【轟音の果てのスパイラル・ライフ】


1. あの記事はいま?
かつてロッキンオン・ジャパン誌上でスパイラル・ライフの提示した「Sell Out=店じまい」という現実をまざまざと突き付けられ【二人の終わり方は極めてまさに花火を打ち上げるが如く美しすぎるものだった、カッコ悪い彼らを見たかった、、、】とジリジリと立ち尽くしす女子高生(当時)の投稿記事の一言一句をもはや昨日のことのようにハッキリと覚えている。
 しかも「活動休止」という唯一のファン達の希望の欠片であり、心の負担を和らげるオブラートですら当時Aのつくプロジェクトを開始したばかりの元メンバーK氏はあっさりと本誌インタビューにて解散という言葉に塗り替えた直後の出来事だった。
...にしても何だったんだろうかあの記事は。今年スパイラル結成25年経過したこの2018年にして未だに色褪せない彼らの音楽そのものを体現したかのような、全く同様に色褪せきれてないホントにマスターピースのような言葉達がそこにあった。
いやいや、それどころか単なる投稿記事だってのに物凄いドグマ溢れる、もはや論文級の書物のようだったよ。

そんな彼女は、20年以上経った今でも未だにスパイラル・ライフを聴き続けているのだろうか。そして彼らの音楽が愛され続け、聴かれ続け、語られ続け、メンバー二人もそれぞれのフィールドでそしてそれぞれのやり方で、むしろあの頃よりも自由なフォーマットでそれぞれの音楽を鳴らし続け、我々リスナーも二人それぞれの音に1メートルにも満たない至近距離でアクセスできる、そんな素晴らしい未来が待っていようとは予測だにしていなかっただろう。

2. 横浜アリーナのその先に
でも、正直こうも思ったりする。
仮にあのままバンドが継続し後1枚でもオリジナル・アルバムをリリースしていれば、恐らく世間にある程度(以上)のブレイクスルーを生み出し、たとえその後彼らが解散したとしても今頃はもっと大きなスパイラル・ライフの残した痕跡が未だに世の中を圧巻していたのかもしれないかもしれないと彼女は夢想するかもしれない。或いは22年前の横浜アリーナで砕け散ったギターと轟音の果ての残響音の続きがこういうある種穏やかかつ平和な未来だと知って果たして満足だっただろうかとも疑問に思ったりもする。
もっと言えば………………(毒ガス注意☠️⇩)
新年が明けたからと言ってお客達とロックとは無縁の新年の神社を参拝した後にライブを行う、サービス精神あふれる元メンバーIS氏と、カフェの店員さんが結婚したからと言って「てんとう虫のサンバ」というこれまた平和極まりないあの歌を即興で笑顔溢れて歌うホスピタリティ溢れる元メンバーKK氏の近年の状況が、あの横浜アリーナの、あの熱狂と混沌と崩壊と大狂乱と轟音と崩壊後のフィードバック鳴り止まぬ、いわばスパイラル・ライフという時代の空気を【ぶった切って終わらせた】続きの光景であるとは到底思えないのだ。
 ホント頭悪いプリミティブな衝動的主張をぶちかませば「こんなもん、全然ロックじゃねえ!!!!!!」と思わなくもないのだ。もっと違う、あの轟音の果てにあのスパイラル・ヴィジョンの続きはもっとロックでラウドで、それでいて力強くて、残酷な何かが、きっとあるはずで、まだまだ彼らは本気を見せていないのだ。

3. SL10曲
そんなわけで自ら企画したこのスパイラルライフ の10曲。ここに集められた曲達にはそんな横浜アリーナで打ち鳴らされた果てなき轟音の果てに、もし活動を継続していればどのような4thアルバムを鳴らしていたかを既存曲+カヴァーで構成しようとしたある意味無謀とも言える10曲がここにある。

❶. People
❷. People(LIVE)
❸. Moon ride
❹. I don’t believe
❺. Where are you from? Where are you going? (LIVE)
❻. Why don’t you come with me?
❼. Hersee’s Chocolate(LIVE)
❽. GARDEN
❾. NERO断末魔の咆哮と崩壊のギター@横浜アリーナ
➓. Automatic! (Thee Michelle Gun Elephant)

「人々(❶)を信じ得きれない君(❷)が、この場所に来い(❻)、との誘いを受け月に飛び立つ(❸)。そしてどこから来ようが、どこまで行っても(❺)存在意義を問いただして、その旅はthe END(❼)。そしてあの庭に帰り、そして笑い続けよ(❽)。ようやく君の花が咲きほこる(❾)。」
そう、まだまだ、スパイラル・ライフというバンドは消えてもスパイラル・ライフという現象は終わっていない。それぞれのソロキャリアの音楽人生においてもっともっと凄いことが起きると信じている。あれ?いつの間にかあの日の女性読者の気持ちを代弁するつもりだったが、いつの間に自分の主張になってしまっているのだろう。そう、ここに立ち尽くす。We are standing here. We are living now.
4. 付記〜カバーに関して
スパイラルの音楽をこよなく愛する人ほどこのセレクトは疑問に思う人が続出することだろう。だってミッシェルガンエレファントって、、、って無理あるくないですか??w
でも理由は単純だ。まさにそれぞれの解散後にリリースされた1stアルバムの一曲目を比較してみよう。
まずは
(A) Scudelia Electroの1stアルバムは「さよならノーチラス号」で、歌詞は【オートマティカルなスピードで…】で始まる。
さらに
(B)AIRの1stアルバム「wear off」一曲目は「Rainbow」は「I(You) wanna rock’ roll!!!!!」というマニフェストとともにひたすら叫び倒したものである。

もうお分かりですね。
(A) における【オートマティカル】というメカニック好きな石田氏のセンスと、
(B)のRock’ rollという言葉に根ざしたあの車谷氏のプリミティブとを重ね合わせるとちょうど【オートマチック!!!!!!!!!!!!!!】とひたすら叫び倒すあのミッシェル特有のラウドかつスリリングなあの曲に行き着くのだ。これをあの二人がカバーするってのはものすごく興味ありませぬか?
それこそあの熱狂と混沌と崩壊と大狂乱と轟音と崩壊後のフィードバック鳴り止まぬ横浜アリーナ後に鳴らされるべき音であると思ったりもするし、まだ見ぬ僕らのスパイラル・ライフサウンドがそこにあるのではないか、と思ったりもする。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?