日記 #37

23.7.29.

 昨日我が家に泊まった高校同期二人と三人で一日過ごす。一人はレポート、一人は会社のための経済学の勉強、そして僕は留学準備のフランス語と、並んで各々別の作業に取り組むのが、まるで高校時代の放課後のよう。
 酒抜きで丸一日過ごすといやでも空気が煮詰まってくるというのもある。比喩ではなく、本当に当時の雰囲気に戻ってしまった。皆罵詈雑言が止まらなくなり、漠然と苛立ちを募らせたり意味もなく叫んだりしていた。こう書いていると我ながら酷い思春期だったと思うが、抑圧していたものがいざ解放されるとなると、罪悪感とともに凄まじい居心地の良さも感じてしまう。
 会社に憂鬱を感じていた親友は、このどろどろに腐りきったホモソーシャルの空気に浸かったことで、一晩泊まっただけで全快していた。数時間前にあれだけ耽溺していたたばこも酒も煙たがり始める始末。しゃらくさい。治ったのは良かったけれどこうもあっさり回復されると逆につまらないようにも感じてしまう。
 二人は二泊目に突入し、夜にはさらにもう二人の高校同期が泊まりに来た。オタク二人が追加されていよいよ男子校の空気が醸成されきった。この空間で過ごしていると、次から次へと意地の悪い発想やえげつない汚言が浮かんでくる。あの頃を思い出す。平素いかに自己を抑圧しているのかということだ。その抑圧も嫌いではないけれど。

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