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え?じゃあなんで来たの?

お相手 40代半ば K子さん
アプリ ハッピーメール

K子さんはとても不思議な人だった。
ハピメでプロフィールを見つけた時は登録したてのタイミングで私が声を掛けたらしいけど、この方はきっと慣れていない感じなんだろうな、と思うようなタイプだった。

ともかく、メッセージを送ってみた。この手の方はまずは当たり障りのない話から始めて様子を見ることにしているので、趣味に書いてあった野球の話を振ってみた。反応は上々で、長めのメッセージが返ってきた。ファーストコンタクトとしては好感触、早速いろいろな話をやり取りし始めた。

特に警戒する感じもないので、程なくLINE交換、これも問題なし。LINEのやり取りを始めてまず驚いたのは、本名もハピメの登録名と同じくK子さんだった。これはかなりの天然なのか、はたまた超世間知らずなのか…ともかく、本名はマズイよと言うことを説明すると、身バレするかもという事でハピメを退会したとのことだった。

K子さんは万事こんな感じのホワッとした感じの奥さまなんだけど、どうやら旦那はかなりのモラ夫で結婚生活は破綻しているらしい。K子さんはその話をいろいろ聞いて欲しくて、ハピメに登録したのだと言っていた。これはピュア案件なのかとちょっと不安に。

それからも粘り強くやり取りを続けていると、K子さんの方から、是非会ってみたいと言い始めた。その頃のやり取りでは、しょっちゅう好き、大好きと言われていたので、これは何とか進展するかなぁと期待を込めて予定を合わせる。

お互い自宅がそう遠くない地域なので、人目も気になるし、ホテルに入っちゃっていい?と聞くとOKとのこと。もう、ほぼイケたね、と一安心。

自宅から少し離れた地域の駅で待ち合わせ。待ち合わせ場所は地図で送っておいたのに、逆側の出口に出てしまったらしく、反対の出口まで汗だくになりながら走ってやってきた。まったくのドジっ子だ。そこから車でホテルに移動。

部屋に入ると、K子さんはホテルに来た経験がほとんど無いらしく、色々なものを興味津々で見ていた。電マがベッドサイドに置かれていて、これ何?と聞かれたので、電マでしょと答えたら、そうかぁ、マッサージするのかぁとか、もはや天然なのか何なのか分からなくなってきていた。
汗がまだ引いてなかったので、シャワー浴びてきたら?と提案したら大喜びでシャワーへ。ルームウェアに着替えて出てきた。

お昼前なのでランチを頼み、食べながらお話。
家族のことをひたすらお話しするK子さん。ランチも食べ終わって、さあそろそろ距離を詰めますか、と手を取ると、音が出るぐらいのビクッ!というリアクション。これは慎重にだな、と思いつつスルッと腕に手を伸ばすと、潤んだ瞳で私を見ながら、
Neoさんは、こう言うところでいろいろとやりたい人ですか?
と、聞いてきた。
…は?

私がポカンとしていると、K子さんが言うには、私、男性に触られるのダメなんです、と言い始める。
…はぁ?

K子さん曰く、元々男性との接触があまり得意ではなかったところに、モラ夫との営みですっかりイヤになってしまい、それ以来男性恐怖症なのだとか。それはもう、パコるとかいうレベルの話ではなく、手を握ったり肩を抱くことすら恐怖を感じるのだと言っていた。

K子さんが全て告白した後に、まあ、こんなとこに来といて言う話じゃないんですけどね、と言っていた。

その通りですね。

その時私が思わず発した言葉こそが、この記事のタイトルだったりするわけで、私には到底理解できなかった。でも、それだけK子さんが旦那の話を聞いて欲しかったのだと思うと、切なさの方が優ってしまい、K子さんを責める気にはなれなかった。

K子さんは、最後はスマホに私のLINE通知がガッチリ出てしまって、夫バレしかけてお別れするという、最後までドジっ子キャラの奥さんだったのだけど、夫バレするまでにもう一回ホテルに行って、その時はベッドで添い寝プラス肩を抱くところまでは辿り着けた。
Neoは、お預け我慢を身につけた。

教訓 まったく場違いに現れたピュア奥さまとは、ピュアなやり取りのみのお楽しみとすべし。
出来るかなーと思っても、思いもかけない出来事が待っている。

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