アニメ版無職転生 1期感想
アニメのクオリティーが、あまりにも良かったので続きが気になり、audibleで原作を聞いたけど、その後の展開にがっかりしたという事を書きました。
改めて見た際に、やっぱり心が動かされる作品だなと思って、まとめました。
大まなかなプロット
前半パート
アニメではトラックに轢かれた後から始めて、2話の頭で親の葬式に出席しなかった事、兄弟に追い出されても仕方ないという事を視聴者に納得させるような構成になっており、夢オチで異世界に話を戻すというのが構成の巧みさが光っていたと思います。
異世界転生やゲームファンタジーの世界からログアウト出来なくなる類のアニメとしては、無職転生は後発なので、ある程度説明を省いても伝わると判断したのでしょう。これは良い判断だったと思います。
ルーデウスは転生を果たしたものの、前世の拭い去れないトラウマを抱えています。家の敷地から一歩も出られない引きこもりを克服、友達を作ったり、誘拐事件を解決、信頼を勝ち得て初めて仕事を得ます。そして魔大陸に飛ばされてからは、「かわいい子に旅させよ」という諺のように冒険活劇を繰り広げます。そして小さな成功体験を積み重ねていきます。
前世では躓いて何もかも諦めてしまって後悔をしていたからこそ、一つ一つの成功体験の積み重ねが彼にとっては、どれもすごく大切なエピソードです。
なぜ魔力災害が生じたのか、謎を残したままストーリーが進み、ここでようやく、エリスをフィットア領まで連れて帰るという目的が与えられます。
テンポよく出会いと別れが描かれています。
11話 レッドフードコブラの討伐
ルーデウスは元引きこもりだったゆえに、他人と協力して何かを達成するという事を知りません。前世では金に困ったことない彼も、異世界では金の工面には頭を抱えます。綺麗事だけでは避けて通れず、犯罪を見逃す代わりに依頼の交換という禁忌に手を染めます。
その弱みをノコパラに握られ八方塞がりな状況に追い込まれます。
レードフードコブラとの戦闘では、ルイジェルドが陽動、エリスが有効打を叩き、トドメをルーデウスが決めるといった連携プレーで見事討伐を果たします。一方で、救えたはずの命が絶たれるのを目撃し、自身の甘さを痛感します。
続く12話では、ルイジェルドの渡航費用を工面するために杖を売ろうとしたり全てを一人で抱え込み、それが裏目に出てしまいます。
14話 辛くも勝利
北神流の剣聖ガルスに勝利。仕込みナイフで足を負傷しながら、辛くも勝利し、獣人族の密輸を食い止めたことで獣人族からの信頼を勝ち得ます。ドルディア族の族長から「ありがとう」と感謝されるシーンが印象的です。ルーデウスは、前世では「出ていけ、クズニート」と言われて家を追い出されます。人から感謝される成功体験を、この世界で初めて積むのです。
15話 エリスの成長
かつて傍若無人の振る舞いで、周囲の手を焼かせていたエリスの成長が垣間見れる回です。村を出て行ったギレーヌ、彼女を一族の恥さらしと忌み嫌うギュエス。ギレーヌの姪にあたるトーナに、あのエリスが剣を教えます。
16話 親子のわだかまり
16話では、パウロとの再開を果たします。魔力災害の範囲がルーデウスの想定より広く、故郷ブエナ村まで及んでいる事を知ります。ルーデウスの力を過信していた父パウロと、不安を感じながらも気丈に取り繕ってきたルーデウスが初めて本音をぶつけるシーンが印象的です。
また、パウロが向けた目線を通して、前世の両親とのやり取りを思い出すシーンで、ルーデウスが過去にどんな人生を送ってきたのかが補足されています。
17話 パウロの成長
魔力災害に巻き込まれた当時の様子が、パウロ視点で描写されています。ストレスから酒に逃げてしまう弱さも描かれます。ノルンが熱を出す中、馬を走らせ急いだ、かつての豊潤なブエナ村の大地は抉り取られ、見る影もありませんでした。
ギースの仲介もあって、パウロは自身の誤りを認めました。3話では、ルーデウスが悪いと決めつけ人の話に聞く耳を持たなかったパウロとは対照的で、親として成長している事が描かれています。またパウロの顔にほうれい線が刻まれていたり年齢と共に苦労を重ねたことが窺い知れます。
前世では、自ら壁を作り差し伸べてくれた両親の手を振り払ってしまったのに対し、今回はパウロを受け入れます。このシーンは、目頭がちょっと熱くなりましたね。
18話 ロキシーの過去・コンプレックスとの対峙
