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back number『わたがし』に想いを馳せる夏。

もし私が季節決定権所持者だったら「春冬秋冬」か「春春秋冬」にしたい。

夏。

それは、「暑いから」という超絶シンプルな理由だけで私に嫌われるかわいそうな季節。ただ、残念ながら私には季節決定権がないので、夏に聴きたくなるback number『わたがし』について、妄想と独り言を繰り広げ、夏の暑さを軽減しようと思います。
※良く言えば着想、悪く言えば妄想が所々ありますが、個人の見解なのでお手柔らかに。


水色にはなびらの浴衣がこの世で一番
似合うのはたぶん君だと思う
よく誘えた 泣きそうだ

「水色」なのがね〜。
絶妙ですね〜。

私の好きな色は「水色」なんですよ。(だから?)
「水色」ってわけわからない色ですよね。(本当に好きか?)
私が所持する『新明解国語辞典第七版小型版』によると、「空色に似て、それより少し濃い青色」が「水色」だそうです。

ちょっと待って!「空色」ってなに?
なんとなく想像はつくけど、そんなにメジャーな色なのか?
「皆さんご存知空色です」という前提で説明していいのか?
しろやぎさんからのお手紙を食べたくろやぎさんのように仕方がないので引き続き辞書で「空色」を調べました。

空色とは、「薄い『青』の色」だそうです。ここにおける「青」とは、「よく澄んだ空の色に代表されるような色」です。「『よく澄んだ空の色』は『空色』ではないのか?」と「青」の説明に疑問がありますが、大人しく辞書に従います。

辞書より、「水色」とは「『青』と『空色』の中間の色」ってことですよね?
そもそも「水色」の「水」はどこからやってきたの?

まぁ、なにはともあれ(?)「水色」は曖昧で掴みどころがないけど、清らかさを感じる色ですね。あと、こじらせているややこしい色でもありますね。

「水色」の掴みどころがない清らかさを担うのが「君」なら、ややこしいこじらせ感を担うのは「僕」、ただの水色好きを担うのは私です。
実は、「僕」のこじらせ具合を冒頭の「水色」で予告していると私は思っています。

私がこんなに「水色」に引っかかったのは、水色の浴衣って珍しいなぁと思ったからです。MVの山本美月さんが浴衣を着こなしているのでスルーしそうになりますが、水色の浴衣って珍しくないですか? もちろん水色の浴衣はありますが、紺や黒、白を着ている人が多いイメージです。聴き手が勝手に自分が思い浮かべる浴衣をイメージして聴くこともできるのに、具体的な描写があるので、それ以外を思い浮かべる隙がないですね。

あと、「はなびら」なのも気になるんです。花柄とは違うのかな?って。
そこで、私なりの花柄とはなびらの違いを考えてみました。花柄は「私、花でーす!!どどん!!」と自己主張が強めな一方、「はなびら」は「あんた、よく見たら花じゃないの!」と控え目すぎてこっちがびっくり。
そんなこんなで(?)ひらひらと舞う「はなびら」と掴みどころがない「水色」の親和性に平伏します。

だって、「たぶん」と保険をかけつつ「この世で一番」ですよ!
いつの間にか「僕」主催「第一回『水色にはなびらの浴衣』が似合う選手権」が開催されました。こんな選手権を開催するほど、冒頭一行目の描写に「君」のすべてが詰まっています。でも、どうせ「紺色に水玉の浴衣」でも「白色にさくらんぼの浴衣」でも「君」が「この世で一番」になるでしょ。笑

まぁ、わかるよ。わかる。好きな人はどのランキングでもこの世で一番になってしまうよね。きっと「君」は、バス通学中に英単語を勉強する姿も、休み時間に読書をする姿も、授業中にふと外を眺める姿でも「この世で一番」になる魅力的な子でしょ。

「よく誘えた」って自分のことを褒め称えているのがかわいいですね。そして、その後の「泣きそうだ」が秀逸です。
自分の心情を語るうえで、「泣く」だと大袈裟なんですよ。いや〜微笑ましくてここで終わらせたいくらいです。

夏祭りの最後の日
わたがしを口で溶かす君は
わたがしになりたい僕に言う
楽しいねって

夏祭りが何日間か続く地域にお住まいです。

「君」が食べているのが「わたがし」なのがいい!わかる!!

