「「空腹」こそ最強のクスリ」を読んだ上で、オートファジーについて纏めた

そもそも日本人は江戸時代まで 1日2食だった。
諸説あり、はっきりとはわからないが、明治以降3食になった。
また、1935年、国立栄養研究所の佐伯矩医学博士が「日本人男性が1日に必要とするエネルギーは2500~2700キロカロリーである」「それを2食でとるのは難しく、3分割しバランスよくとることで、もっとも健康にいきることができる」と提唱したことも、1日3食が定着する要因になったといわれている。
しかし、そもそも「2500~2700キロカロリー」という数字自体が少々多いと筆者は思っている。せいぜい1500キロカロリー(30~49歳の男性)で十分。

1日3度食事をすると、前の食事で食べたものが、まだ胃や小腸に残っている間に、次の食べ物のが運ばれてきてしまう。
すると胃腸は休む間もなく、常に消化活動しなければならなくなり、どんどん疲弊していく。
胃腸が疲弊すると、体にさまざまな悪影響がある。
ビタミンやミネラル、微量元素不足、疲れ、だるさ、肌や髪のコンディションの低下、胸焼け、胃もたれ、食欲不振、便秘、下痢、体臭がきつくなる、免疫の低下による風邪、肺炎、がん、アレルギーがひどくなるなど。
内蔵にもまとまった休息が必要。消化吸収が終わってから次の食事にいった方がいい。

食べすぎは内蔵に負担があり、睡眠の質も低下する。体内の活性酸素を増やす。それにより、DNAを傷つける。血液や血管の状態も悪くなる。
当然、脂肪もつき、糖尿病、高血圧、がんのリスクになる。足腰に負担がかる。睡眠時無呼吸症候群に陥るリスクがある。さらに、血液やリンパの流れも悪くなり、高血圧や心不全、むくみの原因となる。その結果、心臓病のリスクが高くなる。全身の各機関の働きが悪くなる。
脂肪が過剰に増えると、悪玉ホルモンの作用により、血管の傷が修復されない。血栓が溶けない。腫瘍が増殖する。血糖値が高くなる。といったことが起こりやすくなり、糖尿病、脳出血、脳梗塞や心筋梗塞、がんなどの病気のリスクが高くなる。
しかも、それらのダメージは年齢を重ねるごとに、どんどん大きくなっていく。

食べすぎによる害から体を守り、健康や若さを維持する、シンプルな方法は、ものを食べない時間(空腹の状態)を作ること。
近年、アメリカの医学界では、空腹(断食)と健康に関する研究が盛んに進められ、数多くの論文が発表されている。これらの論文には、断食をすることが体重や体脂肪の減少につながること、そして、糖尿病、がん、心血管疾患、神経変性疾患(アルツハイマーなど)などの予防に効果的であることが述べられている。

筆者は「16時間以上、空腹の時間を作ると、最大の効果が得られる」と結論付ける。
まず、最後にものを食べて10時間ほどたつと、脂肪が分解される。そして、16時間たつと、今度は体の中で「オートファジー」が機能し始める。

オートファジーについて
私たちの体は約60兆もの細胞できている。細胞は主にタンパク質でつくられている。
古くなったり壊れたタンパク質の多くは体外に排出されるが、排出しきれなかったものは細胞内にたまっていき、細胞を衰えさせ、さまざまな体の体調や病気の原因となる。
なお、各細胞の中にはミトコンドリアという小器官が、数多く(1個の細胞に数百から数千個)存在する。
そこで、古くなったり壊れたりした、細胞内のタンパク質を集め、分解し、それらをもとに、新しいタンパク質を作る。
ミトコンドリアは酸素呼吸を行っており、食べ物から取り出した栄養と、呼吸によって得た酸素を使って「ATP」という、細胞の活動に必要なエネルギーを作り出す。
オートファジーによって、このミトコンドリアも新たに生まれ変わる。
つまり、オートファジーとは古くなった細胞を、内側から新しく生まれ変わらせる仕組みである。
なお、2016年には、東京工業大学の大隅良典栄誉教授が、オートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を授賞しています。

睡眠時間と、起きていて「ものを食べない時間」の合計が、連続10時間以上になると、脂肪の分解が始まり、16時間以上になると、オートファジーが動き出します。

空腹の時間を作ると、まず、内蔵の働きがよくなる。活性酸素が減る。体内の脂肪が分解され減る。トータルで12~24時間、ものを食べない時間をつくると、血液中の糖質も20%程度低下するともいわれている。

オートファジーには、がんや糖尿病をはじめとする生活習慣病、アルツハイマー型認知症、感染症などの予防効果や、肌や筋肉などの老化防止の効果があると考えられている。
なお、空腹の時間を作ると「ケトン体」という代謝産物が増加するといわれている。
ケトン体とは、体内の中性脂肪が分解されて産み出されるエネルギー源。ケトン体には活性酸素や炎症から神経細胞を保護してくれる作用がある。

16時間断食中食べてもよいもの
ナッツ
生野菜サラダ
チーズ
ヨーグルト

驚くべきことに、ナッツに多く含まれている不飽和脂肪酸が、オートファジーを活性化させることも、まだ研究段階ではあるがわかっている。

空腹の状態が長ければ長いほど、脂肪の分解が進み、オートファジーもより活性化する。
ただ、以外と楽だからといって、24時間を越える空腹の時間を作るのはダメ。体への負担が大きく、個人の判断で行うのは危険。

この食事方を実行する際には、必ず、簡単な(無理のない)筋トレを平行して行う。
空腹の時間を作ると筋肉も落ちてしまう。というのも、食べ物からエネルギーが入ってこなくなると、体は、脂肪ばけでなく、筋肉を燃やして、エネルギーに変えようとするからです。



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