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ビーズのブレスレット

弾けたビーズのブレスレットみたいに、元に戻らないことはいくらでもある。

日々の行動の積み重ねが負荷となってある日突然それは切れてしまう。シーツの上に散りばめられたビーズはきらきらとして、零れ落ちた記憶の破片みたいだ。ひとつひとつのビーズの色に、さまざまな季節の思いを巡らせる。

物語が始まったからには終わりはあるわけで、その物語の結末は主人公次第なのだけれどもそうも簡単に終わらせてはくれないらしい。苛立ったり、大好きだったり、片時も考えないことなどなくて、この感情は未知のもの。何歳になっても初めて覚える感情があるのはありがたいことだよ。

壊れてしまったブレスレットはもう元には戻らないけれど、新しく糸を買い新しいバランスで紡ぐことは出来るのだから何度でも好きなように時代に合わせて作り直したっていい。新しいバランスを楽しめるだけの余白はいつだって残しておきたいし、君とそれを楽しみたい。