この子はかき氷でもりんご飴でもチョコバナナでもなく、「わたがし」だよ!
そう、「わたがし」なの!ね!どう考えてもそうでしょ!
タイトルが『わたがし』だからって言われたら、ぐうの音も出ないけど、それでもこの子が「わたがし」なのは解釈の一致。
「水色にはなびらの浴衣」に引き続き、この子が選択するものが絶妙だな。

でも、「楽しくてよかったね〜」とこの場面をすんなり受け入れてはいけません。よく考えたら怖い話があることに気づいていますか?
「僕」がわたがしになりたい理由は「『君』が食べているから」......ですよね。
「君が食べるわたがしになりたい」っていい感じに気持ち悪くて最高ですね。
さすが「第一回『水色にはなびらの浴衣』が似合う選手権」を勝手に開催する人ですよ。こういう思考回路なんだってすんなり受け入れちゃうもん。「僕」が静かに舞い上がっていると思えば微笑ましいのかもしれませんが、とんでも性癖を平然と暴露しています。「君」はきっとニコッと笑いながら「楽しいね」と言ってくれて「僕」のわたがし願望に拍車を掛けてしまうことでしょう。きゅんです。

僕はうなずくだけで
気の利いた言葉も出てきやしない
君の隣歩く事に慣れてない自分が
恥ずかしくて

喋れ。てめーが誘ったんだろ。「君」に気を遣わせるな。「君」にお前のとんでも性癖、暴露するぞ。
でもまぁ、2人きりであんまり話したことがない距離感なんでしょうね。よく誘えたな、そりゃ泣きそうになるわ。でも、そうなると、あんまり話したことがない相手の誘いをなぜ「君」は受けてくれたんだろう?てゆーか、そんな2人が一緒にまわれるかな?誰かのアシストないと無理じゃない?

見た目は中学生によく間違われる、頭脳は大卒程度な私の推理によると、これは男女4-6人くらいのグループで来ている可能性が高いですね。「僕」の気持ちを知っている友達の戦略な気がしてきました。きっと「君」を誘ったのは、周囲が一度は「なんでそことそこ仲良いの?」と思うけど、昔から家族ぐるみで仲良しな幼馴染だと思います。「君」が読書をしていると、「ねぇ、あいつらと一緒に夏祭り行くんだけど、〇〇(「君」)も行こう〜よ〜!ね!」と話しかける幼馴染。本に栞を挟みつつ「あ〜......(あいつらと言われた方を見る)。私あんまり話したことないから……。」と断ろうとするのを「めちゃめちゃ話したことある私いるよ!」と食い気味で遮り、「小さい頃から毎年一緒に行ってるじゃん!私の夏と言えば〇〇と夏祭りに行くことなのに〜。その記録も途絶えてしまうんだ……。」と泣くふりをする幼馴染。その姿を見て、「(笑)大袈裟だなぁ。でも、記録が途絶えるのはよくないね。」と承諾してくれたんだと思う。
そうなると、「よく誘えた」は「(行く気なさそうだったけど)よく誘えた(幼馴染Good job!ありがとう!)」ですね。長年の蓄積によって得た信頼関係で成り立った交渉と言えます。グループで来ているなら幼馴染がどうにか取り持ってくれるはずだけど、歯がゆくこそばゆい感じになっているので、なんやかんやあって2人きりにされたのかもしれません。幼馴染はかき氷を食べながらちょっと遠くでニヤニヤ2人の様子を見ているかもしれません。私も一緒にかき氷食べよ。

想いがあふれたらどうやって
どんなきっかけタイミングで
手を繋いだらいいんだろう
どう見ても柔らかい君の手を
どんな強さでつかんで
どんな顔で見つめればいいの

気の利いた言葉が出てこない奴は、一生手を繋げねぇよ。まず喋りなさい。幼馴染のアシストをどう活かすかは「僕」にかかっているんだから。ひそかに「君が食べるわたがしになりたい」と思っているうなずくだけのやつに急に手を繋がれる「君」を想像してごらん。恐怖に怯えた表情で見つめられるか、「えっ......。花火怖いの?」と心配されるかのどっちかだよ。その「君」の表情を見て何を思う?
「かわいいな」だったらお前とんでも性癖持ちのただの危険人物だよ。


君がさっき口ずさんだ歌にも
たまに目が合う事も
深い意味なんてないのだろう
悲しいけど

深い意味ねぇな。そこの察しはつくんだな。
「たまに目が合う」というより、お前がずっと「君」を見ているだけじゃね?
そして、「君」がたまたまお前の方を見たときに目が合うんだよ。深い意味がないことを悲しんでいるからラブソング系の歌を口ずさんでいたのかな?