ロキシーはミグルド族であれば、普通使える念話が使えません。強烈なコンプレックスを持ち自分を責め、故郷を飛び出してしまいます。そんなロキシーが、かつてのパーティーメンバーのノコパラと再会し、数十年ぶりに実家に戻り、親子の絆を取り戻す回です。
21話 大きな挫折
21話のオルステッドに敗北するエピソードでは、ルーデウスがありがちな俺TUEEEE状態ではなく、上には上がいる事を視聴者に印象付けています。オルステッドの強さは圧倒的で、ルイジェルドやエリスが束になっても、あっさりと敗れてしまいます。ただ、エリスが努力を怠っていたわけではありません。
というのも、エリスの剣術の稽古は、とても丁寧に描かれています。前半はギレーヌ、後半はルイジェルドと何度も手合わせしメキメキと腕を上げています。努力をしないけど、本気を出したら実は私って強いという描かれ方はされていません。
しかし、ルーデウスが怪我を負い、感情に任せた故、太刀筋が読みやすくなったこともあり、オルステッドにいとも簡単に止められてしまいます。オルステッドが強すぎるんですけどね….。
22話 エリスと結ばれる
22話でルーデウス一行はブエナ村に到着。そこでルイジェルドと別れます。彼なしでは魔大陸を横断することは出来なかったでしょう。
麦畑が広がる肥沃な土地から、地面が抉られた土地の対比が痛切ですね。
エリスと結ばれるも、ルーデウスに何も告げすに書き置きだけを残して旅立ってしまいます。オルステッドから彼を守りきれなかったという想いをエリスは抱えていました。自分の至らなさを乗り越え、強くなるために修行を積む事を決心します。
23話 過去との決別
23話で、各地に散らばったキャラたちの近況が描かれます。犬型の魔獣を切り伏せるエリス、堅物ルイジェルドは、旅をしながら道すがら人を助け、少しずつ誤解を解いていきます。ザノバ、ギース、トーナ、魔大陸で知り合った冒険者など。
そしてロキシー一行は、魔界大帝キシリカと出会い、魔眼の力でルーデウスの母、ゼニスの安否についてのヒントを掴みます。
ルーデウスはエリスに置いていかれたせいで喪失感や虚無感に苛まれます。過去の経験が足を引っ張り、引きこもりに戻ってしまいます。しかし、一歩も踏み出せなかった過去(校門で磔された前世の自分)との決別し一人旅立ちます。
神子になったゼニス視点
23話で、ゼニスの目に映る光景が描かれます。実はゼニスは廃人のようになってしまい言葉を失ってしまいます。その代償に神子の力が宿り、かつての思い出の中で生きています。これは、アニメ化する範囲の先をしっかり読み込んでいないと描けない描写だと思います。
まとめ
綺麗な作画も魅力の一つですが、心を動かされるストーリーが魅力的な作品です。音楽も無職転生のために6曲以上書き下ろしているはずです。セクハラやロリといった原作では過剰になっている描写を削り、良いところをさらに磨き上げて、繋ぎ合わせ紡いでいく素晴らしいアニメだと思います。
また成長しているのが、ルーデウスだけではないという点が一連のストーリーの中で本当によく描けていると思います。エリス、ルイジェルド、パウロ、ロキシーも各々成長しています。
ルーデウスは転生したが、中身というか精神は前世の男。壁に当たると引きこもりとしての行動特性が滲み出てしまう。転生モノだと前世の自分を切り捨てるように進んでいく物語が多い中で、過去と向き合いながら成長を描いているアニメは珍しいかなと思います。
2期では、どのように描かれるのだろうか?
原作だと、エリスに振られたショックで、EDになりシルフィーと致すことで回復するのですが、既存の展開だと感動的な23話と繋がらなくなってきてしまうなと思います。
冒険者として名を馳せる。そしてゼニスが見つかったという報告をエリナリーゼから受ける。冬越しの間にロキシーが地下迷宮で罠を踏み抜き行方知れずになってしまったと悲報を受ける。ラノア大学への推薦入学は、延期し急遽メガリット大陸に向かい合流し、地下迷宮編に向かうとGoodだなと思います。
地下迷宮編はめちゃくちゃアツいので、とても楽しみにしています。
アニメという媒体でEDの話で4話とか5話近く展開されたら、ファンとはいえ、少々キツいのでこちらの事情も相まって、原作から大きく改変されるかなと予想しています。
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