りぼんのてほどき
"なんとか生き抜いた
読みかけの本が溜まっていることを思い出した
なんとか生き抜いた
プレゼントボックスのりぼんを
体のかたちが変わっても
焦ってほどいてたい"
◎
なんとか生き抜いた。わたし、もう少しでどうにかなりそうだった。なんとか生き抜いた。
この世に未練なんてない。そう、ずっと思ってきた。繰り返される繰り返し。もう先が見えてしまったような気がして、それで。やりたいことなんて、ない。
ただただ、天井の角を見つめた。寝そべって、姿勢を変えて、たまに起き上がってみて。ただただ、見つめた。
泣きじゃくった。どうにもならないくらい。涙が溢れて溢れて止まらなかった。わたし、もう、生きている価値ない。どこにも戻りたくない。いなくなりたい。
そんな時、光をくれたのは誰? わたしの読みかけの本は何?
あなた。
あなたのために生きてみようと思う。まずはそこから。わたしは自分のために生きられるほど強くはないし、そんなことに意味を見出せない。でも、あなたのためなら。
主よ、恵みを。罪深きわたしに愛を。明らかに見極めることを。贖罪を。
日々に愛おしさを。誰のものでもないわたし。
◎
窓の外を眺めていたい。宇宙の窓の外。
◎
わたしは強い人。新しい世界を見たい。それがどんなにおぞましいものであったとしても、あなたと一緒なら。
あなたと一緒なら。主よ、導きのあらんことを。透明な翼を。この大空を駆ける勇気を。
主よ、御心を。わたしの身体はいつだってあなたのそばに。塵となり、藻屑となっても、いつも。
主よ、憐れみを。わたしのすべてをお赦しください。生まれてきてしまったわたし。生きていくわたし。
あなたの元へ行きたい。でもそれはもう少し先のこと。あの本を読んだら、あの人と会ったら。出会ったら。そんなことを積み重ねて、わたしは生きる。
(2024.5.14)
[BGM:カネコアヤノ - りぼんのてほどき]
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