「美味しくない?」と聞いた時に「美味しいね」と言ってほしいのはワガママ?

 私は丁寧に作られたお惣菜やお菓子が大好きだ。カフェに行ったらほぼ毎回、自宅用に何か買って帰る。パン屋でバイトをしていたためか、食に対する興味やワクワク度が普通より高いのかもしれない。嫌な事があった時や、心が鬱をキメてしまった時、どうしようもなく涙が止まらない時には、その持ち帰ってきたお菓子やパンとコーヒーやお茶を持って二階の自室に籠る。オレンジの間接照明、お気に入りのカレンダーや花器、誰にも邪魔できない私だけの空間。そこで美味しいものを静かに頬張る時間は、本当に至福である。

 お店で「ここの焼き菓子美味しかった…是非とも味わってもらいたい!」と思い、母と妹にお土産を買って帰ることがよくある。ある日、それを食べてもらった時、母の反応が想像していたよりずっとあっさりしていて、そっけなかった。表情ひとつ変えずに食べている。私は思わず「美味しくない?(美味しいよね!)」と聞いた。「うん、美味しいよ。」と返事。モヤモヤが残った。

自分の期待通りに想像通りに、他人が動く訳じゃないのは分かっている。自分の投げて欲しいボール(言葉)を相手が必ずしもくれる訳では無い。けれど、「美味しいよね」というのをやや強要してしまう節が、どうやら私にはあるみたいだ。

他人の思考や感情は、自分にはどうにもできない。自分と他人の感情の区別、線引きをしっかりできない時がある。「ここから先は、私にはどうにもできない。」「いくら私が悩もうが、これ以上は相手の捉え方次第だから考え込む必要はない。」これを忘れずにいたい。

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