もっと食うための現代大食技術論番外編第14回「資さんうどんでただ食べたいものを食べる」

 福岡のうどんチェーンとして「牧のうどん」と双璧を成すのが、「資さんうどん」。福岡でも山口側の小倉が本店ということで、佐賀の私には馴染みのないお店でしたが、昨年から今年にかけて何と佐賀に3店舗もオープン。投資ファンドに株が移ってから近年急速に店舗網を拡大している模様。現在は福岡を中心に50店展開されてますが、ひょっとしたら全国区になるかもしれません。

 うどん、そば以外にも丼、カレー、定食、サイドメニューが豊富でメニューは100種類以上。ファミレスのチェーン店が現在ほど全国展開していなかった頃、家族揃って外食となるとこの手の「うどんメインだけど色々メニューがあるレストラン的なお店」によく行った記憶があります。そのせいか最近知ったお店なのに、すごく懐かしさを感じます。

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 全メニュー制覇企画とかやっていたらキリがないのでとりあえず食べたいものを食べることにします。まずは前菜のおでん。うどんが来る前につまむことが公式でも推奨されています。厚揚げと白滝が結構デカいですね。

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 看板メニューの肉ごぼ天うどん(大盛)。甘く煮付けた牛肉と、福岡のうどんと言えば欠かせないごぼう天の組み合わせ。九州を出てからコシの強いうどんに惹かれるようになっても、甘く煮付けた牛肉の旨味が効いた出汁と、ごぼう天だけはやっぱり外せません。うどんは「牧のうどん」に比べればコシがありますが、福岡のうどんらしい柔らかでもっちりした食感。この出汁にはこのうどんが合うんですね。

 しかし気になるのが、持ち帰り用のうどんに「讃岐うどん」と書かれていること。余談になりますが、昔から地元の柔らかうどんを提供しているにも関わらず、香川をイメージさせる名前が店名になっているお店が結構多く見かけます。例えば下のお店とか。丸亀にないのに丸亀と名乗っているうどん屋があったりしますが、私が生まれるずっと前から、うどんと言えば香川で、そのイメージにあやかりたいと思った人が多く居たということに気付かされます。

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 かつとじ丼ミニうどんセット。出汁の旨いうどん屋の丼ものが旨いのは常識中の常識。だからこのように良いとことりのセットがあるわけですが、幼い頃は具が一杯入ったうどんも、カツ丼も食べたいけどどっちにしようとよく悩んだものです。今では心置きなく両方頼むことができます(笑)

 福岡のうどんチェーンなのでかつとじ丼はもちろん甘めの味付け。甘くないカツ丼やソースカツ丼もあったりしますが、地元のカツ丼と言えばやっぱりこれ。懐かしい味わいです。

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 もっと米が食いたいってことで、個人的に福岡で一番目に旨いと思っているかしわ飯のおにぎりと、二番目に旨いと思っている明太子のおにぎりと、資さんうどん名物のおはぎ。ちなみにぼたもちとおはぎは同じもの。季節によって呼び方が変わり、春は牡丹餅、夏は夜舟、秋は御萩、冬は北窓と呼ぶんだとか。おばあちゃんがよく作ってくれた記憶があります。米って甘いものにも合うんだなと、幼い頃は驚きましたね。何とも懐かしい気分にさせられます。

 焼肉警視総監への道と平行していたこともありこの辺で満腹。他に食べたいメニューは後日いただくことにしました。

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 再訪。一品目はもつ鍋うどん。卵が好きな私は、他にも具が一杯入っているという理由で幼い頃お店でよく頼んでいたのが鍋焼きうどん。資さんには鍋焼きうどんもありますが、個人的に福岡で三番目に旨いと思っているもつ鍋があるとなればこっちを頼まざるを得ません。もつは牛テッチャン(シマ腸)。歯ごたえがあるけどちゃんと噛み切れて、口の中に旨味が広がる絶妙なバランス。柚子胡椒がついてくるところも九州らしいところ。胡椒と名はついていますが胡椒ではなく唐辛子。九州では年輩の方は今でも唐辛子もコショウと呼ぶのです。「唐の国を枯らす」で縁起が悪いから、外国との交易が盛んだった長崎で「コショウ」と言い換えるようになったんだとか。ややこしい話ですが、英語だとどちらも「pepper」ですから間違ってないんですね。

 ついでにもう一つややこしい話。鍋の右後ろに入っているのはもちろんごぼう天ですが、左後ろに入っているのも何とごぼう天。関東で「さつま揚げ」と呼ばれる魚のすり身を揚げたものを、西日本では「天ぷら」と言うのであります。ごぼう入りの天ぷらなのでごぼう天なのです。

 もちろん西日本でも小麦粉の衣で包んで油で揚げたものはやはり「天ぷら」。私は幼い頃、「天ぷらうどん」と聞いて、丸天(丸いさつま揚げ)が乗ったものをイメージしていました。その割には衣で包んで揚げたものも当たり前のように天ぷらと呼んでいたので、ある時「何故どっちも同じ名前なんだ」と疑問に思ったことであります。その疑問は未だに解けずじまいです。

 

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 カレーぶっかけうどんセット 一般的にお店で提供されるカレーうどんはカレーを出汁で溶いたものですが、こちらではカレーライス用のカレーがそのままうどんにぶっかけてあります。「牧のうどん」でも同じスタイルで提供されていますが、「牧のうどん」と比べるとルーが少し辛めです。

 家の夕食でカレーライスが出た翌日のカレーうどんが大好きだった私は、お店で出てきたカレーうどんが出汁で溶いたもので残念に思ったことがあります。とろみのあるカレーが麺によく絡むのがいいんですよね。

 その一方で、出汁で溶いたカレーうどんの〆のライスはカレーライスよりも好きだったりします。出汁の旨味がご飯に染み込むのがいいんですよね。ラーメンライスと同じ理屈。出汁うどんとカレーぶっかけうどんとライスを頼めば、3つの組み合わせの良いとことりを楽しめるので、カレーうどんとライスのセットだけでなく、カレーライスとミニうどんのセットもあって然るべきと考えたのは私だけでしょうか(笑)

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 焼きうどんセット。焼きそばのそば(中華麺)がうどんになったもの。資さんうどんの発祥地である小倉は焼うどん発祥の地とも言われています。うどんの麺が少し焦げたところがまた旨いんですよね。ご飯との相性も言わずもがなです。

 私が幼稚園生から小学生低学年、まだ土曜日が半日授業だった頃、土曜日の昼食と言えば麺類が定番。給食があまりおいしくなかったこともあり、土曜日の帰りはいつも以上に楽しみだったのですが、その中でも焼きうどんは一番のお気に入りでした。

 しかしいつしか家庭で焼うどんが出てくることは無くなり、実家住まいの今でも出て来るのは専ら焼きそば。「焼うどんはおばあちゃんが作ってたから」かもしれませんが、そのあたりは記憶があやふやです。

 焼きそばも太麺で醤油味が旨いと思っている私としては、焼うどんも焼きそばと同じくらいメジャーになって欲しいですね。

 ただの食事記事にも関わらず、デカ盛りブログを初めて10年以上の中で一番の長文になってしまいました。それは資さんうどんが、「北部九州B級グルメあるある」をこれでもかというほど体現したお店だったため。昨年まで名前も知らなかったお店なのに、幼い頃の懐かしい話が次々に蘇ってくるという何とも不思議な体験をさせられました。まとめてご馳走様です。

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