見出し画像

お水の獣道5.5〜サヨナラも言えずに〜

前回までの獣道


それからというもの、出勤する度に相席屋へ出向いては私はチョコレート漬けに(仕事しろ)
春ちゃんは巧みな話術で相席したボーイズをお店まで引っ張り…

我々は実に素晴らしいチームプレーを発揮していた。


もはや相席屋は第二の職場だった。


毎日の様に相席屋に通ってるもんだから
店員にも覚えられていて若干調子にも乗っていた。
(調子に乗ったところで…)


そんなこんなで気が付けば私の体重は増え続け


6キロ増しでムッチムチだった。



相席屋のチョコレートマウンテンで蓄えたカロリーが我が身に植えつき、贅肉と言う花を咲かせたのだ。


相席屋太り。


私はそう呼んでいた。

昼の仕事中もムッチムチになった私の脳内はチョコレートマウンテン一色。
もはや生き甲斐だった。

この時の私はもう相席屋って男女の出会いの場なんて忘れており
チョコレートマウンテンが楽しめるお店としか思っていなかった。


そしてその夜も私と春ちゃんは相席屋に向かった。


だけどこの日は何か雰囲気が違う…
あたしの目はごまかせないよ。


店内に入り、いつもの様にビュッフェとチョコレートマウンテンの元へ向かうと









チョコレートマウンテンが消えていた。
跡形もなく、姿を消して…



オマケに幸せの茶色い唐揚げ軍団も消えていた。
その代わり申し訳程度に並べられた綺麗な緑の惣菜達。


しかも山盛りだ。


信じられない光景だった。
そこには変わらずあると思っていた物が突然いなくなる。



さよならも言えずに…
悲しむ私と立派な贅肉だけを残して…


私は絶望した。ただただ絶望した。
「私がチョコレートマウンテンをほぼ占領していたからだろうか。いや、それは自意識過剰すぎる、いやでも…」
そんな事ばかり考えた。


そして店員がなんだかよそよそしく、目が合わないのも気になった。


とりあえず私は
目の前の山盛りに盛られたほうれん草だかなんだかの胡麻和えみたいなやつをお皿に盛り、重い足取りで席へと戻った。



するとそこには男性2人が相席していた。




なかなかのパリピイェイイェイボーイズで私の心は更に不安を増した。
私はもはや相席だとか、それどころではなくなっていたからだ。



するとそのパリピボーイズが
「ロシアンたこ焼きやろうぜ〜!」
と言い放った。
(お店の盛り上げメニューらしい )


ロシアンルーレット系…私の苦手な種目の一つ…
無意識でも元々リアクションはオーバーなものの
ロシアンたこ焼きとかってなんか違うんだ。

試されている…というか、今までの生き様がリアクションとして現れる。
そんな気がして…さ…。
なぁ、そうだろ?




みんながハラハラしながら一つずつ食べていく中
こんな時の嫌な予感は的中してしまう星の下に生まれてきた私…


そうです。お察しの通り





激辛たこ焼きを食べてしまった。






ここで回想タイムが入る


(……そうよ…私がリアクションをしなければ私が当たりを食べたって事はバレない…=リアクションしなくても良い…そうだわ…それでいこう)




私は耐えた。
ポーカーフェイスをキープしたままブツを飲み込んだ。



まさかの誰も苦しまずに終わり、みんなが困惑する中…

私は深く息を吸った瞬間にむせ散らかしてしまい私が食べた事が光の速さでバレてしまった。



小さな油断が生んだ大きな失敗だった…



冷めた目で私を見るボーイズ。
あの苦笑いというかなんとも言えない表情。
そして春ちゃんが言う棒読みの「マジウケる」


春ちゃん。顔、笑ってないよ。
もしかしてピリオドよりもっと向こうにいる?
ここはどこ?私は誰?チョコレートマウンテンは最高。





あの時の空気は今でも忘れられない。




こんなんだったら最初から普通にやればよかった。こんなんだったら最初から普通にやればよかった。…なんで2度も同じ事打っちゃったんだろう…





もうリアクションしずに乗り切るなんてしないよ絶対。




相席屋の帰り道、私はただならぬオーラを醸し出している人とすれ違った…
川崎麻世さんだった…



しばらく先を行くとやっぱりマツ○デラッ○スさん(似てる人)がいつものベンチに座っていた。










つづく…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?