スリランカ仕込み

「へい、らっしゃい」
「えーーーー」
「え??何ですか?」
「店長日本人?」
「そうですよ。何がわるいんですか、私はこれでも スリジャヤワルダナプラコッテの店で15年修行したんですよ!」
「え?」
「だから、日本人ですけどスリジャヤワルダナプラコッテで修業したんですよ。」
「え?なんすか?」
「だーから、日本人ですけど、首都で修業したんだよ。」
「もう言うの面倒になったんすか。」
「いやいやそういうのも師走だから、忙しいから時間がもったいないでしょ。
スキップしていかないと。どうぞ、そちらの大きいテーブルにおかけください。」
「うーーん。師走とかいうわりに、店ぜんぜん流行ってないけどなぁ。何か店内もパッとしないし、BGMもjポップのインストルメンタルかかってるし、なんかテーブルクロスもなんかあぶらついてテッカテカだし。

「はいー!注文お決まりですか!?」
「スリランカ感まったくないなぁ。じゃああのこのランチのチキンカレーのナンのセットで」
「はい、少々おまちくださいーーー!」
・・・・・・
「はい、おまちどうさま。カシワのラレー」
「チキンをカシワっていうなよ。」
「関西出身なもんでねー!」
「うんーー、、、あ、あの」
「なんですか?」
「なんが」
「なんですか?」
「いや、ナンのセットなのにナンがないんですけど」
「いや、何のセットってカシワのカレーのセットでしょ?」
「いや、なんのセットってそういうことじゃなくてナンのセットなのにナンないんですよ」
「いやナン出してるじゃないですか。」
「いやいや、僕この店ナンが大きいって評判きいてきたのに、ナンないってどういうことですか」
「いやさっきからそのテーブルの上にのってるでしょー?」
「え、これナン?テーブルクロスかと思ってたのこれナン?」
「はいーうちはデカイナンが自慢でね、適当にちぎって食べてください!」
「いや、冷めてるし不衛生だし、これえーー、、、どうなってるんですかこの店」
「師走で忙しいですからスキップしていかないと」
「いやスキップしすぎでしょ。」
・・・・・・
「ごちそうさまでした。」
「もういいんですか?ナン、ちょっとしかちぎってない」
「いやいいんですよ。あのいろいろ言いたい事あるんですけど、一つだけ
一番言いたい事いいます。」
「はい。」
「カレーがまずい。ぜんぜんおいしくない。」
「そんなことないでしょ、こちとら15年働いてたんだよ。
スリジャヤワルダナプラコッテのマックで。」
「マックかい。そら、うまいわけないわ。カレー屋で働けよ!」
「うーーん、たしかにセイロンだ。」

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