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浮気もどき

「最低なことをしたって気づいたときには、もう遅かった。」

私は嘘をついた。

「彼氏いるの?」って聞かれて、なぜか彼には「いない」って答えた。

違う。

「いなかったらいいのに。」って心のどこかで思ってたのかもしれないし、ただ寂しさを埋めてくれる人がほしかっただけなのかもしれない。

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遠距離恋愛していた彼氏をいないことにした罪悪感は一切なかった。

それより、彼に、私に彼氏がいることで離れられる方が嫌だった。

だから嘘をついた。

恋人関係になるまでに時間はかからなかった。ただ身体の関係はなかった。ただ、「好き」「愛してる」そんな言葉で愛を伝えあっていたものの「付き合おう」とはお互い言わなかった。時が経つにつれて、彼の家から大学に行くことが増えた。そのせいか、彼は、私が過ごしやすいように、生活用品を揃えてくれていた。

気づけば、私は彼氏がいることを自分で忘れてしまうぐらい彼にのめり込んでいた。

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ある夜、映画を見ていた時に、彼は私に言った。

「俺のこと好き?」って。私は息をするように「好きだよ」と返した。
彼は安心したような表情で私を見つめ、キスをした。

私は、彼との関係性に名前がなくていいと思った。逆に、二人の関係性に名前を付けてしまうとうまくいかないような気がした。

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私は遠距離恋愛している彼氏に別れを告げようとラインをした。彼と関係があることも伝えた。

すぐに返事が来た。私の想像していた返事とは違っていた。責められると思っていたのに、なぜか、彼氏が謝ってきた。

私は、その時初めて、自分のしていることに罪悪感を感じた。最低なことをしてしまったって。拭いきれないほど涙がこぼれた。本当に辛かった。私はなんでこんなことをしてしまったんだろう、って。

彼氏は私を責めることなく自分を責めていた。寂しい思いをさせた俺がいけなかったって。

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「俺は許せるからnemuがよかったら、もう一回ちゃんと二人で話し合ってやり直そう。」

こう言ってくれた。私はすごく嬉しかった。でも、今まで自分のしてきたことを考えると、やり直す選択を選ぶことはできなかった。

結局、私は彼氏と別れることを選んだ。

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彼氏と別れてから、彼との関係性も変わっていった。

あんな好きだった彼への気持ちが一気になくなっていった。不思議だった。そして、思った。

「私、寂しかったんだ。だから、その寂しさを埋めてくれる人がほしかったんだ」って。

彼とは連絡を取らなくなった。めんどくさかった。最後に、長文のラインが来ていたけど、今では内容も思い出せない。そのまま、ブロックした。

寂しさを埋めてくれる彼を好きだったのか、寂しさとか関係なく彼を好きだったのか、考えても答えは出なかった。

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ちゃんと寂しいって伝えればよかった。ちゃんと会いたいって言えばよかった。寂しい夜に声聞きたくなったって電話すればよかった。

全部を伝えて重いって思われるのが怖くて言えなかった。遠距離恋愛だから相手の負担になりたくなかった。だから、勝手にいっぱい我慢した。

でも、離れてるからこそ、ちゃんと自分にしかわからない気持ちを伝えるべきだったって後悔した。

でも遅かった。

気づいたときには、もう恋は終わっていた。

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同じような経験をしている・したことがある人は、言わないだけでたくさんいると思います。

「ほんの出来心で・・・」「寂しくて・・・」「気を引きたくて・・・・」お願いです。その場だけの感情に流されないでください。

なにもいいことは起こりません。大切な人を傷つけるだけです。

重いって思われることを怖がらないでほしい。

その重さもひとつの愛のカタチじゃないのかなって。