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理科室まがった / 毎週ショートショートnote

「理科室まがった!」
理科室のドアの前で待ったけれど太一のお腹がぐぅと鳴っただけだ。
「何も起こらないね。」
「シーッ。」
キュッキュッと足音が聞こえてきた。
「ち、近づいて来るよ!」
キュッキュッ。
「こらっ。」
「なんだぁ、先生か。」
二人は少しホッとした。
「僕たち学校の七不思議を調べてたんだ。」
「けど花子さんもいないし階段も増えない。」
ぐぅ、とまた聞こえた。
「馬鹿なこと調べてないで、もう帰りなさい。」
「はーい。」
三人はバタバタと玄関へ向かった。
「あんな頭ツルツル先生いたっけ。」
「え?白髪のお爺さん先生だったろ。」
「変な事言うなよ。髪の長い女の先生だった!」
ぐう。
「た、太一お腹なりすぎだよ。」
「…俺じゃないし…なんか一人多くない?」
二人はわーっと叫びながら走り出した。

理科室の中は迷路のようにねじれていた。
「理科室の不思議は困るんだよなぁ。けど、まだ七不思議を信じる子供もいるなんてね。」
青白い炎が揺れながら消える様子を何だか少し楽しそう、と花子さんが見ていた。


#毎週ショートショートnote
#理科室まがった

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