江戸線と同様に完工の見通しが立っていない。

 私にとって、大江戸線が大泉学園までくると、都心へのアクセスが良くなるし、外環道が中央高速、東名高速まで繋がると箱根や富士五湖へ行き易くなる。しかし、現在の工事の進捗状況を見る限り、自分がその恩恵に浴することはなさそうだ。残念だが、インフラ整備とは元来そんなものかもしれない。大きなプロジェクトになればなるほど、計画を立案し、完成させる世代と、そのメリットを享受する世代は異なることになりがちだ。

 用地買収に遭って住み慣れた土地を手放した人、住んでいる家の庭が突然陥没した人にとっては、「メリットは次の世代が享受するもの」なんてことでは済むまい。しかし、昔からダム建設で村ごと移転を余儀なくされるケースがあるように、インフラ整備には犠牲がつきものなのかもしれない。散歩で工事現場のそばを通って、「俺の生きている内には完成しそうもないな」なんて嘆いていられるのは、呑気な爺さんくらいか。

                               (2023.03.23)

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