303.文豪夢
2022.11.08
ネットで読んだのだか雑誌で読んだのだか、定かではないけれども、つい最近幸田露伴の話を読んだ。
食に関するエッセイだった。
そんなことを思い出したのは、店の常連のお爺さんが露伴を伴ってやって来たから。
お茶を出すと
分厚く切つた麺麭を持つて来て呉れないか
と言われたので、4枚切りくらいの厚さにスライスした食パンを持って行った。
露伴は、その上に栗のペーストをたつぷりと塗りつけ
上にバタを乗せて少し焦がしつけて呉れ
と言う。
「焦がしつける? 焼くんですね?」と聞き返すと、
「焦がしつけるんぢや」と、につこりと微笑ふ。
渡された食パンはずっしりと重く、厨房のオーブントースターにギリギリ入るくらいの大きさになっていた。
この栗のトーストの話、こないだ読んだエッセイに書いてあった、露伴がどこに行っても勝手な注文をしてでもそれが絶品と言う話だった。幸田露伴ってとっくに亡くなった人だと思っていたけど、元気そうなお爺ちゃんやなぁ。
あれは誰のエッセイやったっけ…
食パンが焼けたので皿に乗せて露伴のところに持って行くと、
盆に乗せて持つて来ないか!
と、酷く叱責された。
あべの近鉄で、バファローズ日本一セールを覗いてから、ハルカス美術館の楳図かずお大美術展へ。
描き下ろしの「ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館」のコーナーが凄かった。入室前に楳図先生の解説ビデオが流れていたのだけど、言うたら失礼だけど、このお年でこれだけの枚数のカラー原画を描き下ろしされるというだけでも圧倒される。しかも1枚1枚がすごいクオリティ。見応えありました。
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