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<米国市場の相場見通しと注目銘柄アップデート>

<今日の結論と前説>

1 . 米国市場は11月12月1月と1年で最も強い3ヶ月にこれから入っていく。
2 . 1年のパフォーマンスの少なからぬ部分がこの3ヶ月で勝負が決まってしまう。なので、”今はフルインベストメントで臨むべきだ!”、と言うのが結論です。

先の連邦公開市場委員会では、大方の予想通りテーパー、つまり債券買い入れプログラムの縮小が発表されました。
1 .債券買い入れプログラムの縮小が2021年11月から開始されます。
米国財務省債券は毎月100億ドルずつ
、そして住宅抵当証券の買い入れは毎月50億ドルずつ減額されていきます。そして来年6月には新規の買い入れがゼロになるという事です。
2 . 減額していくペースですけれども、前回の2013年、あの時のテーパーよりも急激なペースで減額されていきます。
3 . その理由なんですけれども。”今回は前回よりも景気が強く、中央銀行による継続サポートの必要性があまり大きくないから・・”、という風に、先日のFOMCでパウエル議長は説明していました。
4 . 「賃金が上昇しているらしいけど、賃金上昇って経済に悪いことなの?」
今、過去30年でもっとも賃金が上昇しています。新規採用された人の賃金が著しく上昇している。それと同時に、”もっといい給料が欲しいから転職したい!”、と転職する人が多く空前の転職ブームが到来している、という事ですね。これは悪い雇用市場の姿ではなくて、本来有るべき姿だという風に私は考えています。つまり、経済が変貌を遂げて新しいタイプの仕事が切実に良い労働力を求めているという事ですよね、その結果お給料をはずんでいるわけであって、そう言う良い仕事ほど賃金の伸びが著しい、という事なんです。これは少し考えてみれば単に、”賃金が上昇しているからイコール悪で有る、賃金インフレを殺すために利上げすべきだ!”、という議論は少し短絡的過ぎるんじゃないかなと思うんですよね。暫らくは良い賃金上昇の行方を見極めるべきだという風に考えています。
5 . 「2022年の利上げ回数の見方について、最新の状況は?」
後でスライドを使って詳しく説明しますけれども、FFレートの先物取引では先週まで2022年以内に3回の利上げが起こると言う非常にアグレッシブなシナリオが一旦織り込まれていました。しかし、先日のFOMCを受けた後で、そう言うアグレッシブな見方と言うのはかなり後退しています。なので現時点では来年の利上げ回数は1回もしくは2回と言う線が浮上しているという事です。それは何を意味しているかという事ですけれども、それは、”全体として景気の関係、それから金利の関係、政策金利の今後の手綱さばき、それら全体をまとめて考えた場合、今は丁度良い湯加減の状況なんじゃないか”、という風に考えています。この、”丁度良い湯加減だ!”、と言う事が、今日皆さんに一番覚えておいて欲しいメッセージなんですよね。
それでは具体的に中身に入っていきます。

