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<米国のネット証券はどのようにして手数料ゼロを実現しているのか?>

<”SEC長官が、ゼロコミッションについて大改革を計画中”、について解説します。>

SEC、米国証券取引委員会、その長官ゲーリー・ゲインスラーと言う方が、”ゼロコミッションのビジネスの作り方が、あんまり良くないんじゃないか!” と言う事で大改革を計画している。具体的にターゲットになっている銘柄は、この企業だけではないんですけれども、ロビンフッドです。ビンフッド・HOODは、”ゼロコミッションで米国株を取引出来ますよ”、という事をうたい文句にしています。それを聞くと一見凄く良い事のように思うんですけれども、実は、その背後で個人投資家が食い物にされていると、いう風にゲイスラーは考えているという事ですよね。なのでそのような事にかんして、少し説明をしていきたいと思います。
1 . 「問題になっているのはペイメント・オア・オーダー・フロー・(Payment or order flow)と呼ばれる、一種のキックバック、裏金なんです。」
直訳すると、株式注文をうちに回してください、オーダーフローですね。それに対する見返りとして金一封を支払います。これはマーケットメーカーと呼ばれる証券会社から、ネット証券、ロビンフッドみたいなネット証券にキックバック、バックマネーが有るという事です。それが、ペイメント・オア・オーダーフローです。ネット証券の売上高的に見ればね、通常の場合だったら個人投資家にその委託手数料をチャージして、その委託手数料が売り上げ高になる。そういうのが普通だと思いますけれども、ペイメント・オア・オーダー・フローではマーケットメーカーからのキックバックが、そのまま売上高になっている。ロビンフッドの場合は売上高の8割くらいが、そういうキックバックなんですよ。
2 . 「ペイメント・オア・オーダー・フローの何が問題なの?ゼロコミッションでの注文した後に、”あなた、得しましたね”って出てくるメッセージ、これって、”旨い話には裏がある”って事なんだぜ!」
一見するとゼロコミッションっていうのは良いように見えるんだけれども、”只ほど怖いものはない”、と言う諺が有りますけれども、このことわざの意味は、”うまい話には裏がある” という意味なんですよね。
いったい我々が犠牲にしている物は何かな?とそれはベスト・エクスキューション・ト・サマリー、最善の出来値、それが犠牲にされているんですね。そう言うとね、ちょっと待ってよと、ネット証券のサイトにいくと、ゼロコミッションで注文した後で、”出来値が上がってきました。その出来値の横にプライス・インプルヴメント(price improvement:価格の改善)、ニューヨーク証券取引所で、その瞬間に取引された値段よりも、例えば、3ドル50セント、良い値段でコスト的に、株価その物じゃなくてコスト的にです。あなたは3ドルセーブ出来ましたとか、10ドセーブ出来ましたとか、50ドル節約出来ました”とか、そう言うメッセージがスクリーンに出るんですよ。
これ一見すると、毎回トレードして、ぽちっとする度に、あなたの出来値はニューヨーク証券取引所での出来値より良かったです。いくら良かったです。得しましたよね、という風なメッセージが出てくるんで、”ほぉ~すげえな~有難いね~このネット証券、優れもんだわ!”、と思っちゃうんだけれども、実際はそうでは無いんですよ。これ、大きな嘘が隠されているんですよ。その嘘とは何かと言うと、ニュ-ヨーク証券取引所での成立値段が基準になっていますけれども、実は必ずしもニュ-ヨーク証券取引所での成立値段が、ベスト価格ではないという事なんですね。
3 . 「嘘だという理由は、現在の株式市場って、”市場集中原則”、じゃないんですね。つまり、現在のニュイーヨーク証券取引所の値段と言うのは、ゴールドスタンダードではない、標準ではないんですよ。」
昔はね、ニューヨークにも東京マーケットにも、”市場集中原則”、と呼ばれるルールが有りました。つまり、株式の買い注文、売り注文と言うのは全部一カ所に集めてきなさい。例えば、東証とかニューヨーク証券取引所とかにね、そして売り注文、買い注文を全部の板に並べなさい!そうすると、全ての売り玉、買い玉が、ひとつの所に一堂に会して、そこでプライスがかち合うわけだから、その東証でついた値段がベストの値段だと、あるいは、そのニューヨークでついた値段がベストの値段だと、この理屈は良いですよね、理解出来ますよね。そう言うレジーム(社会的なルールや規範など )、だったんですよ、昔はね。しかし、デッ、レギュッレーション(Deregulation:規制緩和)、が有って、
1 . ロサンゼルスで売り物と買い物を突き合わせるのは、これはOKにしてあげても良いんじゃないの? 
2 . 電子市場で機関投資家同士が出来値を相対で作る、それもOKで良いんじゃないの?

