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おやすみモード
今日は恋人がおやすみモードだという。何もしないで明日の朝まで眠ってしまいたい。そんな感じらしい。
「こんな時に会いたくなります」と恋人。
でも、僕らはすぐに会うことはできない。物理的な距離が離れている。会うことはできない。
「会いたいね」と僕。「会いたいですね」と恋人。
外は夕暮れ。虫の音が聞こえる。たまに通る車。鳥のさえずり。
「今、何してるの?」と僕。「今、本当に何もしていませんでした」と恋人。恋人は続ける。「でも、よかった。ねるさんと話してなかったら闇落ちしていたかもしれません」
バイクの音が聞こえる。電車の音が聞こえる。窓外の色が変わっていく。
僕は網戸を開けて写真を撮る。虫が飛んでいる。
「ねえ、次会ったら何したい?」と僕。「うーん、何したい?」と恋人。恋人は続ける。「カラオケ行きたいです。あと、外で手を繋ぎたいです。——ねるさんは何がしたいですか?」
僕は少し考えてから、「ずいちゃんがしたいことをしたいかな」と答える。「やさしい」と恋人。やさしい?
日が暮れていく。僕は恋人のことが好きだと思う。
(2024.6.18)
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