GRAPEVINEを聴いている(サブスクとわたし 1)

大学生になってから聴き始めたアーティストなんていくらでもいるけど、それでも中高生の時から名前だけ知っていて、いつか聴くことになるのかな、と思っていたバンドたちはとりわけ思い入れが深い。

GRAPEVINEやサニーデイ・サービスをこんなに必要とする日が来るとは思っていなかったし、アジカン派だった自分がストレイテナーばかり聴くようになるとも思っていなかった。見ることができないと分かっていながら手を伸ばした椿屋四重奏やSchool Food Punishmentは、どう考えても私の人生に必要だった。

たった2年で、サブスクが無い暮らしを想像さえできなくなっている自分がいる。もしサブスクが無くても、私はYogee New WavesやENJOY MUSIC CLUBを聴いてCROSSING CARNIVALに行ったかもしれないけれど、それと並行した私の生活はどうなっていただろう?と、しばしば考えてしまう。
それまで通り時代の音楽しか聴いていなかったのかもしれないと思うと、心から世の流れに感謝するしか無い。時代の音楽は楽しいけれど、時代、の音楽として聴いているから、いつか聴かなくなってしまったり、聴いたときに懐かしさを覚えるようなものが多い。今と過去だけじゃなくて、ずっと聴いていられる音楽って、とても大事だと思うのだ。

とはいえ、サブスクにあってもYoutubeにMVがあっても、聴かない人は聴かないのが中堅~ベテランバンドのあるあるというか。人に薦めたい気持ちこそあれど、どう薦めればいいのかあんまり分からない。そういう時はやはり最近このバンド流行ってるらしいよ~という音楽のほうを手に取ってしまう。
流行っている、という理由はとても強力だ。めちゃくちゃ良いから聴いて、は、薦める音楽=良いというのが分かり切ってしまっているから、理由にするには聊か弱い。第一自分でもわざわざ聴いているという自覚のあるバンドを人に薦めるのはあまりにもパーソナルな部分を直接的に明け渡しているようで、慎重になる必要がある。
あんまり良くなかったと言われたらめちゃくちゃ悲しいし(こっちは生涯の何枚かに選んでいるのだから)、仮に気に入られて熱狂的なファンになられても取られた感が生まれて人からも音楽からも変に距離を取ってしまいそうな気がする。大切な音楽、は、間接的に私の日々と一緒に伝わるぐらいがちょうどいい。

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最近の私は常にGRAPEVINEの話をしたいと思っているし、彼らについて知りたいと思っている。
最初は完全に刷り込みだった。GRAPEVINEは最高、GRAPEVINEが好きな人は素敵、といったような文章を定期的に見ていただけなのに、こんなに強く印象に残ってしまっているのだから、それを書いた人の思いがどれだけ強いか!ということだ。

よく考えなくても、GRAPEVINEの曲を聴く機会なんて、意識して聴いてみようと思い至るその日まで一度もなかったはずだ。それはある意味流行にとらわれていないバンドだから、とも言えるのだけど、誰かがラジオで流していたとしても強く印象に残るかといえばそうでもないというか・・・、なんだろう、一撃必殺よりもじわじわと真綿で首を絞めてくようなタイプのバンドだから、というか。
GRAPEVINEの曲は暗めでニュアンスのあるフィルターをかけた感じがする。晴れててもそれはやるせない時の空だ。GRAPEVINEの代表曲というとLifetimeに収録されている光について、スロウ、白日、望みの彼方あたりにな(ってい)るのかなあ、と思っているのだけど、どれも明るい曲ではない。そもそも底抜けに明るい曲が無いからそうもなるとはいえ。


光についてのスタジオライブバージョン。最近(といっても2012年)のものだ、98年の音源からだいぶ熟した感のある歌と音で、本当にうっとりとしてしまう。こんなにカッコいいことが、あるのか・・・・・・???

明るい曲だから良い、とかいうわけではないけれど、人に内省的な曲を直接薦めるのって気が引ける。考えすぎかもしれないけど、それを薦めること自体に何か意味を見出されてしまいそうだし、こういう曲が好きなんだね~っていうのをしみじみと受け取られるのがなんかやっぱりちょっと照れる、というか。SNSで呟くぐらいなら見てるか見てないかわからないし、間接的だからまだ大丈夫。だからわざわざnoteという間接的なうえに間接的な方法を取ってどうにか書き記しているというわけだ。

今年のアルバム ALL THE LIGHTはまだ明るいほうのアルバムなのかな?という感じがした。最初にLifetimeの曲を聴いて、そのあとにAlrightのMVを見たらなんだこの人???となったのが妙に心地よかったので誰か体験を共有してください・・・・・・。させます。上の曲を聴いた後に下の動画を再生するだけです。お願いします。

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MVといえば、GRAPEVINEのMVのコメント欄はGRAPEVINE好きな人ばかりでなんだか幸せな気持ちになる。あと私の目には見えないところにこんなにGRAPEVINEを聴いてきている人がいたのか・・・と軽く衝撃を受ける。有名なバンドだからそりゃファンもいるはずだしそのファンに影響されて私も聴き始めたみたいなところがあるのに、だ。久々に聴いてみたらなんかわけわかんなくなっててウケた、また聴こうかな、みたいな人が散見されてちょっと面白い。やっぱり昔の曲の印象のまま止まってる人からしたらわけわかんない曲だったんだ!という安心もありつつ。

昔のアルバムはブックオフや図書館にいくらでもあって、最初に手をつけるならこっちからかな、と思っていた時期だってあった。でも、せっかくサブスクができて最近の曲もいくらでも聴けるようになったんだから、今のも昔のも並行して同時に聴くのがきっと良いはずだ。
今年のツアーはもう終わってしまったようで、ライブに行けるのはいつになるかまだ分からないけれど。
彼らが奏でているうちに、絶対観に行きたいなと思う。
できれば、どこか知らない土地のフェスとかで。


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