って、形で少し少しずつ市場集中原則という物が緩められてきたのね、緩められてきた。その結果として何が起こったかと言うと、株式取引が、昔はニューヨーク証券取引所でほとんどの取引、80%くらいの取引が出来ていたんですよ。ところが今は、何パーセントかは知らないけれど、物凄く、ニューヨークの比率は下がっているのね。50%は切っていると思います。もっともっと低いかも知んない。じゃあ、一体みんなどこで株式をトレードしているんだ!という事なんですけれども、それはネット上で、サードマーケットと呼ばれる私設の、プライベートな取引所で、いろんな所で、ぽこぽこ、ぽこぽこ、自然発生的に株式の売買が成立しているんですよ。だから、ニュイーヨーク証券取引所の値段と言うのは、昔はゴールドスタンダード、それが標準だったのね。けれども今や、たくさん有る取引所の内の一つの値段でしかない。そして、しばしば、殆んどのケースでニューヨークでついた値段と言うのは、その瞬間その瞬間のベストプライスじゃないんですよ。つまりみんながニューヨーク証券取引所の値段よりもいくらセーブしました。得したね。って、ウエブサイトが言っている時にはベストの値段じゃない値段を基準に、悪い劣悪な基準を基に、”あなた良かったですね”って言われているわけですね。これって、人を馬鹿にしていると思いません?僕は凄く人を馬鹿にしていると思うんだけれどもね。だからもう1回言うと、問題は何かと言うと、”ニューヨークの値段はベストプライスではない!”、という事ですよね。ベストプライスはもっと別の所に、もっと別の値段を提示している業者がいる、その業者の存在が個人投資家の目に見えていないんでね。あたかもニューヨークに比べて得した気分になるという事で、まあ騙されているんですよね、早い話が。我々は騙されている、って事です。で、SEC長官ゲイン・ゲンスラー様は、それに対して、”お前ら、やっている事が悪どくない? おれゴールドマンでパートナーだったんだぜ!てめえらがやっている事は全部、ゲンスラー様はお見通しだよ”、という風に、彼は言っているわけですよ。怒りの鉄拳がーんと食らわせているわけね。で、これからその鉄拳がロビンフッドに下りてくるわけですよ。ガーンとね。それが今月起こるのか、来月起こるのか分かんないけど、今はパブリック・オピニオン(public opinion大衆の意見)を採っているところなんだけれどもね。近々そう、そう言った形でロビンフッドのブレンダー、バタービジネスつまりコアビジネスの80%、売上高の80%位を占めているビジネスモデルが粉々になると思うんですよ。粉々になる。言っている事分かる?
4 . 「”ダークプール”、と言う概念について・・”見えていない注文の存在”、この情報価値が非常に大きいから、ゼロコミッションが成立するんです。」
なんで、こう言うひん曲がった世の中になっちゃったのか?せっかく昔は”市場集中原則”でやっていたのに、何故、このような邪道な事が、ポコポコ起き始めたんだと言う事を説明します。これを理解することが非常に重要だと思うんでね。それは、”ダークプール”、と言う概念です。暗い、光が当たっていない、水溜まりと言うか、要するに暗い水たまり、やみ鍋みたいなもんだよね。じゃあ、一体その溜まっている物は何だと言うと、それは、オーダーフロー、みんながネット証券でポチッと注文を出す、そのポチっのことです。その注文が、たくさん沢山たくさん、折り重なって一つの注文プールを形成しているわけですが、その注文のプールには価値が有るんです。何故かと言うと、”あっ、みんなズームビデオ売ってんの? 売りがこんなにも怒涛の如く入ってんだ!” という、その情報自体に非常な価値が有るわけですよね。何故かと言うと、相場が売りに傾いているんだから、株価が下がる可能性は大きいかもしれないですよね。”ダークプール”、つまり、皆さんの株式注文が、ポチっとされた後、ポチから出向までの短い時間、数秒あるいはミリセカンドの間、その情報には凄く価値が有るわけです。分かり難い部分だと思うんで、歴史を紐解いて、今はコンピューターなんでね。みんなそのハイフェシング・トレーディング、HFTの略されているんだけれども、そう言う100株単位とかさ、そういう小口の株式注文をさ、ばばばばば~っとさ、機関銃みたいに五月雨式にば~っとさ打っていくわけですよ。コンピューターがさ。そう言う出向の仕方、HFTが主流になっているんだけど今はね。でも昔はそう言う事が出来なかったわけですよ。株式注文をとったら、”今、伝票出しま~す”、と言う形で伝票を出してきて、”復唱しま~す。IBMの買い、1000株を100飛び9と56セントで日中計らいですね”、とかさ、そう言う感じで全部、営業マンが口頭で注文を取っていたわけですよ。