<米国経済の現況>

1 . 「サプライチェーンのボトルネックでインフレ圧力。」
まず米国経済の現状ですけれども、依然としてサプライチェーンのボトルネックが見られています。但し、ひょっとしたらこれは、もう峠を越えているのかも知れません。その根拠として具体的にはコンテナ船の傭船コストが下落に転じています。あと昨日、クアルコム・QCOMと言う会社が決算発表したんですが、その時に、”半導体不足の問題はかなり解決しつつ有る”、とコメントしていました。それも注目出来る発言だったと思います。
2 . 「労働力も余剰が有る一方で、企業が欲しがる人材は払底(ふってい:すっかり無くなっていること)⇒ 賃金上昇プレッシャー有り。」労働力なんですけれども、余剰が有る一方で、企業が本当に欲しがっている人材は払底(ふってい)している。ちょっと矛盾が有る表現ですけれども、要するに、いらない人は余ってる、必要な人は足らない、そう言う2ステップと言うか2スピードと言うか、雇用市場になっているという事ですよね。じゃあどういう人が余っているのかと言うと、例えば、レストランとかのサービス業で働く低スキルの従業員、そう言う人達はダブついています。一方足らないのは特定の高いスキルを有したワーカー、そういう人達が足らない。だから高賃金な人ほど賃金プレッシャーが高いという事ですよね。
3 . 「家計部門は健全(年率換算で1.7兆ドルのペースで貯蓄中)、消費者はクリスマスシーズンに向けて強気。とりわけサービス(レストラン、旅行など)に対する支出には積極的。」家計部門に目を移すと、家計部門は健全です。つまり庶民の借金の水準が低いという事ですよね。それは何を意味するかと言うと、今年のクリスマス商戦期間はかなり良いクリスマスになるんじゃないかと、言われています。全米小売協会、略してNRFと言う組織が有るんですけれども、今年のクリスマス商戦期間の予想を出しています。予想、前年比+10%と言う、非常に強気な予想です。クリスマス商戦期間の売り上げ予想が前年比で+10%を超えたのは、僕が米国に来てからの35年くらいの間で、1回もしくは2回くらいしか記憶がないですね。そのくらい消費は強いという事です。とりわけ、クリスマス商戦期間で予想されている事は旅行ですよね、旅行。そう言うサービスに対する支出、それに消費者は非常に積極的だと言うふうに言われています。だからホテル、エアライン、などの銘柄は注目出来るんじゃないかと考えています。
4 . 「クリスマス商戦期間を境に消費パターンが大きく変わるかも知れない。」
サプライチェーンの問題はまだ燻ぶっているので、消費者が欲しい商品がクリスマス商戦期間に店頭に並んでいないという事が起こるリスクも有ります。なので何が言いたいかと言うと、今年はコロナ禍で外出出来ないので物品に対する消費が非常に強くてサービス関連の消費が弱い消費パターンが年初から続いていたんだけれども、クリスマス商戦期間を境に消費パターンが、”サービス関連がもの凄く消費され、物品類は消費されない”、というふうに逆転するリスクが有るという事です。実際、昨日決算発表したペロトン・PTONと言うエクササイズバイクの会社が有るんですけれども、予想を下回って今、寄りつき前気配で前日比マイナス10%くらいで売られているんですね。そう言った形で新型コロナ禍での国民の消費パターン、あるいは行動パターン、それは未来永劫続くんだという先入観で相場を張っていたら、パシーンと横っ面を引っ叩かれるリスクが今は非常に高い局面だと思うんですね。ドラマチックに消費パターンが変化する可能性も有るという事が言いたいのです。

