白骨化して発見された孤独死の記事を読んで思ったこと
幻冬舎のオンライン記事を読んだ辛口な感想です。
独身の兄が、両親の死後実家に住んでいた。弟は兄とはソリが合わず、両親亡き後は10数年関わっていなかった。兄の住む市役所から「木の枝が越境して苦情になっている」旨の文書が届き仕方なく実家へ行くと、白骨化した遺体があり、死後1年以上経過していた。
白骨化するまで発見されなかったのは、近所づきあいもなく、郵便受けがたまっていても誰も気にかけてくれる人がいなかったのだと思った。何より驚いたのは、その弟が「どうしていいか分からず、専門家に相談した」こと。
よく「どこから手を付けていいか分からない」という人がいる。休み明けに机の上に山積みになった書類を見て途方にくれる人。最近ではゴミ屋敷の片付けをする業者の動画で、依頼者が口を揃えて同じセリフを言っている。
私に言わせると、どこからでもいいから片っ端からやるしかない。もっと言うと、ざっと全体を見て優先順位を付けてやる。やることや順番を書き出して、終わったら消去していく。
今回の白骨化した孤独死の場合で疑問に思ったのは、火葬する必要があるのか?警察の捜査が終わり、遺体を引き取る場合は葬儀屋に棺を用意してもらう。白骨も棺に入れるのだろうか?火葬しないと埋葬許可が出ない。調べたら、白骨と言っても状況は様々で一概には言えないが、通常より小さい棺に入れて火葬するケースが多いようだ。
想像するに、兄弟とはいえ、音信不通だったから面倒なことはやりたくないから、できれば誰かにやってもらいたい気持ちが強かったのだろう。葬儀屋に相談して埋葬して、相続や実家の処分を粛々とするだけなのだが、そういう事態を予測していなかったから思考停止状態になってしまった。
私の叔父が孤独死したのは、ある程度予測はできた。生きているうちに、できれば死後の希望を聞いておけばよかったが、そういうことを兄である父は気にかけなかったし、姪の私がとやかく聞く立場にもなかったので、残された者たちの都合ですべてを決めた。
男きょうだいだと、生活の面倒をみてやることまではしない。ましてや後期高齢者の父が1回りも若い独立した弟の世話をするのは、おかしい。月に一度様子を見に行くのも、父には負担であったと思う。車で15分の距離に住んでいても、このくらいのことしかしてあげられない。
10数年会わず連絡もしない兄に対して、怒りを感じても同情や可哀そうとは思わないのだろう、きっと。弟の立場からしたら、とんだ厄介に巻き込まれた被害者かもしれない。しかし、兄弟という明確な相続関係にある以上やるしかない。相続放棄して、私は関係ありませんではすまない。
こういうケースは今後増加の一方だと思う。少しでも早く発見されるのが望ましいと思うが、昔のような親しい近所づきあい、近くの他人が関わるのはなかなか難しい。孤独死する可能性のある人が、そうなった場合のことを考えてくれれば一番いい。しかし、私の叔父のようにゴミ屋敷に住み、家には誰も入れないような人は、そんな気の利いたことができるはずがない。
難しいのは、離婚して子供がいる場合だ。親権を持たない親が子と会うこともなく亡くなった場合、葬儀は兄弟がやったとしても相続は子になる。財産がある場合は、弁護士を雇えば子は手を煩わせずに相続できる。が、役に立たない古い家や土地しかなかったら、放棄するだろう。そうすれば、次の権利者の親族が相続するか放棄する。
死後の手続きは、死んだ人はできない。誰かがやるしかないし、今までも親族がやってきた。しかし、古いままの民法では対処できなくなっている。高齢化社会は、介護保険だけでは不十分で、独居者の死後の手続きを業者に頼んでできるようにしないと、今回の弟のように困り果てる人が続出するのではないだろうか。