それを場前に口頭で連絡して、それが場立ちに連絡されて、そして場立ちが取引ポストまで行って、注文を差してくる。注文の成立も場立ちとスペシャリストが話し合いで、”じゃあ、これあんたに売った”、”お前が買った”、と言う形で、その注文をさせたわけですね。だから機関投資家の注文を証券会社のセールスマンが受けてから、出来値が上がってくるまでの時間と言うのは、3分から4分くらいは、何気にかかっていたのね昔は。考えられないでしょう?今の世の中からすればね。今は、ポチった瞬間にすぐ出来ているよね。だから昔はそう言う悠長な事をやっていたわけですよ。しかし、さっきも言ったように、みんなが買いに傾いているのか? みんなが売りに傾いているのか? どこかに大きなビッグセラーがいるのか? あるいは、どこかに玉集めしている鯨がいるのか? そういう、”ダークプール”、その見えていない注文の存在ね、それ自体が凄く価値がある、という話をしましたけれども、逆に、そう言う情報は見せてはいけないんですよ。見せてはいけない。何故かと言うと、大きな気配がさ、買い指値がさ、ある値段のところに、買い指値がぽ~ンと入ったらさ、みんなそのスクリーン見ている投資家はさ、”あへえ~っ、こんなでっかい買い物有るの!”って形で、オファーを引っ込めるわけでしょう? もっと株価が上がるかも知んないから、ねえ? だから今は何を板に見せるか? 何を見せないか? という事は非常に重要な問題で、特に機関投資家の場合、自分の手の内を見せたくない、という気持ちが強いわけですよね。だからHFTみたいにコンピューターの力で見えないように、凄く早打ちするか、あるいは、証券会社にブロックを買い取らせるか? それの事をジャン決めって言うんだけどね。
5 . 「皆さんの注文、それを合計したもの、それが、”ダークプール”、の正体に他ならないんですよ。」
今日説明しているテーマの、”ダークプール”、それは、皆さんがネット証券で入れる買い注文、売り注文、それらの集合体の事なんです。
1 . 実はそれには非常に大きな価値が有るんです。何故かと言うと、皆さんの買い注文、売り注文が、今成立しているプライスの均衡を、押し上げたり押し下げたりするかも知れないからです。一つひとつの注文は小さいかもしれないけれども、10人、50人、100人が、同じ方向を向いて、”買いだ~”、って買い始めたら、相場が上がるわけでしょう?、あるいは売りの場合だったら、相場が下がるわけでしょう?、そういう風にみんなの注文の合計したもの、それが、”ダークプール”、に他ならないわけです。
2 . 何故、ゼロコミッションというものが存在するのかと言うと、証券会社の儲け方と言うのは必ずしも個人投資家から委託手数料を頂くという方法にこだわる必要はない。お客様から預かった注文、そのオーダーフロー、その構成、それ自体に価値が有る、天気予報みたいな価値が有るという事ですね。それ(ネット証券の顧客の投資動向)を、ヴァーチュみたいな、機関投資家だけを相手にしているマーケットメーカーがいるわけですけれども、そういう特定のマーケットメーカーに持ち込む事によって、そのマーケットメーカーが、”あっ、うちの持ち込んで頂いたんですか、有難う御座いま~す。ごっつあんで~す。じゃあ、金一封いくよ!”、って感じで支払いをしてくれるわけですよ(だから、ゼロコミッションが可能なんですね)。だから、個人投資家目線で言えば、”えっ、ロビンフッドに行けば、只で株を買わせて貰えるの? 良いね”、って、しかもスクリーンを見ると、”ニューヨークの値段よりも30ドルも得したの、良いね”、って風に、良い事ずくめなんだけれども、それは嘘で固められているのね。”彼方の出来値、それ貧相な出来値です、しょぼいよ。酷いもんだよ。”って事が誰も教えてくれていないわけですよ。
3 . SEC長官のゲインスラーはそういう事(素人投資家を、嘘のセールストークで呼び寄せ、誤ったコスト認識でぬか喜びさせておいて、その裏で、彼らの投資動向情報を売買して儲けている事)が、”アコギだ、やっている事が汚い、お前ら、汚れ捲ってるな、貴様らの業界は!”、って、それを今、粛清しようとしている、という事なんですね。もっと言えば、例えば、ロビンフッドって銘柄が有るわけだけれども、ティカーシンボルHOOD、まあ僕だったら投資しないね、何故かと言うと、”うちだったらタダで取引させてあげます”、っていう、そう言うセールストーク、それが今後使えなくなるわけでしょう? しかも今、SECがそういう調査してさ、これまでいかにそういうアコギな事が横行していたかという事が、これからマスコミとかに書き立てられて吹聴されるわけだからさ、当然の事ながらイメージが悪くなるのは分かっているよね。これが自然の考え方ですよね。ロビンフッドという銘柄には、そう言う事が控えているんです。