<米国のGDPについて>

1 . 「米国のGDPは、この第3四半期かなり鈍化しました。その理由は・・」
1 . 新型コロナのデルタ変異株が蔓延したという事です。これはもう下火になりつつ有ります。
2 . 半導体不足で自動車の生産が遅延したという事で、高額耐久消費財の販売が伸び悩んだという事です。
2 . 「今回のGDPの落ち込みの後、景気はどうなるの?」
次のアクションは、このままもっと下がるのではなくて、急反発するんじゃないか? という風に考えているエコノミストが多いです。それはどうしてかと言うと、先程説明したようにアメリカ経済の70%は消費から構成されているのだから、GDPの上がり下がりは消費一つにかかっている。今、家計のバランスシートは非常に健全で消費者のマインドは高いわけですから、米国経済の未来は明るいという風に考えて良いと思います。
3 . 「債券買い入れプログラムを復習して、その本質を教えて?」
今回の債券買い入れプログラムによって、FRBの金庫の中には財務省証券と住宅抵当証券の在庫が、山と積み上がっています。それと引き換えにキャッシュが市中にばら撒かれたという事です。もっと露骨に言えば、”債券買い入れプログラム”、って言うのはキャッシュ(税金)のばら撒きなんです。ですから今、世の中には、それらの債権に見合う現金が流通しているんだという事なんです。それを理解したうえでチャートを見てもらうと、どれくらい世の中に現金が、じゃぶじゃぶと出回っているのかが、はっきりと分かりますよね。
4 . 「テ-パーリングの後の金融政策はどうなるの? 何が起こるの?」
今週のFOMCでテーパーリング、すなわち現金のばら撒きの段階的な縮小が発表されました。来年の6月で現金のばら撒きは完全に終了するという事ですよね。今もう、8兆ドル近いお金が、量的緩和政策つまり債券買い入れプログラムによって、市中にばら撒かれているわけです。”テーパーリングの後は、今回ばら撒かれた8兆ドルのキャッシュまで、市中から引き揚げるのか?”、つまり買い入れた債権を市中に対して売り返すのかという事に関しては、まだどうするかという事はまだ決まっていません。多分、売り返す必要はないと思います。だけれども、それに関しては、まだ意見の一致を見ていないのです。でも取り合ず、我々の立ち位置は、そういう処に有るという事を理解しておいて下さい。
5 . 「だったら利上げ時期は何時になりそうなの?」
パウエル議長はFOMCの有るたびごとに、何度も釘を刺しています。
来年6月に債券買い入れプログラムの縮小が完了した場合でも、”テーパーが完了したからと言って、直ちに利上げに転じるという事では有りませんよ!”、と・・。しかし、市場参加者は、”テーパーの後に、すぐに利上げが有るんじゃないの?”、という風に考えている人が多いんですね。しかし、パウエル議長はそれに対しても、”否、そうじゃない、利上げに入る為には、その時の経済状況が、今より遥かに改善している事が大前提ですよ!ハードルは高いですよ!”、と彼は言っています。

<米国のインフレについて>

1 . アメリカのインフレは現在5%を超えています。これは歴史的に見てもかなり高い水準です。FRBのターゲットは2%です。だからインフレ目標の2%を大幅にオーバーシュートする形でインフレが進行しているという事です。
2 . 現状の高インフレが粘着性のインフレに繋がるのどうか?、それは判然としていません。実際のところ、10年債利回りはFOMCの前後からかなりダレてきているんですよね。通常、”10年債利回りのような長期債、長期金利はインフレの先行き、遠い将来のインフレに対する投資家の考え方を反映している”、という風に言われています。つまり、一足先にウォール街の連中は、”否、インフレはひょっとしたら、あんまり酷くないかもしれないな?”、という風に考えを、変えてきている。という事ですよね。しかし、そこら辺の事はまだどうなるか分からない、という事ですよね。
3 . 「僕は、最近の長期金利の低下は、原油価格の下落に影響されている面が大きいんじゃないか?と考えているので、その事について解説します。」
1 . 何んで今、原油価格が下がっているのか?それは一にも二にも暖冬だから、つまり今年の冬は暖かい、例年にも増して異常に暖かいと言う事です。我々が投資する時にやってはいけない事は天気を予想する事なんですよ。それは全く無駄な事だと思うんですよね。つまりここまでは暖冬だったけれども、ここから先も暖冬が続くかどうかという事は、神様でもない限りは分からないわけですから、そんなものを決め打ちして投資ストラテジーを作ったところで何にも意味がないわけですよ。投資ストラテジーに有効な予測に役に立つアプローチとしては、大きな原油の生産者、例えばサウジアラビア、アメリカのテキサス州で展開しているシェールの業者、そういう連中がドカドカと増産しているのか?、と言う事を見た方が、遥かに有益だと思うんですね。
2 . サウジアラビアはバイデン大統領の要請を蹴って、”増産しない!”、と、OPECで合意した通りのスケジュールに従ってゆっくり生産量を増やしていくだけにとどめておきます、という事を昨日発表していますよね。
3 . アメリカのシェールの業者は過去においては、原油価格が高くなるとすぐに増産すると形で、無節操な投資をしていたんですけれども、今回は違いますよね全然。今回は設備投資の上乗せをする業者の数が非常に少ないですよね。と言うか皆無に近いです。独立の、株式を上場していないシェール業者、つまり零細なシェール業者は増産に踏み切っているところは有りますけれどもね。しかし、大手、例えばパイオニア・ナチュラル・リソーシズ・PXDとか、あとダイヤモンドバック・エナジー・FANGとかね、そう言うしっかりした大手のシェール業者は、”全然増産する気はないです!”、という風に言っています。
4 . そうするとサウジアラビアは増産しない、アメリカが増産しないという事だったら、需給関係は崩れようがないわけですから、今、需給関係が緩んでいるのは天候要因だけなんですよ。今回の原油安は過去の原油安とは違うという事を、良く理解しておいて下さい。
5 . そして、これからサンクスギビングデー・感謝祭の旅行シーズンに入っていくわけですよ。多分、エアラインは物凄く物凄く物凄く忙しくなると思う。僕がそう考えている一つの理由は、先日エアビーアンドビー・ABNBが決算発表したんですけれども、そのカンファレンスコールの中で、感謝祭サンクスギビングデー前後のエアビーの予約は過去最高で有るばかりでなく、新型コロナ前の2019年のピークよりも40%も上だと、そのくらい、みんなは旅行をしたがっているという事をコメントしていたんですね。なので原油価格はこれから急反発するかも知れない?、と言う事なんですね。
6 . それで今、足元の株式相場を見れば、そういう資源関係、原油関係の株は下がっています。そして一昔流行ったようなアグレッシブなグロース系の株が一部戻ってきたりなんかしている。それは物色の矛先が永久にそういう方向に変わったのか?と言うと、まだ分からない?、と思うんですよね。まだ分からない。今、原油株が下がっているのは原油価格が下がっているからで有り、その原油価格が下がっているのは天候要因なんだという事なんですね。だから一回北風が吹いたら、またガラッと相場の様相が変わって、原油価格が急騰して長期金利が急騰して、ハイパーグロース株が下向きで突っ込んで、原油株が買われるかも知れない?、とか、全く分かんないよね。そういうふうに、”まるで掌を返すように全てが変わるリスクも有る”、という事です。そう言う事をみんなに言いたい。つまり、分かんないという事なんですよ、分かんないという事なんだけれども、これからサンクスギビングデーにかけて、物凄くいろんな事が起こるんで、それに注目して下さい。