もうさ〜、「水色にはなびらの浴衣がこの世で一番似合う」って教えてくれたのに「君」が口ずさんでいた歌は教えてくれないの〜?そんなことある?
浴衣はあんなに詳細な描写で、選手権まで開催したのに、口ずさんだ歌については全然詳細を教えてくれない。教えたくないくらい「僕」のことをえぐる歌だったってこと? でもさ、深い意味がないと察するってことは、深い意味がある歌を口ずさんでいたことになるよね? そりゃ、えぐるか。

はーい!みなさーん!!カンカンカン!!!
ここで「僕」に対抗して、私主催「第一回『君』に口ずさませたい歌選手権」を開催します。

いえーい!ぱちぱち。どんどん!ピュー!

一番冒頭の「水色にはなびらの浴衣」でめっちゃはしゃいでいた奴は、二番冒頭でもめちゃくちゃはしゃぐってわけ。参加者は今のところ私だけなので脳内会議でお送りします。

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私1:どんな歌を口ずさませようかな〜。
私2:やっぱり「夏!」って感じの歌かな?
私3:夏祭りってことを考慮すると、Whiteberry『夏祭り』じゃない?
私1:えっ!「ダダダン ダダダン ダダダン カカカ」やるの?
私2:いや、太鼓の達人じゃん。口ずさむならその前の部分でしょ。
私3:じゃあ、YUI『SUMMER SONG』は?
私2:あぁ〜いいねぇ〜。この子、YUI聴いてそうだね〜。
私1:でもさ、それだと「夏祭り」よりも「やっと夏休みだ!」感が強くない?
私3:確かに。aiko『花火』は?
私1:aikoか〜。この子、aiko聴いてなさそう。
私2:なんかわかるな。YUIは聴いてそうだけど、aikoは聴いてなさそう。
私3:そっか〜。じゃ、花火つながりで、DAOKO×米津玄師『打上花火』は?
私1:あぁ〜イントロ最高だよね。でも、その曲だと時系列おかしくなるからだめ。(『わたがし』は2012年、『打上花火』は2017年)
私3:あっ!フジファブリック『若者のすべて』はどう?
私2:うわっ!何年経っても思い出す花火にこの日の花火がなるの!
私1:いやぁ〜、それはいいな!そりゃ「深い意味なんてないのだろう/悲しいけど」につながるわ。

(フジファブリック『若者のすべて』を視聴する私たち)

私2:あぁ〜、いいねぇ〜。まずイントロが天才だもん。いつ聴いても心に沁みる名曲だな〜やっぱり。
私3:夏も終わりに近づいたなぁ〜ってときに聴きたくなるよね〜。あとさ、「夕方5時のチャイム」って言葉選びめっちゃいいよね。都会って、夕方5時にチャイム鳴るの?
私2:そこ気になる?
私1:正午にチャイム鳴らないなら、夕方5時にも鳴らないんじゃない?
私2:真面目に考えなくていいよ。笑
私1:私3が言うように夏の終わりが合うのは、めっちゃわかる!まぁ、結局時期とか関係なく聴いちゃうんだけどね。でも、夏に聴く『若者のすべて』は別格なのよ!
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ということで、私の脳内会議の結果、「第一回『君』に口ずさませたい歌選手権」において、フジファブリック『若者のすべて』が選ばれました。ぱちぱち。
『若者のすべて』もね、「花火」とか「夏」とか『わたがし』に通ずるものがありますからね。我ながら最高の選曲センスを発揮しましたね。素晴らしい!
第二回が開催されるのを心待ちにしております。

君が笑ってくれる
ただそれだけの事で僕はついに
心の場所を見つけたよ
うるさくて痛くてもどかしくて

とんでも性癖持ちのうなずき野郎に笑ってくれるなんて本当に優しい。
好きな人の笑顔の前で、人は無力なんでしょうね。

下2行の歌詞が好きです。
「恋心」をこう表現するんですよ、back number(清水さん)は!

想いがあふれたらどうやって
どんなきっかけタイミングで
手を繋いだらいいんだろう
どう見ても柔らかい君の手を
どんな強さでつかんで
どんな顔で見つめればいいの

「うるさくて痛くてもどかしくて」を理由にして手を繋げるんじゃない?
この際、きっかけとかタイミングとかもういいのよ。想いがあふれちゃってんだから。てゆーか、あふれちゃってんなら相手にバレているんじゃない?

確かに力加減わからないけど、握力測定並の勢いはダメ絶対。子猫を扱うくらいの優しい感じで。

見つめなくてよくない?何事もなかったようにさも当然のように手を繋げばいいんじゃない? それか、照れながら笑えばいいじゃね?