<個人的に気になった質疑>
Q1、先日の雇用統計の解説とそれを踏まえた相場のアウトルックを教えてください。(ライブ時間37:15)

A . 雇用統計自体は物凄く予想を下回りましたね。23万5000人ですかね。予想は75万人でした。
1 . 「”あっ”、と言うような低い数字だったんだけれども、その中身を見てみると・・」
レストランとかサービス業とか、そういうカスターフェイシング、つまり人と人が接触するような業種での雇用が振るわなかったですよね。それはどうしてかと言うと、新型コロナのデルタ変異株が蔓延しているからなんですよね。それは、一過性の事だと思うんですよ。僕の住んでるフロリダとかでも、新しい感染者は減り始めていますので、もうピークを付けたと思う。だから、次の雇用統計はまた駄目かもしんないけれども、その次のあたりくらいから、また改善してくると思うんですよね。
2 . 「雇用統計の結果から、FRBの持っていた雇用対策としてのシナリオ、”インクルーシブグロース”、は、統計的に全否定されたってことだよね。」
それともう一つ重要な事は、FRBは今、少しでも、1日でもそのテーパーを先延ばしにすれば、つまり金融緩和の終了を1日でも先延ばしにすれば、少しでも黒人、ヒスパニック、低学歴者なんかの雇用を増やすことが出来る、だから、粘れ!、粘るだけ粘った方が良い!、と考えていたんですよね。その事をインクルーシブグロースという言い方をしていますけれども、そう言う基本的な態度をFRBは持っているんですけれども、でも、結果を見ると、蓋を開けてみると、”え~っ、全然、非農業部門雇用者数、全然駄目じゃん!”、という事が明らかになった訳でしょう?それは何を意味するかと言うと、FRBの持っていたシナリオ、インクーシブグロースのシナリオ、だから1日でも粘りたいという考え方が、それが統計的に全否定されたわけですよ。もっと言えば、デルタ変異株禍では、そう言う発想(インクルーシブグロースの為に、テーパー開始を遅らせる事)はナンセンスです!、意味ないです!、という雇用統計結果でした。そもそも、みんなコロナが怖くて外出出来ないわけだから、レストランも閑古鳥ですよ。だからレストランでウエイターとかウエイトレスを採用するニーズも有りませんよ。なので有れば何故,FRBは緩和的な金融政策を堅持しているわけ(理由)?それって、暖簾に腕押しみたいな、ナンセンスと違いますか?そう言う雇用統計だったんですよ、先日の雇用統計は。
3 . 「その一方で、”賃金、凄く上がってね~っ・・”と言う、声が上がっているけど、これって単なる、”数字のマジック”、だよね。」
その一方で、”賃金凄く上がってね~っ。これって問題だよね~っ・・”と言う、声が上がっているわけですけれども、これも実は数字のトリックで、レストランとかホテルとか、そういうサービス業で働く人って、賃金水準が低いわけですよ。そうするとだよ、今回デルタ変異種で、そう言う人達の新規雇用がストップしたっちゃったと言う事は、雇用市場全体のミックスで言うと、賃金の低い人達の労働市場への参加が押さえられたんで、平均値を計算してみると当然平均賃金はアップしますよね。そう言うミックスの問題なんですよ、単純にね。だから、実際にベースアップが、がんがん有って、みんなが物凄くいい気持になっているかと言うと、”う~ん、それはどうだろうね~?” って感じで、僕は必ずしも得心していません。
4 . 「実は、FRBは、”賃金の上昇を一番恐れている”、っていう事実が有るんだけれども、その理由を説明するよ。」
内容を吟味してみると、実は数字のトリックなんだけれども、事実として賃金の平均値が上がっている事は、否定できないよね。FRBは何を恐れるかと言う話をすると、これは僕が言っている事じゃなくて、ぼくの知っている、ぼくの師匠だった人なんだけれども、トニー・ソロモンと言う方だったんだけれども、前ニューヨーク連銀総裁ね。彼がニューヨーク連銀をリタイアした後で、僕は彼の鞄持ちをしていたんだけれども、毎月1回ウォーバーグでお食事会をやったんだけれども、その時にトニーが言ってた事は、”君ね~、FRBが一番恐れる事って、なんだか分かる? それは、言っちゃ悪いけれども、賃金の上昇なんだよ!” って、教わったわけですね。”えっ、賃金が上昇するってことは・・良い事ではないんですか?” ねっ、普通に考えれば、そうだよね。みんなだって給料は上がった方が良いと思うしね。それなら、それは疑いもなく良い事なんですよ。賃金の上昇は良い事。しかし、ここは大事な処だから良く聞いてね。生産性の向上なき状態での賃金の上昇は、賃金⇒価格スパイラルを起こす。つまり、賃金が上がったから、みんながもっと高い物を買える。だから、高い値段を喜んで払う。だから、インフレが来る。それが、賃金⇒価格スパイラルというものなのね。だから、