<市場関係者は、今後の政策金利の動きをどう見ているのか?という問題について>

それが手に手に取るようにわかるサイトが有るんですよね、それはCMEのFedWatch(フェドウォッチ)と言うサイトです。CMEと言うのはデリバティブ取引場ですが、そこが出しているFFレートの先物の取引実勢価格から逆算して、そのときどきの未来の、ある時点でのFFレートの何パーセントになっているかと言う確率を計算したものが、今皆さんにご覧に入れているチャートですよね。資料を作ったタイミングの関係で、10月27日付けのデーターを使っています。今日は11月の5日ですから、もう1週間くらい時間が経っている、その1週間の間にFOMCが有りました。その結果として将来の政策金利の先高感の過熱が大幅に緩和しています。だから、”今、皆さん御覧に入れている資料は古いですよ”、という事を頭に入れておいて下さい。それを断った上で、順次、時を追ってデーターを見ていきます。
(FOMC開催予定)  (市場関係者が予測している政策金利)        
 2021年12月15日・・現行のゼロから0.25%で政策金利は動かないが100%   
 2022年01月26日・・少し利上げ派が見られるものの金利は動かないが最多
 2022年03月16日・・前回よりさらに少し利上げ派が増えている。
 2022年05月04日・・同上
 2022年06月15日・・初めて、利上げ派が多数を占めた
つまり、1回目の利上げが2022年6月15日のFOMCで起こるんじゃないかという事を、2021年10月27日の時点で投資家は予期していたという事です。
なお昨日11月の5日、つまり直近のデーターでは現行政策金利維持が43.6%、そして0.5%利上げ派が43.9%で五分五分になっています。でもまあ五分五分とは言え、6月15日で1回目の利上げが有るんだなと言う事は、多分覚悟しておいた方が良いと思います。

