見出し画像

"肉入りハクスラ"は衝動に訴えかけるから絶対面白いと思うがやめてくれとしか言えん

面白い記事を見つけた。少し前のものになるがtwitterのTLに流れてきたものである。やはりネットは面白いタイミングで面白い記事を見つけるからやめられない。

これはe-sports的な側面を持つ対人ゲーム「VALORANT」の公式が、公式への質疑応答として回答したコラムのうちの1つである。

内容は「スマーフ行為」についてだ。

まず、スマーフ行為ってなんすか

最初に結論いうとスマーフとは上級者がサブアカウント等を使って初心者マッチに参加し経験の差で無双するような行為のことを指し基本的には不正行為でほとんどの作品で禁止されています。

上記記事内冒頭より引用。

引用文の通りである。雑に言えば対人戦を伴うオンラインゲームにおけるサブアカウントのこと。上のリンクはすごい端的にまとめてあるね。


で、本題のVALORANT記事

まずね、中身がめっちゃ大人だった。
スマーフ行為が横行する理由をきちんと分析してあって、それに対してどう対処するかを考えている――まぁ場当たり的というか時間稼ぎとも邪推できるかもしれないけどスマーフという問題がいかに難しい構造にあるかというのを示しているんだと思う。というのも、アカウントを個人で紐づけていく仕組みにそもそもないから、複数のアカウントが本当にサブアカウントなのかの判別が運営側からはできないという点にある。

考えてみてほしいが、父親がメインのPSIDだったりとかがあって、その子供がゲーム内でキャラクターIDを作ったとしよう。そのセーブデータには2つのキャラクターが居るわけだが、おおもとのPSIDは1つなので見かけ上ゲームでは二人だが、根幹のシステムでは一人みたいなちぐはぐな情報になってる。確かにPSID支払いを伴う事もあるからより個人と結びついているかもしれないが、場合によってはIDを分けることでゲームを家庭内でおすそ分けできないからという事でアカウントを分けていない人もいると思う。ゼルダとかのゲームのセーブデータが3つあってさ、そのうちの何番目のセーブデータが子供の奴、みたいなそういうくらいの話の延長にしかならないから、キャラクターと故人を紐付けしたかったらスマホか何かと連動させるしかねぇと思うわ…それこそスマホ載せてる間だけ、みたいなさ。

勿論話は掘り返すが、時間稼ぎみたいな回答でもんにょりする場合もあるだろうが、これはゲームが部屋の中だけで完結しなくなったことにも起因すると思う。ゲーセンに行って顔を覚えられるようなつわものの世界、それがライトになっていき友達の家でお菓子つまみながらやるスマブラの時代は終わった。オンラインという形になってしまった以上、どこかでケリをつけなきゃいけない問題になる。

どちらにしろ、この部分を規約で縛り切れないのは個人とアカウントの紐づけが仕組み上どうしても強くできず、アカウントに制裁を加えた時に何を返されるかどうかがわからないという不可視の領分によるグレーゾーンをユーザーが持ってしまったことにある。
e-sportsを進めるにあたってここはどうしても紐付けしておきたい部分ではあるだろう。大事な時は頼れるのは自分でなければいけない、というストイックな決め台詞の一つや二つくらいゲーマーは残していそうだし、アスリート的ではないにしろ替え玉受験も許されないのにスマーフはOKというはいささか倫理的にはどうなのか、となるわけだが『ルールに記載されてないからいいだろう』というゲーマー的で柔軟な解釈の基にこの問題が残されてしまっているという事になる。ハハハー、何ともめんどくせえな。


やっぱ人は人を蹂躙したいらしい。

これは個人的な持論というか、まぁそうなんだろうなと思ってることだが博愛主義だろうが何だろうが知らんが人間はやっぱり生物の領域は超えていないから、理性で抑えるのは無理だという事だと思ってる。それは争うこともそうである。じゃんけんなどもそうだが何かに優劣をつけないと物事がスムーズに進まない。すべての意見を等価に並列し実行できるわけじゃないから仕方ないよな。優先度はつけなきゃならないし、それの上位が『勝ち』というならそういう争うは絶対発生しちゃうと思うワケ。

さっきのVAROLANTの記事では「悪意のないスマーフプレイヤー」という表現がたくさん出てくる。これは始めたばかりの初心者とランク戦に出ているという事を示しているらしい。友達と遊ぶときに遊びの幅を狭めないように設計しているが、どうしても初心者の友達が足を引っ張るとなると、とものプライドを損なうことなく、同時に勝利や過程といった感動体験を共有するにあたり自分を偽るしかなくサブアカウントに手を染める、という事のようだ。これを 「悪意のない」 という表現にしたことはいささかどうだろう?と思うが公式が言うという立場上、最大限譲歩した表現だったのだろうと思う。

かつて私に向かって「ゲームの楽しさは勝つ事だ。だから勝てないことに対してへらへらしているあなたは間違っている」といった人がいた。
何つーか、それが普通の感覚だよな。勝ち負け、優劣、負けたら何の話題性もない。負けという言葉の持つ意味はまさしくこの劣等感の付与だからこそ、勝つことでその逆――優越感と負けた人に対して大仰にふるまえるという空気が『楽しい』と言われたらそれまでである。彼の言葉はいい知見になったので今も結構考える。