1 . 生産性が向上していないにもかかわらず・・
2 . みんなが効率的になっていないにもかかわらず・・
3 . みんなの1人当たりのアウトプット(仕事の成果)が、増量していないにもかかわらず・・
4 . 具体的には、より短い時間で、より多くの物を作る、あるいは多くの物を販売する、売上高を上げるなど。
そう言ったものが実現しない中で、ただ賃金だけがスルスルと上がっている、人員が確保出来ないからとか、そう言う理由でね。それは悪性インフレを起こす原因になるかもしれない。で、トニーソロモンが言っていた事は、”原油価格なんて上がったり下がったりして、乱高下するわけだから、別に気にしていない” だけど、賃金というものは、1回一つの方向でぐっと上がり始めたら、それが次も、ぐっぐっぐっと何回も上がるわけですよ。つまり、賃金上昇は癖になると言う事なんですよ。そしてそれが癖になり始めたら、賃金インフレが癖になり始めたら、FRBが金利政策を変更することによって、その賃金上昇を押さえ込む事は、至難の技なんですよ、至難の業。だから1970年代にアメリカは高インフレに苦しんだわけでしょう?そして最後はボールヴォルカーがマネーサプライをぎゅ~っと絞ってさ、、みんなの首をぐ~っと絞めて、”死ね~っ” って感じでさ、ぐ~っやってインフレをようやく退治した事が有ったわけですよ。だから、金利なんて15%とか20%とか瞬間風速で吹いていたと思うよ。そう言う事が有った訳ですよ。
【ここからは広瀬節をどうぞ・・】
いま日本で起こっている事を説明すると、今、日本は全然物価が上がっていないよね。それでみんなは、安い値段で美味しいものが食べられるから、東京最高~、日本最高~、ってふうに言っているんだけれども、それって裏返して見るとさ、みんなの賃金どうなっている? 正社員の賃金とかでもどうなっている? 昨日ちょっと、アメリカの大卒の初任給が初めて600万円乗せ、年収600万円乗せね。と言う記事をツイッターに出したら反響が有ったんだけれども、あれって平均値だからね、平均値、トップじゃないよ平均値だよ。日本の大卒の初任給って、いくらだか分かんないけれども、25万円とか?そういう世界?そのくらいでしょう? わかんないけど、知んないですよ、おれも。30年以上日本に住んでいないからさ、分からないけどさ、でも僕が大卒だった頃と、あんまり変わっていないよね。それほど上がっていないと、思うんですね。それはどうしてかと言うと、日本ではインターナル・デバリエーション、賃金、経済でインターナル・デバリエーションと言う経済現象が起きていて、正社員から派遣へのシフト、そして、その派遣も派遣切りと言った形で、賃金を低く、低く、低く抑える、そう言うプレッシャーが物凄くかかっているわけですよ。で、日銀は金融緩和したり、あるいは債権を買い入れしたり、あるいはETFまで買ってさ、株式まで買って、何とかして負のスパイラルから脱却しようとしているわけだけれども、脱却出来ていないでしょう?それには理由が有るんですよ。最大の理由は何かと言うと、そもそもみんなの生産性が上がっていない、みんなの生産性は国際的にみれば、むしろ日本の生産性は地盤沈下しているわけですよ。地盤沈下している。OECD所属の中でも一番低いくらいの所に下がっているわけですよ。賃金上がらないのは当たり前でねえ~?ってふうに、僕なんかは思うんだけれどもね。じゃあ、何故生産性が上がっていないかと言うと、それはステン:サイエンス・テクノロジー・マスマチック、数学ね。そういったもの、分野での、その競争優位、それを今、日本はどんどん失っているからですよ。はっきり言って、”箸にも棒にもかかんない”だから付加価値の高い、単位面積当たりの価値が物凄く高いもの、例えば半導体、半導体は価値の塊ですよ。あんな鼻くそくらいのチップにさ、価値が物凄く込められているわけだよ。そういう先端分野でことごとく、日本は負け続けているわけでしょう? 劣後していて、もう世界中どこも見ても日本の製品は無いわけでしょう?って事は要するに、我々の生業(なりわい)と言うか、お金の稼ぎ方がさ、チープな方、チープな方、チープな方向に行っているわけですよ。それは生産性も上がらないし、そして賃金も上がらないという事は、当然の事でしょう? 当然の事。じゃあ、何をやれば良いのかと言うと、僕に言わせれば、”じゃあ、日の丸最高で、日本の大学をテコ入れしようと!” かさ、そう言うは、くそ生ぬるい事をいう奴が、そういう事を言うの、そうじゃなくて、我々がやらなくてはいけない事は、”ちょっと外国行って、留学してくるわ”って形で、ベストプティクスを盗んでくることでしょう? こそ~っと盗んでくれば良いんでしょう? ね~っ。