『僕の姉ちゃん』と僕の姉ちゃん
大好きなドラマと出会った。
その名も、『僕の姉ちゃん』。益田ミリさんによる漫画のドラマ化で、この秋からアマゾンプライム配信され、今度の冬からはテレビ東京系で放送される。
このドラマの魅力は、なんといっても絶妙な空気感と間だ。
なさそうなのにあるあるネタ、あるあるネタなのになさそうな会話劇。
基本にあるのは、姉弟二人暮らしの空間。
仕事して、怒られて、モヤモヤして。
恋して、弾んで、フラれて。
疲れて、小腹すいて、シュークリーム食べて。
カメを拾ってみたり、幼なじみとばったり再会したりして。
もしかすると、真っ昼間に観ても響かないかもしれない。
だけど、一日の終わり、夜寝る前に観ると、えもいわれぬ多幸感を引き寄せてくれる。
なんというか、すごく心地よい熱さの温泉に浸かっているかのような感覚になれる。
そしてなにより、作品自体がもう主演の黒木華さんのプロモーションムービーのようで、女優・黒木華の存在感があふれ出まくっている。
ドラマの企画も黒木さんを主演にすること前提で話を進めたそうで、ほとんど当て書きに近い。
そのせいか、制作陣の熱意がものすごい。
服装、表情、ふと立ち寄る店まで「いかに黒木華を魅力的に撮るか」に相当なこだわりがあるのがわかる。
と思いきや、弟・順平役の杉野遥亮さんの弟っぷりも負けてない。
「ほんとに杉野くんなのこれ?まじで?」と思えるくらい絶妙にダサい。情けない。頼りない。猫背がすぎるんよ…笑
それでもやっぱりイケメンを隠しきれてないので、さすがそこはツミだなと思うけれども。
さらに個人的におもしろいのは、この姉、うちの姉とそっくりなのだ。
もともと黒木華さん似というアドバンテージもさることながら、しゃべり方や思考回路だけでなく、時々ぶっ飛んだファッションで出勤するところとか、フェイスパックしてリビングでゴロゴロしてるのにいきなり核心ついてくるところなんかめちゃくちゃ似ている。
とくに2話での「わが弟は素直にすくすく育ったものよの~」というセリフ。
状況は違えど似たようなこと言われましたもの…。
観ていて、「ん?うちの姉か?」と何度思ったことか。
弟・順平の幼なじみが、姉・ちはるのことを「憧れ」と語っていたのも、個人的にはなじみ深い。
その昔、運動会とか文化祭に現れた姉を見かけた同級生たちから、「めっちゃかっこいい!」と評判になったこともあった。
おさがりのものを使っていたら、同級生たちがなぜか姉のセンスを褒める。
近頃、姉と直接会ったことがほとんどないような人と久々に再会したときも、「お姉さん元気?」って言われる。ほとんど会ったことないでしょうに…。
そんなわけで、うちの姉ちゃんの存在感はえげつない。
あれほど自分を強くもっている人はほとんどいない。他者の目が判断基準になることはまずないその独特なセンスは、無事弟にも受け継がれている。
だからこそ、自分も尊敬できる。
尊敬する人は誰ですかって聞かれたときは、「姉です」って答える。
順平が店員さんのドーナツの置き方をみて「姉ちゃんならこんな置き方しない」と思ったように、自分も他者のふるまいをみて「うちの姉ならこんなことしない」なと、ふと思うことがある。
知らず知らずのうちに漠然とした役割を期待しているわけだ。
まぁ、こんな姉さんがいたら人生ふしぎと楽しいよな、わかるぞ、順平。
あまりにもドラマにハマってしまったので、原作本を買うことにした。
ドラマの中で心に残ったやりとりが原作にもあって安心するとともに、ドラマではより自然な会話へとアップデートされており、これこそが作劇だ…!と思わずうなった。
それと、ドラマにないやりとりまで、ふたりの声で脳内再生されるようになった。
テレ東様のことだし、きっと続編を作ってくださるでしょう。
新しいエピソードに出会うまでの間、何周できるかな。
いいドラマに出会えると、しあわせな気持ちになりますね。
原作情報はこちらから。
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