Mr.Children - ケモノミチ

唸りが聴こえた。真っ黒な真空の奥深くに潜む獣のような唸り。
⁡
＂君に Love Song を送ろう
　月に爪弾いた　孤独のメロディ
　その耳にだけ残るように
　声もなく　歌う
⁡
　誰に SOS を送ろう
　匿名で書いた　鈍い痛みを
　眠れず独り目論む
　「仕返し」だけが希望
　声もなく叫ぶよ
　叫ぶよ＂
⁡
「ここにいる」と「そこにいて」が混ざり合ったような唸りに聴こえた。「そばにいて」ではなさそうだった。引力の作用によって遠く離れた惑星に向けたような。あるいは突き放すような。それでもそばにいて欲しいのかもしれなかった。心だけでも。そういうI love youはあると思った。知っているとも思った。
⁡
ふと、Love Songは匿名なのかどうかが気になった。匿名じゃないといいな。届くならもっといい。遠く離れた惑星にも届くなら。できればSOSも一緒に。＂君＂以外に本当の救いはないように思う（＂君＂が何であったっていい）。

（2023.10.29）