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要件定義をやらなければならなくなったら。

要件定義の目的とは?

ここで言う要件定義とは、ITプロジェクトなどを企画した際に、どのようなシステムが欲しいか。システムで「やりたいこと」を決めて、ITベンダや構築メンバへ伝えることを目的に資料を作成することを言います。

要件定義はもっとも重要なフェーズであり、ITプロジェクトが失敗する大半の理由は要件定義フェーズに原因があるとさえ言われています。
このフェーズで、お客さんの要望を漏れなく聞き出し、きちんと優先順位をつけて納得した上で無駄の無い、システムを構築していくことが非常に重要になります。

要件定義でやること

要件定義フェーズでやることは以下の3つです。

1.顧客の「~したい」(要望)を引き出す。
2.「~したい」に優先順位をつける。
3.前提や制約を考慮して実現可能な要件にまとめる。
     ※スケジュールや予算などが主な制約になる。

まずは、漏れなく要件を出すために「~したい」という要望をなるべく多く、引き出してあげなければなりません。

1.「~したい」を引き出す

顧客にとって、ITシステムは高額な買い物であり、一度作ると、なかなか作り直しが出来ないものです。キチンと要望を洗い出し、納得の行くものを作ることが満足度を高めることにつながります。

まずは、予算や制約などを考慮せず、システムで、こんなことがしたい。という意見を洗い出します。要望を聞き出すときにヒントとなるポイントは以下3つです。

1.顧客の「~したい」(要望)を引き出す。
      1-1.なるべく多くの関係者に意見を聞く
      1-2.「過去」「現在」「未来」で要望を整理する
      1-3.要望の目的を聞き出す

1-1.なるべく多くの関係者に意見を聞く

これは意外と意識しないとやらないことが多くなってしまいます。単純に多くの人に意見を聞くのは、時間も労力もかかりますからね。

ただし、ITシステムだから、「IT関連の部署の人だけに意見を聞けばいいや。」と考えていると、プロジェクトが進んでから、ユーザや経営などのメンバから大きな要望が出てきて、手戻りが発生するというパターンが多く見られます。早い段階で多くの関係者から要望を上げてもらいましょう。

この人達はこのシステムに関係無いかなぁ。と思う人たちでも意外な要望を持っていたりします。相談という形でも良いので、コミュニケーションをとっておきましょう。この段階で巻き込めていれば、後々味方になってくれる可能性も高まります。

1-2.「過去」「現在」「未来」で要望を整理する

なんのことやら。と思うかもしれません。ちゃんと説明していきます。

「過去」は、「過去に起きた課題や障害」を聞き出すことです。きちんと運用管理がされているシステムであれば、運用課題一覧などがあるはずです。その課題一覧から、今回構築するシステムに要件を盛り込む必要のある課題を洗い出しましょう。課題一覧などが存在しない場合でも、担当者の方に「過去に障害がおきたり、ユーザからクレームを受けたりしたことは無いですか?」などと問いかけてみましょう。

「現在」は、「現在のシステム利用用途」を聞き出すことです。これは、当たり前ですが、現在のシステム構成と用途をきちんと漏れなく聞き出す必要があります。既存のシステムが有る場合は、今まで出来たことが出来なくなってしまう、ということが大きな不満を引き起こす可能性があります。機能一覧をよく確認し、業務フローや、手順書。マニュアルなども漏れなく目を通しましょう。機能一覧はなければ新規で作成するくらいの必要性があります。

「未来」は、「新規で実現したいこと」を聞き出すことです。日々業務を行っていると、このシステムでこういうことが出来れば、いいのに。ということが溜まっていくものです。システムに詳しく無い担当者の方であると、ムチャなことを言っていたりしますが、この段階では、全て受け入れ、要望として書き出して行きましょう。

1-3.要望の目的を聞き出す

システムの要望を聞き出していくと、すごく細かな要望がたくさん出てくる可能性があります。特にベテラン担当者や、技術に詳しい担当者になると、機能一つ一つの改善点や、「データを表示する際の列の順番」などを要望として上げることがあります。

その際は、きちんと要望の目的を聞き出すことが大切です。「データを表示する際の列の順番」がなぜ気にするのか。それは、「別のシステムにコピーして貼り付ける際に便利な順番」を求めていたり、「別の値と比較したい」という異なる要件が隠れているかもしれません。

本当の目的を解決するために、別の提案が考えられる場合もありますので、細かな要望は、その先の目的を聞き出すことを意識してください。

2.「~したい」に優先順位をつける。

要望が十分に聞き出せたら、そのなかでの優先順位をつけてもらいます。「必ず実現したい」「出来れば実現したい」「出来たらいいなぁ」くらいの段階に分けてもらいます。この機能が無いとシステムを作る意味が無い。くらいの機能のみを「必ず実現したい」に含めてもらいます。この優先度が最も重要になります。

3.前提や制約を考慮して実現可能な要件にまとめる。

要件定義フェーズの最終段階です。ここで、優先順位をつけてもらった要求一覧から、ITベンダは構成の検討とスケジュール/見積もりの作成を実施していきます。可能であれば、事前にスケジュールと、見積もりの予算感を顧客から聞き出しておくことが大きなズレを生じさせないことになります。

ITベンダは、この実現可能な要件にまとめという作業が腕の見せどころであり、様々な制約の中で最適な構成を提案出来るかがポイントです。可能であれば、松竹梅などで3パターン程、構成/予算/スケジュールの制約のバランスを変えたものを用意すると、顧客としては、比較して検討がしやすくなります。

まとめ

1.顧客の「~したい」(要望)を引き出す。
      1-1.なるべく多くの関係者に意見を聞く
      2-2.「過去」「現在」「未来」で要望を整理する
      1-3.要望の目的を聞き出す
2.「~したい」に優先順位をつける。
3.前提や制約を考慮して実現可能な要件にまとめる。
     ※スケジュールや予算などが主な制約になる。

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