(FOMC開催予定)  (市場関係者が予測している政策金利)        
 2022年07月27日・・明らかに利上げ派が多くなっています。 
 2022年09月21日・・もう1段上の利上げがあって政策金利は0.75%が最多
 2022年11月02日・・政策金利は0.75%になると言っている人が33.5%最多
 2022年12月14日・・政策金利は1%になると言う人が29.7%で最多
 2023年02月01日・・政策金利は1%になると言う人が29.4%と最多
       (ひょっとすると3回目の利上げが有るかも知れない?。)

<S&P500の月次パフォーマンスについて>

過去、1950年1月~2020年5月までの約70年間に於ける、SP500の月次パフォマンスまとめたグラフを見てみると、11月12月1月の3ヶ月が1年間で最もパフォーマンスが良いシーズンだという事が分かります。だから今は、強気のスタンスを堅持して下さい。

<大型株のQ3決算について簡単に解説します>

まず、決算の良否を判定する為の基準を確認しておくと、EPS、売上高、ガイダンス(会社の財務部長が示す、来期以降のEPSまたは売上高の数値や考え方)、この3要素が全て事前のコンセンサス予想を上回る事が出来た場合のみ、良い決算だと言えます。だから、全ては事前のコンセンサス予想が基準になります。
1 . アップル・AAPL
・EPS予想$1.24  結果$1.24  〇
・売上高予想849.4億ドル  結果834億ドル(前年比+28.9%)  ✖
・サービス売上高予想183億ドル  結果183億ドル 〇
1 . EPSは予想に、ぎりぎり到達しましたが、売上高が1.8%(15.4億ドル)ショートしました。
2 . 原因は半導体不足で、商品別ではiphoneとウエアラブル(Apple Watch)の売上高がショートしました。
3 . 残念だった点はサービス売上高が、ぎりぎり予想には到達したんだけれども、アップサイドがなかった事です。
近年アップルの株価は非常に好調で、アップルの株価収益率、つまりバリュエーションですね、投資家のアップルに対する評価が、ずんずん上昇していました。そして株価が上昇していた大きな理由は、ハードウエアを売る会社からサービスを売る会社にシフトしていたからなんです。サブスクリプションと言うのは数字が読み易い。サービスというのは安定している。ヒット商品が出た、あるいは空振りだった。空振り三振かホームランか、そう言うヒット&ミスのビジネスではなくて、毎月毎月コンスタントに、あたかも携帯の使用料を払うみたいにね、そう言うサブスクリプションのフィーのビジネスですね、そっちの方が堅いから、投資家はそれを好感するという事なんですけれども、その肝心かなめのサービス売上高が、今回は、”ん~ちょっと低いよね~”、って言う印象が有った、という事だと思います。それが非常に残念でした。

2 . アマゾン・AMZN
・EPS7予想$8.96  結果$6.12 ✖
・売上高予想1116.6億ドル  結果1108.1億ドル(前年比+15.3%) ✖
1 . 今日解説する銘柄の内で、”箸にも棒にもかからない”、と言う程、完璧に悪い決算を出したのはアマゾンでした。EPS・売上高・ガイダンス、全てにおいて予想を下回りました。一言で表現すれば ”複雑骨折” でした。
2、悪かった理由としては、皆さん既にご存じのようにアマゾンを取り巻くビジネスの環境が大きく変わったんですよね。今までは新型コロナでみんなは外出が出来ない ⇒ 自宅待機だから、ネット通販で買い物をするか、テレビゲームをするか、そんな事くらいしかする事がない、という事で、ネットの物品販売は上昇トレンドを駆け上っていたんですよね。ところがその結果、いまは家中に物があふれている状態なんですよ、もう物はいらない!そして経済の再開、ワクチン接種の条件付きでは有るが外国旅行にも行ける。なので、”アマゾンはもうお呼びじゃない!”、わけですよ。

