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ムチュコ、爆誕〜緊急帝王切開〜

出産に向けての体の変化の話なので
少々生々しい表現ございます。
苦手な方ご注意ください。

予定日を1日すぎた日の夜中。
お風呂からあがったら
チョロチョロと水が出るような感覚。
「げ、破水か?」
でもすぐに止まった。
破水か!?破水じゃなくおりものか!?
そんなこと出産したことのない私が
ごちゃごちゃ考えていてもわからないので
産院に電話。

破水かもしれないので
来てくださいと言われる。

0時、日付が変わって病院について
ベットの上で破水か確認してもらうが
すでに子宮口が3センチあいていて
うっすら出血しているので
出血してると破水かどうかの検査はできないようだ。

たぶん水がもう止まっているので
破水ではないらしい。

しばらく様子を見ていると
胎児の心拍を取る装置がピーピーとなった。
「心拍落ちてます!!!」
先生が走ってきて、
エコーで見るから、とりあえず酸素マスクして
深呼吸するように言われた。

「大丈夫なんですか!?」と聞くと
「一瞬心拍が落ちたけど、今は元に戻っている。明日ぴっかさんの主治医がくるまで様子見でいいと思う。」と言われた。

このまま入院。

「お母さん、この子の誕生日今日だよ。」
そう助産師さんに言われ
「えぇ、仏滅やあ。
 生まれて初めて酸素マスクつけたわ。」と
どうでもいいことを1人で思った。

陣痛が少しだけ来ているが
まだまだ序の口で生理痛程度。
進みそうにもないので
心拍が確認できる機械をつけたまま
一旦寝るように言われる。
(寝れるわけないけど。)

寝たのか寝てないのかわからないまま
朝を迎えて
「進んでないから促進剤打つよ!
 絶対今日産むよ!頑張ってね!」と言われ
いよいよだな〜と思いながら朝ごはん。
怖いけど、私が怖がっていても
仕方がないと開き直り完食。

朝ごはん後しばらくして
心の準備はいいか聞かれ
促進剤の点滴を打ってもらった。

2分後、心拍確認の装置がピーピーとなった。
血相を変えた助産師さんが走ってきて
「心拍落ちてます!!!」と叫んだ。
「げ、また!?」と思った矢先
主治医の先生や、他の助産師さんも走ってきて
「お母さん、大丈夫ですからね、落ち着いて深呼吸してください。」と何度も言われる。

先生がエコーで確認。
「ぴっかさん、あかちゃんしんどそうやから
 このまま緊急で帝王切開します。」

先生と周りのみんなの顔で
本当にやばいんだとわかった。

「わかりました。お願いします。」

私が答え終わるより先に
私を乗せたベッドをみんなが囲んで
そのままオペ室へ運びはじめた。

「お母さん、あかちゃん頑張ってますからね。」
「大丈夫ですからね。深呼吸して酸素送ってあげてくださいね。」

たくさんの人に手を握られながらオペ室に到着。

そのまま手術台にうつされて
すっぽんぽんにされ
バッとドラマでしか見たことのないライトがついて
主治医の先生が「僕が執刀します。」とみんなに伝えているのが聞こえて
麻酔のマスクをつけられて、そこで私の記憶は終わり。
残念ながら、臍の緒も取り上げられるところも、産声も、何も、見ていない。

次目が覚めたら病室のベットの上だった。

助産師さんが「ご気分どうですか?」と聞いてくれた。

ありえないくらい気持ち悪く、
お腹が痛すぎて「吐いていいですか?」が
私の産後第一声。
覚えてないけどたぶん吐いた。

しばらくウゥ〜〜〜とうなり
落ち着いてきてやっと、思考が戻ってきた。
「あかちゃんは!?無事ですか!?頭が大きかったのは!?」
「はい、元気な男の子ですよ。たしかに頭囲は大きかったですが、問題ありません。今保育器に入っていて、新生児室で預かっています。」

よ、よかった〜〜〜〜。
と思って、手術前は目まぐるしく変わる状況に圧倒されすぎて聞けなかった質問を聞いてみた。

「なんで心拍が落ちたんですか」

「明確な原因は、不明です。でももしかしたら、予定日を過ぎていたし、胎盤が古くて限界だったのかもしれないです。」

な、なんと。
まさか自分が緊急帝王切開になるなんて想像もしなかった。

私が目覚めたと聞いてもう1人助産師がやってきて
あかちゃんの写真を見せてくれた。

でも、実感はわかなかった。

私の表情を見て察したのか
「ぴっかちゃんが、守ったから、この子今生きてるのよ。お疲れ様。この子取り上げられてから、3分間泣かなかった。みんなで祈った。そしたらね、大きな声で泣いたのよ。強い子ね。」と教えてくれた。

それから、胎盤も見せてくれた。
レバーみたいなかたまり。

「プツプツ穴があいてるでしょ、元気な胎盤には穴はないのよ。これが原因かどうかはわからないけど、この胎盤もかなり頑張った。お疲れ様って言ってあげてね。」と教えてくれた。

とにかく今日は絶対安静なので
動けないし、水も飲めないし、トイレは管で自動で取ってるから、とにかく休んでいろと言われる。

その後、主治医の先生が来てくれて
「お疲れ様、10ヶ月よく頑張ったね。」と労ってくれた。

「先生、あかちゃんの写真見せてもらったけど、まだ実感わかないんです。」

正直にそう言うと
先生が私の手を私のお腹に持っていってくれて
「ここにもういないよ。僕がとりあげさせてもらった。ぴっかちゃんが最後まで守ったから、ここにちゃんといたよ。ぴっかちゃんのおかげで元気に生まれて来れたんだよ。」と言ってくれて
フッと気持ちが緩んで初めて涙が出た。

「明日会えるんですか?」
「会えるけど、歩いて会いに行かないと会えません。」
「え、明日歩くんですか?お腹切ったのに?」
「うん!頑張ってね!(笑)」

いやいや冗談やめてくれと思って
そのまま疲れ果てて少し眠った。

病室に助産師さんが入ってきて目が覚めた。
「子宮の中の血を早く出さないといけないので
 傷口、押しますね〜〜〜!!!!!!」

いやいやいやいやいやいや押しちゃダメでしょと
思うのも束の間、思いっきり押され
無事叫ぶ。

ベッドの手すりにしがみついてなんとか耐える。

それを数時間おきに繰り返して
この日は終わり。

人生で1番怖かった1日。
ムチュコが生まれ、私が母になった日。

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