私はゲームが下手なので、勝つ事に比重を置くと何かを喪う気がしているし、私はそこを喪っていないから今、たまたま興味を持ってくれる人のゲーム導入や解説に重用されているのだと思っている。


新入部員を笑顔でいびってた部活に入りたいかよ

話は少し離れてしまったように見えるが、本質は一緒である。

友達と遊ぶ楽しい時間の共有を提供・供与するという
大義名分があればスマーフは許されていいのかどうか

という事である。
先に始めた人はプライドがあって、友達を守るようなプレイに酔いしれることもあるだろう。そういう点でもその舞台装置のように扱われる『真の初心者』――『友からではなく独力で始めた勇猛で開拓者な初心者』をどうにか指の隙間から逃すのは惜しいと公式が思うのは当然だと思う。

公式はそう言えないので、どうにか譲歩して「悪意のないスマーフプレイヤー」とマイルドな書き方をするしかないし、それに対しては「遊び方の新しい提案、モードやルールシステムなどの措置や試作を考える」という回答に留まるしかない。

楽しければ、その空間が楽しいのであれば、何をしてもいいというのはいささか虫が良すぎるのではないか?というのはおそらくずっと付きまとう事だろう。ゲーマーは困難から立ち上がってこそ、というがその困難がきつかったらゲームを変えてしまうのだ。やーめよって言って代わりが見つかるくらいに今はコンテンツがあふれかえっている!一度ついたマイナスの印象から復帰させるのはかなり難しいってもんですよ。
ともかく、相手ありきの対戦ゲームである以上、中身がオールNPCでないのならば、その部分を少しでも頭に入れておかなければならない。

相手は人間だぞ。


ここ好きポイント

先のVAROLANT記事のスマーフの締めの文言はとても素晴らしいと思ったので、掲載する。

今回、せっかくの機会ですので、もう一つお知らせしておこうと思います。「異様に強い」プレイヤーと対戦するのは確かにストレスですが、私たちの調査によると、スマーフはコミュニティーの一部で信じられているほど蔓延しているわけではないことが分かっています。たまたま調子が良いプレイヤーと一緒の試合に入ったということも、往々にしてあり得るのです。もちろん、スマーフが重大な問題であることを否定したり、この問題自体を軽視したりするつもりは一切なく、解決に向けて尽力すべきだと考えています。ただ、もし今度妙に強いプレイヤーに遭遇することがあったら、たまたま相手の調子が良い可能性もあるということを、思い出していただければと思います。
—Jon Walke(コンペティティブデザイナー)、Sara Dadafshar(プロデューサー)

申し訳ないが、私はVAROLANTをしているわけではない。
あくまでも主戦場はバトオペ2である。とはいえ同じような対人戦闘ゲームにおいては何が起こるかわからないアドリブ性があるからこそ面白く、そして見所がある。そうでなければ奇跡は起こらないし、名バウトという概念も発生しない。毎回同じ結果が出ないからこそ人を惹きつけるものだと思っている。要素の一つとしてヒューマンエラー的な「ムラっけ」――いわゆる調子みたいなものだと思っている。練習でこのムラをいかに抑えるかどうかが大事になるわけだが、往々にしてキャラやステージを論じる際にはこのムラのない理論値を叩き込むことを仮想敵に据えることも多い。

無理無理。人がやっててもミスが出るから楽しいのに。
論じるときにカタログスペックで語ると楽しいし、それがわかりやすく見た目にも派手でよいから話は進むがアドリブ性の領分が死ぬほど多いゲームにおいてそのアドリブ性の埋め方を論じないほうが俺としては信じられないと思っている。数値にならないナニカというのを切り込んでいけるかどうかは、論議としてはかなり難しい。着地点もそうだし明文化も難しい。自分が伝えた言葉10を10受け取ってもらえるには受け手の努力も、出し手の話術も必要だ。

だからこそ、好調の敵に当たっちゃったかもしれないという事に対して言い訳がましくではなく、ちゃーんと分析したらそういう場合もあるよなと言える空気にはなってほしいとは思う。

ただ、他人の調子なんて私が把握しきれるわけがない。
真実はわからないのだから、そもそも論じるのもナンセンスと言われてしまえばそれまでだけれども。ただ、暴きたがりの戦術ゲーマー論者にはもう少し肩ひじ張らずになってもいいんじゃないかなーとは、思うんだよねっていう話。環境でなぜ使われているかを正しく把握できていないのにTier表を作ることをまずやめてくれっていう、そういう話である。


調子の良し悪しが何だって言うんだ!根性叩き直してやる!

見に来いよ(ド直球)

調子の悪い時なんて、よくあるともいえる。
1勝するのに2時間かかった前例もある私が言うんだから、間違いない。
ムラっけをどう制御するか、みんなの悩みどころなのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?