3 . アルファベット・GOOG
・EPS予想$23.37  結果$27.99 ◎
・売上高予想633.5億ドル  結果651.1億ドル(前年比+41.0%) ◎
・グーグルサーチ広告売上高379億ドル(前年比+44%)
こちらの決算は良かったです。”なんでアマゾンの決算は悪くて、アルファベットの決算は良かったの?同じネット企業なのに、ちょっと変じゃない?”、 というふうに、みんな思うかも知れないけれども、アルファベットの広告と言うものは、これはフェイスブックにも言える事なんだけれども、みんなが街に出てマップ情報からスマホを見て、”どこか近くにお店ないかな?”、とか、そう言う形で、マップ情報からお店を検索するアクションにアルファベットの広告売上高と言うのは密接にリンクしているんです、密接にリンクしている。だから、人が街に出れば出るほどアルファベットの広告収入は好調になるという性格が有りますそれがアマゾンとの大きな違いですよね。

4 . マイクロソフト・MSFT
・EPS予想$2.08  結果$2.27 ◎
・売上高予想440億ドル  結果453.2億ドル(前年比+22.0%) ◎
・来期Q4売上高予想489.2億ドル  新ガイダンス501.5~510.5億ドル ◎
1 . 非常に無難な決算でした。売上高成長率は前年同期比+22%という事なので、成長の強さという点では、他のネット企業に比べると少し低いよね。しかしそれは、マイクロソフトという会社は非常に歴史の有る会社なので、この位の成長率にならざるを得ない、という事は、当然かも知れません。けれども、やや物足りなさを感じさせるなあ、と僕は思います。
2 . 成長率の点で言えば、今なら、例えば石油株とかは売上高が前年比70%とか80%とかの会社はざらに有ります。あるいは旅行関係の会社で売上高成長率が前年比+100%位の会社もざらに有ります。それはどうしてかと言うと、去年飛行機が飛んでなかったから、と言う、只それだけの理由なんだけれどもね。そもそも、何が言いたいのかと言うと、前年度+20%程度の成長率と言うのは、”別にインプレッシブでもないよね(impressive 印象的な、見事な )。つまり、成長率+22.0%は感心する程の事ではない”、という事が言いたいのです。投資家と言うのは常にグロース、成長と言うものを求めています。これは資本主義の宿命だと思うんだけれども、その観点から言えば、”GAFAM、つまり今日紹介しているような大型株は、別に、そんなに凄くないんじゃない?”、という成長率しか出していないと言う事ですね。

5 . テスラ・TSLA
・EPS予想$1.61  結果$1.86 ◎
・売上高予想137億ドル  結果137.6億ドル(前年比+56.8%) ◎
・生産台数237,823台(前年比+64%) ◎
・納車台数241,391台(前年比+73%) ◎
・長期に渡り納車台数で前年比プラス50%を達成できる見込み ◎
・ハーツレンタカーが10万台を発注、2022年末までに納車
1 . ”この数字はやっぱり立派だよね~!”、と言う成長率を出している会社、それがテスラですね。売上高成長率を見ると、前年同期比+56.8%が出ています。
2 . 先日レンタカー会社のハーツから10万台の発注が有りました。それで投資家は、”10万台かよ、凄げ~!”、って事で株を買ったんだけれども、その後で、イーロンマスクが、”いや、契約はしてないよ”、って言ったんで株価がズルっと下がったのね。その背景を少し説明すると、ハーツレンタカーが、”10万台発注!”、って言うふうに、ハーツの方が発表したのね、するとその発表を見た時テスラのお客さんは、”え~、ちょっと待ってくれよ~、俺はもう2か月も前からモデル3の予約注文を入れているんだよ!それなのに俺の注文を頭越しに、ハーツに納品するかよ?そんなのやめて欲しいよね~!”、と言うふうに庶民がぶ~たれたわけですよ。それでイーロンマスクが、”否ちょっと待て、俺は契約なんか結んでないぜ!だったらハーツ、テスラが欲しいの? じゃあ注文入れても良いよ、だけども行列の一番後ろに並びなさい!”、という風に言ったわけですよ。これって悪い事ですか? 別に悪い事じゃないですよね。この時のイーロンは格好いいよね。
3 . しかし、これってテスラの来期の業績に関係有ると思いますか? 全然関係ないよ。何故かと言うと、ハーツが居ようが居まいが、テスラの予約注文は積み上がっているわけだから、テスラとしては一生懸命、EVを組み立てて、どんどん納品、納品、納品、納品していればいい、それだけを心配していればいい会社なんですよ。だから、テスラの商品がポピュラーかポピュラーでないかを心配する必要は一切ない。需要を心配する必要も一切ない。この会社の必要な事はエグゼキューション(execution 実施・実行)つまり、組み立てて売る、組み立てて売る、組み立てて売る、それだけをやっていれば良いわけですよ。