だから、福沢諭吉はそういう風にして盗んできたんだしさ、新島襄だってそうやって留学してして同志社を作った訳だしさ、渋沢栄一だってさ、孫さんがやっているタイムマシン経営みたいなことを、もっと昔にシーボルトと一緒にやったわけでしょう? だから外国のベストプラクティスを盗んでくる。しゃ~しゃ~と盗んできて、てきぱき・・するという事は素晴らしい事なんですよ。一番ローコストで、行き詰った時につける薬としては、これほどの特効薬はないんですよ。だからみんなに、江戸時代の黒船の来襲の時の事を思い出して欲しいんだけれども、その時にさ、ちょんまげ結ったお侍さん達が、”いや日本最高だから日本人の手だけで、努力だけで、”日本でも大学を作ろう!” って言ったら、そう言うのが教科書に出ていたら、みんなどう思う? ”ぬるいよね~。こいつら、言ってる事が甘ちゃんだよね~”って、思わない? ぼくだったら思うけどね~。そうでしょう。盗んでくれば良いんだよ。そこに有るんだからさ、ハーバードとかさ、イエールとかMITとかに有るんだからさ、まずそこに行けよ~!と言う話をしています。分かる?それが学問と生産性の関係ですよ。そして生産性と賃金の関係ですよ。そして賃金とインフレとの関係ですよ。アメリカが心配している事はインフレ、日本が心配している事はデフレ、そしてデフレを心配しなくてはいけない国って言うのは、下の下の国なんだよ!下の下の国。そういう危機感を、みんなは持った方が良いぜ!。僕は日本人として、”悔しい~っ”、と言う、そういう気持ちが強いわけなんだけどね。日本人はできる!日本人は優秀だ!、こんな筈じゃない!そういう風に、浦島太郎の僕なんかは、強く感じるわけですよ。怒りを持ってね・・はい。

Q2、アストラ・ASTR、ロケット打ち上げが成功した事有るんですか?(ライブ時間54:40)

A . 3回連続失敗していますよね。なので、結果出さなきゃいけないんじゃないの、次はね。まあ結果出せると思うよ。何故かと言うと、アストラのチーフ・テクノロジーオフィサーと言う人は、元NASAの人なのね。そしてそのNASAの小型ロケット燃料のプラクティス、それを全部築き上げた人だからなんです。だから、アストラ自体は若い会社なんで、アストラ自体はトラックレコードはないけれども、チーム自体のトラックレコードはしっかりしたものが有ります。なのでもう少し時間をかけなければ駄目だという事ですね。
【ここからは広瀬節で~す・・】
でもこれは、返すがえす言っている事なんだけれども、”結果を出してない奴は駄目なんだよ!”って事、分かる? で、”世界を見回してみても、結果を出していない奴が、のさばっている国ってのは、日本くらいだぜ!”、はっきり言って、そうでしょう? だから、部長だか課長だか知んないけどさ、威張っているけれどもさ、奴ら、稼ぐ事が出来ないんであればさ、そんな奴、鼻くそピ~ンすれば良いんですよ。分かる? アメリカの投資銀行なんかさ、一番危ないポジション、魚雷が当たり易いポジションというのは、部長だぜ! 言ってる事分かる? だから、誰も管理職にはなりたくないわけ。何故かと言うと、”管理職の命は花の命よりも短い”、からなんですよ。1年か2年続いたら、まあ御の字なんじゃないかな。そのくらい厳しい世界なんだよ。上に行けば行くほど厳しく有るべきなんだよ。言っている事、分かる? だから、新入社員とか言うのはね、そう言うのはね、ゆっくり、しっかり育てるべきなんですよ。だから、粗末に扱うべきじゃない。だけど、上の方の人間、そんなものちょっとでもしくじったら、鼻くそピ~ンって感じで、首切れば良いんですよ。オクタ・OKTAだってさ、前々回の決算でさ、ガイダンスとコンセンサス予想が、物凄く乖離しているという問題が有って、でもそれは、突き詰めて言えば、ビジネス自体はスローダウンしていないんだから、財務部長のガイダンスの出し方が、しょぼかったんだねっ、って言うふうなムードに社内がなって、”あの財務部長、使えねぇ~なぁ~、鼻くそピ~ン~”、って感じで、・・・感じで、処分されたわけでしょう。それで良いんですよ。それで良いの。だから給料の高い人達、上の人達、そこに木偶の棒が一杯いるわけ、特に日本は一杯いる。それを何とかしないと駄目だと思うよ。だからみんなで下剋上した方が良いぜ、少しね。

Q3 . 9月売出しの需給崩れはIPO増える為?それ以外理由はありますか?IPOへ資金が流れ崩れるのですか? (ライブ時間3:43:40))

