私の彼はパイロット
「ごめん、今日出撃して来る」
この時の私は19歳。
当時お付き合いしていた彼(名はアム郎としよう)からこの様なメールがよく来ていた。
そう、彼はゲームセンターにある戦場の絆というガンダムのゲームに鬼ハマりしていたのだ。
なんか卵みたいなポット?の中は180度スクリーンになっていてコックピットに座り操縦して戦うゲームです。
↑こんなやつ。
最初はあんまり気にならなくて
「健闘を祈る!」って返信して送り出してたんだけど私は甘く見ていた。
毎日出撃してやがる。
私と出かける約束をしていようが
「ジオン軍が負けそうだからまだ帰れない」
と連絡が来たり(彼はジオン軍だった様だ。知らんけど)
結局、ジオン軍だかなんだか知らないけど出撃事情で会えずに約束すっぽかされるなどはザラであった。
ある日、一週間くらい連絡がつかない時があり
私の友人達からも「なに?また出撃?」と言われる始末…
約束もしていた日になっても応答がないので
もしや…と思い出撃常連のゲームセンターに寄って見た。
出撃してらした。
ポットを外から見ても足元くらしか見えないのだけど、彼は私のド苦手なとんがった靴を履いてらしたのですぐに生存が確認された。
無の表情を浮かべて私はポットをノックした。
てかポットをノックってなんなんだ…
そしたらアム郎が
「時間が無い!とりあえず入って!」
と、まるでアニメあるあるの「説明はあとだ!とりあえず乗れ!」みたいな感じで私をポットの中に招き入れた。全くときめきはしなかった。
↑まさにこんな感じで私の目の前には戦場が広がっていて光の速さで酔った。
「ガコガコ!ガコ!!」
と荒く操縦をしているジオン軍のアム郎。
私は一体何をしてるんだろう…と段々と心が無心になった。
そんな私をよそに目の前では激しい戦いが繰り広げられていた。なんかめっちゃ燃えていた。
そしたら彼が操縦しながらポケットから華麗にイカフライを取り出し私にくれた。
私の機嫌は光の速さで直ったのだった。
(チョロい)
結局その日の私は出撃ポットに体操座りしてスクリーンに酔ってイカフライを食べただけで幕を閉じた。
そしてアム郎は翌日も戦場に向かう兵士の様な顔付きで出撃して行った。
感動もなにもない。
私の彼はパイロット。
優しくて大人だけど何故か雨が降ると全身で雨を浴びながら洗車をしていた。
私の彼はパイロット。
その名もジオン軍のアム郎…
数ヶ月後にサヨナラバイバイしました(笑)
(違う理由で)
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