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弱いデッキを使うのも楽しい 【遊戯王マスターデュエル】

遊戯王マスターデュエルが配信されてしばらく経った。エクシーズフェスティバルというイベントが行われて、自爆デッキがポイント稼ぎで最速だったのがすぐに修正されたりしていた。
僕は最初【鉄獣十二獣】でゲームを始めて、エクシーズフェスティバルではそれを流用した【十二獣】がかなり強く、今もランク戦で握るデッキになっている。それなりに勝ってると石がたまってくるので、ガチャもちょいちょい引いたりして……ついに、新しいデッキを作ることにした。

それが、【妖精伝姫(フェアリーテイル)】。イラストが気に入ったので石が余るたびにシークレットパックを引き、揃えていった。

これが【妖精伝姫】のカードたち。とってもKAWAII


だが、この【妖精伝姫】というテーマは、テーマ化すらされていないレベルで、はっきりいってめちゃくちゃ弱い。それに必須URが多い。そんなデッキを使ってみても、遊戯王マスターデュエルはそこそこ楽しかったので、NOTEにしておく。
読者諸賢も、Tier1のデッキを企業系攻略サイトからコピーして無双するだけでなく、あえて趣味やイラストで選んだデッキを使ってみてほしい。きっと新しい世界を見ることができるはずだ。

弱いデッキの弱さに向き合う

最初にざっくり作ったのは、【壊獣カグヤ】をベースにしたデッキだった。相手のどんなモンスターでもリリースして召喚できる「壊獣」モンスターを、「妖精伝姫ーカグヤ」の効果で手札に戻して再利用し、相手の盤面をぐちゃぐちゃにしてやろうというデッキだ。
加えて、「妖精伝姫ーシンデレラ」を採用しているので、「竹光」ギミックを採用した。「妖刀竹光」を「シンデレラ」の効果で捨てて、同名カードをデッキから装備すると、「黄金色の竹光」をサーチできて2枚ドローできる、というものだ。2枚ドローといえば有名な禁止カード「強欲な壺」と同じことをやっているので、弱いわけはない。
さらに、【妖精伝姫】モンスターは全て、魔法使い族・攻撃力1850という特徴がある。これは【霊使い】というテーマと共通しており、なんと「憑依覚醒」という魔法カードを使えば、出しただけで1ドローすることができる。
遊戯王は無限にカードをノーコストで使えるので、ドロー効果の査定が厳しい。この【妖精伝姫】でアドバンテージをとりまくってアド差で勝ってやろう、というのが当初の狙いだった。

しかし、これが本当に、メチャクチャ弱かった。ランクマッチで当たる現代遊戯王の動きとくらべものにならず、笑っちゃうぐらい弱かった。弱いデッキをわざわざ使うというのは遊戯王では初めての経験だったので、使っていると何が弱いのかがだんだんわかってきた。

1 1枚初動がない

【妖精伝姫】には1枚で動き始められる初動がない。「カグヤ」は同じ攻撃力1850のモンスターをサーチしてこれるが、それだけだ。「憑依覚醒」で1ドローしたところで、ドローするために召喚権を使っているのだからもう動けない。これは本当に弱かった。

2 横並びの展開ができない

【妖精伝姫】には、特殊召喚で出せるカードがない。なので、どれだけドローしても、召喚権を使ってしまったら展開は終わりだ。「妖精の伝姫」という、2体目のモンスターを召喚できるカードもあるが、それを引かないと複数のモンスターを展開することすらできない。召喚して、終わり。という昭和の遊戯王をやる羽目になる。エクシーズやリンクにも2体以上のモンスターがどうしても必要なので、これは本当に弱かった。

3 盤面・バックにほとんど干渉できない

【妖精伝姫】は、相手の盤面やバック(伏せカードなど)に干渉できる手段が乏しい。いちおう、「カグヤ」の効果でバウンスすることができるが不確定だし、盤面のアドバンテージがとれない。「シラユキ」で守備表示にすることもできるが、今はリンクモンスターとかいう守備表示にならないモンスターもいるので、思っていたよりずっと影響力が少ない。
そんな状況なので、後攻をとると相手の展開しきったモンスターや伏せカードを破壊できず、マジで何もできない。これは本当に弱かった。

4 手札誘発が積みづらい

【妖精伝姫】は、メインデッキのモンスターを主体にしたテーマ。したがって、40枚のメインデッキのうちかなりの分量を【妖精伝姫】関連カード(モンスターや魔法、ギミックのためのカード)に裂くことになる。
そうすると、「灰流うらら」や「増殖するG」などをフルに積むことができず、後攻をとった場合になんともならない。これは本当に弱かった。

5 カードが機能しづらい

これは1とも絡むのだが、【妖精伝姫】のうちとりあえず出せば機能してアドバンテージを獲得できるのが「ラチカ」「カグヤ」、「竹光」とセットになって「シンデレラ」で、「シラユキ」「ターリア」はぜんぜん機能しなかった。

弱いデッキの楽しさ

そんなこんなでマジでめちゃくちゃ弱いデッキになったので、紙の遊戯王経験者などにアドバイスをもらい、改良していった。
こんな激よわデッキを使っていると、いままでほとんど何も考えずに使ってきたTier1デッキの、どこが強くて無法だったのかがよくわかってくる。
そして、それでも使っていると、「弱いデッキを使う楽しさ」も見えてくる。