A . まず、社債の発行が増えるんじゃない、レイバーデー明けはね。株式市場でもIPOも動き出すと思うし、公募増資も増えると思うし、だから、株の供給、債権の供給は増えると思うよ。それから、テーパーと言うのは何かというと、FRBが財務省証券とか住宅抵当証券とかを買わなくなるわけだから、バイヤーがいなくなるという事でしょう?それはキャッシュの動きで言えば、今までは債権がFRBの金庫にきて、キャッシュが市中に放出されていたんだけれども、その市中に放出されるキャッシュの量が段々減ってくるわけだから、そうするとキャッシュは需給関係的には、良くなるわけ? 悪くなるわけ? 需給だよ? それ、考えてみて分かんない? ちょっと、頭使ってないんじゃないの? 当然きつくなるんだよ、当然きつくなる。(市中の金回りが悪くなるってこと。)、何故きつくしなきゃいけないかと言うと、インフレが酷いからでしょう。インフレとは何か? と言うと、お金の価値がシャパシャパに薄まってしまうんだよ。カルピスみたいにさ、それもメチャクチャ薄いカルピスなんだよ。だから、飲んでも飲んでも、なんか水みたいな味しかしないわけですよ。それがインフレと言うものでしょう? それは、貨幣の価値が下がるわけですよ。国民の富は、実質的には失われるわけですね。物が高くて買えなくなるから、バナナが高くて買えない、家が高くて買えない、そう言う状況が来るわけですよね。だから、金融引き締めをやるんじゃないですか?(債権の買い入れシステムって何かと言うと、FRBが、償還期限の来ていない債権をキャッシュに変えてくれていた、って言う事だからね。)

「備考」
・マーケットメーカー:流動性を提供し市場がスムーズに機能することを目的に、特定の資産を大量に売買する市場参加者のことで、一般的には機関投資家がマーケットメーカーとしての役割を果たします。
マーケットメーカーは、取引を行う資産を一定量保有し、売りおよび買いの呼び値を示し、迅速にその価格で約定させることで円滑な取引環境を構築します。市場の変動が激しくなっても、マーケットメーカーには、引き続き安定的に活動し、市場のパフォーマンスに責任を負うことが求められます。
・ヴァーチュ・ファイナンシャル (Virtu Financial;):テクノロジーを駆使したマーケットメーカーであり、世界の金融市場に流動性を提供しており、幅広い証券やその他の金融商品の売買を行う。世界35カ国の235以上の取引所、市場、流動性プールで12,000以上の証券およびその他の金融商品を取り扱っている。
・ジャン決め:売り手と買い手が、相場価格に基づき個別交渉で価格を決める取引、相対的にその場で価格を即決する取引、とのこと。ドラがジャーンと鳴るように、その場で即決するという意味。
広瀬節による解説をどうぞ:「昔は、”ジャン決め”、がスタンダードで、標準の取引の仕方だったんですよ。」
例えばある銘柄を機関投資家が買いたいなと思うと、注文を証券会社に、”これ買って下さ~い”って風に、・・注文を電話で出すという事はしないんです。そうではなくて、バイサイドトレーダーが証券会社、ゴールドマン、JPモルガン、メリルリンチ、そう言ったところに順番に電話をしていって、”IBM 5万株、お宅だったらいくらでオファー出来る? 彼方のオファーの値段を教えて下さい?” という、聞き取り調査をするんですよ。10軒くらいに聞いて回るわけ、すると証券会社のチーフトレーダーは、”うっ、IBM 5万株、売り向かうんだったら、今だったら、場でついている値段よりも1ドル上のところだったら、そのポジション売ります”、という風な形で、自分が処理できる値段をその機関投資家に伝えるわけですよ。で、そのように、お宅だったらいくらで売ってくれますか? あるいは、お宅だったら、いくらで買ってくれますか? という事を打診することを、プライスチェックという風に言います。そうすると、場でついている値段は、108ドルかも知んないけれども、チーフトレーダーが売っても良いよと言う値段は、109ドルかも、知んない? そうすると、機関投資家が大口の買い注文を入れたいって言っているわけだから、108ドルでニューヨークでついている値段というのは、もうどうでも良いわけですよ。何故かと言うと、ゴールドマンのチーフトレーダーは、”おっ、おれのところにプライスチェックが来ているという事は、JPモルガンのチーフトレーダーも今、プライスチェックに答えている筈だし、メリルリンチのチーフトレーダーも今、プライスチェックに答えている筈だ、あいつらだったら109ドルを提示するから、あるいは110ドルを提示するから、俺は108ドル75セントでいこう”、とかさ、そういう各証券会社同士の駆け引きが有るわけでしょう? それで注文を取りたいので有れば、なるべくアグレッシブな、顧客の要求に近い値段を提示しなければいけないわけです。