もうすぐ花火が上がるね
君の横顔を今焼き付けるように
じっと見つめる

「もうすぐ花火が上がるね」って言ったのどっち?教えてよ!ねぇ!
多分、「君」な気がする。「もうすぐ花火が上がるね」と言った「君の横顔」を見たんだ、きっと。やっぱりオメェずっと「君」のこと見てるな。でも、好きな人の横顔覗くのいいよね。わかる。でも、「じっと見つめる」に「僕」のとんでも性癖の片鱗が窺えるね。

この胸の痛みはどうやって
君にうつしたらいいんだろう
横にいるだけじゃ駄目なんだ
もう君の気を引ける話題なんて
とっくに底をついて
残されてる言葉はもう
わかってるけど

わかってるじゃん!そうだよ!横にいるだけじゃダメだよ!
いいですね〜、「君にうつしたらいいんだろう」ってところが。
「告白」をこう表現するんですよ!back number(清水さん)は!

待って!「もう君の気を引ける話題なんて」だって!喋っている!
うなずくだけで気の利いた言葉も言えなかったのに!
話題は底をついたけど、成長しました!素晴らしい!ぱちぱち!

「わかってるけど」の歌い方、ちょっとやけになっている感じで好きなんですよね。遠くから2人の様子をかき氷を食べながら見ていた幼馴染と私が「行け!今だ!」と、金銭でも賭けてるんかって疑うほどの野次をとばしているのがうっすら見えた「僕」が「うるせーな!(怒)そっとしてて。」って心の中で思っていますね。

想いがあふれたらどうやって
どんなきっかけタイミングで
手を繋いだらいいんだろう
どう見ても柔らかい君の手を
どんな強さでつかんで
どんな顔で見つめればいいの

もうこの歌詞3回目ですよ。サビの歌詞って1番と2番で変わって最後にまた1番のサビみたいなことが多いと思うんですけど、この歌はずっと一貫して手を繋ぎたい「僕」が手を繋いだ後どんな顔すればいいのか考えているんですよ。

そもそも手を繋ぐってハードル高くない? 手を繋ぐきっかけと手を繋いだ後のことばっかり考えているけど、手を繋げる自信はめっちゃあるってこと?笑

残された言葉を言って前向きな返答だったら手を繋げるんじゃない?
これで、解決するよ。まぁ前向きな返答じゃなかったときは、その時考えよう!

夏祭りの最後の日
わたがしを口で溶かす君に
わたがしになりたい僕は言う
楽しいねって

わかった。もうわかった。わかったって!笑
「君が食べるわたがしになりたい」ってことは!!笑

最後に念押ししなくても今までの感じで「僕」が心の底から「君が食べるわたがしになりたい」って真面目に思っていることは十分伝わったよ。最後までそれを強調する度胸がすごいよ。むしろなんで手を繋げてねーんだよ。

とんでも性癖を再度暴露して終わりましたが、1回目と違うことがあります。
とんでも性癖暴露1回目では「楽しいね」と言ったのは「君」だけど、ここでは「僕」が言ってます。
でも、きっと残された言葉ってこれじゃないけどね〜。

結局、手も繋げなければ、残された言葉も言えずに夏祭りは幕を閉じました。
「僕」の功績が「夏祭りに『君』を誘えたこと(仮)」と「『楽しいね』と言えたこと」なんてなぁ......。あんなに手を繋ぐにはどうすればいいのかを考えていたのに、結局手を繋げていないなぁ......。
最後、「楽しいねって」は余韻がある感じなのに、その後の「タタタン」が意外と潔くて好きです。そして、打ち上がる花火。

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はじめまして、やぎ。と申します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「君」に口ずさませたい歌について語るつもりはありましたが、まさか冒頭一行目「水色にはなびらの浴衣」をあんなに語ると思いませんでした。楽しかったですが、残念なことに夏の暑さを軽減することはできませんでした。ごめん、夏!とっとと終わってくれ!笑

ちなみに、MVを垂れ流してくれる番組でたまたま聴いた『わたがし』が今でもback numberの歌の中で一番好きです。back numberはあんまり詳しくないですが、『恋』、『花束』、『スーパスターになったら』、『アイアムノットイナフ』、『青い春』、『fish』』が好きです。

歌詞引用:https://www.uta-net.com/song/131500/
参考文献:山田忠雄ほか7名編『新明解国語辞典第七版小型版』、三省堂、2012年