ペテンとペテン

トタン屋根の下にペテンとペテン、
通り雨をしのぐのでありました。

長い旅の途中でペテンとペテン、
通り雨をしのぐのでありました。


偶然駆け込んだ同じ屋根の下、
ここで会ったのも何かの縁と、

ちょっぴり口を開けばペテンとペテン、
嘘ばかりなのでありました。


騙し騙されてペテンとペテン、
それと知らずに話は弾んで、
気づけばすこぶる意気投合、
ラリルレ笑ってリルレロ笑う。


遠い昔の思い出や、
旅の途中の愉快な話、
どれが嘘やらどこから嘘やら、
自分でも分からず話すのでした、
腹を抱えて笑うのでした。


やがて気づけば雨は上がって、
ペテンとペテンはトタンを出ます。

ペチャリペチャリと鳴る足音は、
名残惜しさにスロウな響き。


それでもどうにか別れを告げて、
ペテンとペテンは背を向けて、
互いの道へと歩いてゆきます、
ペチャリペチャリと、
のらりくらりと。


2人の距離は広がって、
互いに互いが見えなくなって……。


雨上がりの道でペテンとペテン、
それぞれ静かに泣きました。

二度と会えるか会えないか、
旅の途中の気のあう友に、
思いを馳せて泣きました。


口を開けばペテンとペテン、
嘘ばかりなのでありましたが、

騙し騙されてペテンとペテン、
嘘ばかりなのでありましたが、


虹のかかった空を見上げて、
積み上げてきた嘘を思って、

自分の全ては偽物だけど、
名乗る名前さえ偽物だけど、

さっき出会ったあの友人と、
ラリルレ笑ったあの思い出だけは、

どうか本物であってほしい、
どうか本物であってほしいと、

ポロリポロリと流す涙は、
どうして偽物でありえようか!

(2015.2.12)

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