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骨折が想像以上に痛かった話

タレントの益若つばささんが尾てい骨の上の仙骨を骨折し、安静のため寝たきりの生活を送っていることをニュースで読んだ。

私も約20年前、尾骨を亀裂骨折した。あの時の痛かったことを書いてみようと思った。

当時34歳の私は、2年ちょっと勤めたパートを辞めて、社会保険に加入できる仕事を探していた。真夏で、海やプールで使うような折り畳み式の簡易椅子に座り本を読もうとした。

勢いよくお尻をのせたら、クシャンと畳まれ、私は床に崩れ落ちた。と同時に椅子の骨組みの鉄にお尻が当たり激痛が走った。痛くて動けず、涙が流れ落ちた。

這って、布団の上に横たわったが、あおむけでは寝られず、横向きに寝るしかなかった。一晩たっても痛みはひかず、整形外科へ。車の運転はできなかったので、父に運転を頼んだ。レントゲンを撮るとお尻の骨にヒビが入っていて、全治1か月と言われた。

幸い、パンツを脱いでお尻を見せなくてよかった。服の上から痛い場所はここと言うだけで、医師には分かったみたい。場所的に固定するのは無理で、自然に骨がくっつくのを待つしかなく、ロキソニンとシップを処方された。

一番ツライのは、立ったり座ったりの上下運動で、重心が移動すると痛い。ほぼひと月、寝てばかりいた。1週間もすると痛みに慣れた。痛いのが常態化すると、それが普通になる。痛みが少なくなったわけではないが、慣れると、どう過ごせばラクかわかるようになった。

1カ月経って、レントゲン上の骨はくっついたが、鈍い痛みはずっと残った。姿勢よく座るとお尻に力が伝わるので、猫背で浅く太ももで座るようにしたら、腰が痛くなった。

結局1年くらい痛みは残った。いまだに、その部分が痛むことがある。だから益若さんが、寝たきりで動けないのが他人事でない。しかも海外でのことだから、なおさら不自由だと思う。

骨折が、あれほど痛いとは夢にも思わなかった。特に若い頃は、自分はケガとは無縁と思っていたから、痛みと動けない苦しみに耐えるのはつらかった。人生には、思いもよらぬ事故が起きることがある。原因は自分の不注意なので、慎重に行動するしか防ぐ方法はない。

今となっては、あれは必然だった。驕っていた自分への戒めのケガで、苦しむ人の気持ちを理解させるための修行だったように思う。