しかし、自分のオファーがヒットされたその瞬間に、”どこかの証券会社が今のブロックを、ぱっくり呑み込みやがったな。俺じゃなかった、俺は負けた!。プライス提示の戦いに負けた!。けれども、IBMは買い物になっている筈だな” と、だから、”売り向かった証券会社を懲らしめてやれ!”という事でセールストレーダーが一斉にウォール街中に、”今、IBMが買い物になっているんです。どこかの鯨がIBMを買っていま~す。どこかの証券会社がそれに売り向かったみたい。これから場でアグレッシブルに拾ってくるからIBMは上ですよ、上~!”、と言うような情報がウォール街中の証券会社から、バァ~っと機関投資家に回るわけです。そこら中のね。その逆風になる瞬間よりも早く、ポジションを拵えた証券会社のチーフトレーダーは、そのポジションをフラットにしなきゃいけない、つまり、売り向かったんだったら、買い戻さなきゃいけないわけですよね。そういう駆け引きが有るわけですよ。
・OECD(経済協力開発機構):ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関。O国際マクロ経済動向、貿易、開発援助といった分野に加え、最近では持続可能な開発、ガバナンスといった新たな分野についても加盟国間の分析・検討を行っている。
・イェール大学(Yale University):米国ニューヘイブン市にコネチカット州本部を置く、1701年創設の私立大学。 アメリカ東部の名門大学群アイビー・リーグに所属する8大学のうちの1校。世界最高峰の大学の一つとして数えられ、5人の大統領、19人の米国最高裁判所判事、49人以上のノーベル賞受賞者、5人のフィールズ賞受賞者、500人以上の米国議会議員、を輩出している。ハーバード大学の公式ライバルである。
・MIT マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology):米国マサチューセッツ州ケンブリッジに本部を置く私立工科大学である。1865年に設置された。
全米屈指のエリート名門校の1つとされ、ノーベル賞受賞者を多数輩出(2014年までの間に1年以上在籍しMITが公式発表したノーベル賞受賞者は81名で、この数はハーバード大学の公式発表受賞者48名を上回る)。最も古く権威ある世界大学評価機関の英国Quacquarelli Symonds (QS) による世界大学ランキングでは、2013年以来2021年まで、ハーバード大学やケンブリッジ大学等を抑えて9年連続で世界第一位。 同じくケンブリッジ市にあるハーバード大学とはライバル校であるが、学生達がそれぞれの学校の授業を卒業単位に組み込める単位互換制度が確立されている。物理学や生物学などの共同研究組織を立ち上げるなど、ハーバード大学との共同研究も盛んである。
( At 2021/09/05配信 )

<あとがき>
広瀬さんが、”アナリストのレポートなんか、ごみ箱ぽい~っだよ!”、と言ってたけど、これたぶん正解だよ。20年くらい競馬やってきたけど、競馬新聞の記者の予想って99%は外れるよ。彼らって仕事なんだから、毎日、競馬の事考えている筈だけどね。厩舎を訪問して調教師に出走馬の取材して、トレーニングセンター行っては朝の暗い内から調教をみて、デスクに戻って過去のレースビデオで展開やゴール前の差し脚を調べたりと、ほんとよくやっているよ。でも、ほとんどの予想が外れてる。彼らも馬券買ってるけど、いつも負けてるよ。不思議なくらいにね。
じゃあ、なんで競馬新聞は売れるんだろうね? それは競馬ファンのみんなって、馬の情報を持っていないからだろうね・・競馬新聞やスポーツ新聞から情報を得るしかないんだよね。これって、個人投資家の株式投資によく似ているんじゃない? 情報弱者という意味においてだけど・・ね。
だけど、競馬をやってる人は、それがギャンブルだってわかってやってるからね、ギャンブルと理解した上で馬券買ってるからね。
広瀬さんが ”個別株のトレードは遊びだよ” って言ってるよね。
遊びってことは、直訳すればギャンブルってことかな? でも、個別株のトレードをしないと面白くないよね、VTIだけじゃね。
でも、広瀬節って哲学だと思う、彼の人生論ノートだよ。有難いよ。
何事にも、メリットとデメリット、陰と陽が有るのは自然の摂理かな? ぼくには良く分かんないけどね?・・苦笑いだね。
以上


サポート有り難う。個人的に関心の有る事柄しか文書化しません。ランダム発行です。私の資金はポケットマネーの70~80万円なので小額過ぎて、優良大型株には手が出ません。1銘柄で10株くらい持たないと、貧乏臭く気分がしみったれるので、いつも手頃な30~50ドル/株の銘柄に目がいきます。