6 . まとめ・・最後に一言だけ・・
テスラの状況というのは、例えばアマゾンの状況と比べてみたら、全然違うでしょう。アマゾンは、ひょっとしたら今年のクリスマス商戦は、滅多くそにやられるかも知んないよ?。超空振りかも知れないよ?。何故かと言うと、米国民がみんな旅行に出ちゃって、ネットで全然買い物しないかも知れないからね、まだ分かんないけどね。だって今はリア充の局面なんでしょう。みんなが街に出る局面なんですよね。いよいよデルタ変異株が下火になって、安心して街に出れるような状況になっているわけですから。だから、”ホテルを買うなら今ですよ、エアラインを買うなら今ですよ、クルーズの株を買うなら今ですよ”、と言っているんだよ。ところが僕がこんな事を言うと、”広瀬さん、暫らく前から旅行関係の株を紹介してくれていたんだけど・・なんで、それらの株が上がんなかったんだよ?!”、って皆さんは言うけどね、その理由は簡単ですよ、デルタですよ、デルタ変異株が有ったから需要が押さえられた。ただそれだけの事ですよ。
その点宜しくお願いします。  
   
以上  (2021/11/5 配信) 

「備考」
CME シーエムイー:正式名称はChicago Mercantile Exchangeで、シカゴ・マーカンタイル取引所のこと。 シカゴにある商品先物取引所・金融先物取引所で、農産物・通貨・金利・株価指数など、広い範囲の先物取引・先物オプション取引が行われている。

<あとがき>
最近の相場って好決算で上昇げた株も、高値を全然キープしないね。ホールドしないですぐに利確されて、好決算での上げ幅以上に下げてる株が多いけど、これって普通なの? こんなやり方してるの個人の投資家だけ? 機関投資家も同じやり方してるんじゃないの? 下げ幅が大き過ぎるから機関もやってるような気がするけどね? 機関投資家の方が相場を荒らしているんじゃないの? 機関投資家(投資銀行のファンドマネージャー)は、決算を見てからトレードするって聞いてたけど、好決算でもホールドしないんだ。高値をつけたら売り抜けるんだね。それじゃ好決算の後に入ってホールドした個人投資家は絶対負けるね。仕事でやっているプロとじゃ勝負にならないからね。
広瀬さんの格言では、”好決算は絶対ホールド”、なんだけどね。・・広瀬さんがいつも言ってるよね・・”VTIをこんもり持って! 個別株投資は遊びでやって!”、だよね。個別株って所詮ギャンブルなんだよね。個人投資家の90%は負けるらしいんだ。それでも個別株が面白いんだよ、おれも殆んど負けてる・・でも負けるから勝ってやろうという気が湧いてきてしまう。”VTIをこんもり持って!”、確かに良いと思う。でも、もう少しの間は個別株をメインでやろうと思う。所詮凡人はギャンブルからは抜けられないのだ・・自分に苦笑いだよね・・。

サポート有り難う。個人的に関心の有る事柄しか文書化しません。ランダム発行です。私の資金はポケットマネーの70~80万円なので小額過ぎて、優良大型株には手が出ません。1銘柄で10株くらい持たないと、貧乏臭く気分がしみったれるので、いつも手頃な30~50ドル/株の銘柄に目がいきます。