私の特技。【キナリ杯】


誰しも得意なこと、自慢にできることを何か一つ以上は持っているだろう。


社会的ステータスをはじめスポーツが得意、歌がうまい、受験勉強を死ぬ気で頑張った、はたまた小学校のマラソン大会で1位をとった...などの過去の栄光でも十分素晴らしいと思う。


かく言う私は社会的地位も築いていなければ、これまで勉強を死ぬほど頑張ったこともなく、何らかのアピールできるような知識や技術を持っているわけでもない。

仕事に関しても会社ジプシーをしているため社会人7年目にして新卒から経験した会社は4社。しかも最近退職をしてしまったため、現在は完全なるニートだ。


そんな完全ニートの私だが、このキナリ杯に応募したいがために自分の過去を振り返ってみた。

何か語れる材料はないか、なにか熱量を持ってアピールできるものはないか...そんな私が唯一自分の自慢できるものとして持っているものを発見した。









それは「反り舌弾き音」。また、「クリッカー音」とも言うらしい。

舌先を上あごにくっつけ弾くことで”コッ”と音が鳴るアレだ。








……反り舌はじき音??

まず名前が全く可愛くない。

技自体も口だけで収まってしまうため見た目も地味である。



もしこれを自分の好きな女の子や憧れの先輩が「私、反り舌弾き音が得意なんだ〜♪どう?『コッ!!!』」と自慢げに披露してきたら恐らく引く。







そんな地味な特技だが自分の周り規模では音量で負けたことがない。自分にとって大切な唯一の"特技"だ。




上手く説明できないけれど音に"自我"があるのだ。

とても強くて硬い音がする。







この技をいつから習得したかはあまり覚えていない。

物心ついた頃には既に特殊な訓練を受けたあとのような、完成形になっていた。





ふとした機会に披露すると必ず「すごい音だね!」と言ってもらえ、特に屋内の立体駐車場、地下街などではとてもよく響くので披露しやすい。




自分が割と小柄で大人しく見えるのを良いことに、周りに人が居ても澄ました顔をしながらやる。

聞こえた人たちが音源を探している様を楽しむのだ。

我ながら迷惑な奴である。




もしオフィスビルや綺麗なショッピングモールなど、普通に考えたら聞こえないような場所で”アレ”が響いたら、恐らく犯人は私である。すまない。



ただ、非常に残念なことにこれまでの経験上、なんっっっの役にも立ったことがない。上記で記載したような、自分からふざけてやる環境でない限りは日常生活で使ったことも一度もない。












...…さて、これを”チャームポイント”に雇ってくれる会社は現れないだろうか。


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