1 改良の余地

TCGの半分は一人遊び、デッキ構築にある。「あれを入れようか」とか「これは抜こう」とか、いろいろ考えながらデッキを作っていくのは、当たり前だが楽しい。
DCGでは常にTier1デッキの情報が飛び交い、ボタンひとつでコピーできたりするので、これを忘れがちだ。Tier1デッキは完成度が高くすごく強い。強いレシピを使っていると、改良する余地があまりないので、デッキを編集することもあまりない。
だが、弱いデッキは改良しないと勝てないので(改良すれば勝てるとは言っていない)、必然的に色々なカードと向き合ったり、ググってみたりして色々と探すことになる。
【妖精伝姫】にぴったりだったのは、魔法使い族がいれば無条件で特殊召喚できるレベル4モンスターで、増えた手札から出せばレベル4エクシーズや2リンクを作ることができる。「バグースカ」で遅延したり、「希望皇ホープダブル」からのワンショットを狙ったりなどもできる。また、リンク3モンスターの「セレーネ」から「アクセスコードトーカー」を狙っていく動きも相性がよかったので、採用してみたりした。
こうしたデッキ改良の楽しさが、弱いデッキにはある。

2 いろんな盤面ができる

カードゲームは、再現性が高いデッキが強い。特にゲームスピードの速い遊戯王ではその傾向が強く、手札1枚からめちゃくちゃなコンボが決まってワンキル、とかはざらにあるし、それができるデッキが強い。最も強い動きを再現する側・それを手札誘発とかで阻止する側、というのが現代遊戯王の戦いなのだろう。
一方で、【妖精伝姫】にはそういった再現性はほとんどない。1枚初動も後続を出せるサーチもないし、相手を封殺できる妨害も立てられない。ブン回ったところでワンキルもできない。本当に弱い。だからこそ、毎回違う盤面ができたり、思いもよらない状況が発生したりする。
例えば、「月読の盾」をつけた「灰流うらら」が案外粘って相手のモンスターを倒し続けたり、リンク霊使いで相手の「灰流うらら」を蘇生して「セレーネ」→「アクセスコードトーカー」なんていう動きをしたりする。
Tier1デッキは毎回同じ動きをやって、勝っても負けても飽きてくる。そんな時には、弱いデッキを使って、再現性のなさを全身で感じよう。

どういう状況?

3 負けても案外損はない

遊戯王は対戦ゲームなので、「負けても妖精伝姫のカードを使えればそれでOK!」とまで言うつもりはない。勝てたほうがうれしいし、そのためにいろいろ工夫する。しかし、実は遊戯王マスターデュエルでは、別に勝てなくてもそこまで損することはないのだ。
「勝てなかったらランク上がらないし、ミッションも達成できないじゃん!」と思うかもしれない。確かにランクについてはそうなのだが、ミッションは実はそうでもない。ミッションは毎日追加されるが、その期限は月末まである。だから、毎日必ずデュエルに勝たなければならないわけではない。のんびりやってたまに勝てるような勝率でも、ミッションは達成できるのだ。
(もちろん、ランクをゴリゴリ上げて石を稼ぐのも楽しいが、その楽しさは弱いデッキにはない。それがやりたかったらTier1を握ってほしい)

弱いデッキを使うときの心構え

弱いデッキを使うことの楽しさがわかっていただけたところで、弱いデッキ(いわゆるファンデッキ・ネタデッキを含む)を使っていく際のマインドセットを紹介しておく。DCGから入ってTier1をブン回すのをメインにしてきた人にはなじみがないかもしれないので、心のどこかにとめておいてほしい。

1 負けて辛いなら(いったん)やめよう

当たり前だが、弱いデッキは弱いので、負ける。そして、負けることは辛い。それが笑い飛ばせるときと、笑い飛ばせない時がある。
誰もストレスを得るために遊んでいるわけではないので、負けが辛くて笑い飛ばせないときは、別の遊びをしたり、Tier1デッキをブン回して勝って気持ちよくなろう。それでまた気が向いたら弱いデッキを握ればいい。
弱すぎて笑える、ぐらいの姿勢で臨まないと病む。

2 デッキ診断を頼むときは条件を明確に

遊戯王は有識者が多いので、デッキ診断を頼むといろいろ教えてくれる。その時には、「これはどういうデッキで、何がしたくて、譲れないラインはどこか」というのを明確にしないと、お互いのためにならない。
単に「これ、どうすればいい?」などと弱いデッキを見せれば、「全部砕いてエルドリッチかドライトロン握れ」という話になるからね。
例えば、僕の【妖精伝姫】デッキを見てもらうなら、こうなる。

やりたいこと:【妖精伝姫】のたくさん入ったデッキでそこそこ勝ちたい(長く遊んでプラチナいけるぐらい)

譲れないライン:【妖精伝姫】カードを必ず全種類入れて、それをメインにする。(各種最低でも1枚、カグヤとシラユキは2枚以上)他のテーマは入れてもタッチ程度

その他:資産はもうないので追加するならSR以下

こうしないと、お互いのデッキに求める方向性が違いすぎて、摩擦が生まれやすいから注意しよう。

3 1つ目のデッキに弱いデッキを選ばない

どうしてもこのテーマが使いたい!というのはわかるが、もし一つ目のデッキを探しているなら、弱いデッキはやめよう。強いデッキを強く使ってゲームに慣れないと、本来ゲームが持っている面白さがわからず、嫌になる。
強いデッキと弱いデッキ、両方での経験がそれぞれ生かせるはずだ(資産もある程度共有できるし)

最後に:弱いデッキを楽しく使おう

カードゲームは、何もTier1デッキでバチバチにやりあうだけが楽しみ方ではない。資産的に余裕のあったり、ゲームを多面的に楽しんでみたい人は、ぜひ弱いデッキを使ってみてほしい。
最後に、今使っている【妖精伝姫】のデッキレシピを、これからマスターデュエルで組みたい人のために書いておく。診断も随時、前述の条件で募集しているので、コメントなど残してほしい。

スクショでカード名まで共有できる機能がほしいね


拙作「異世界サウナ」はこちら


サウナに行きたいです!